千五百三十話 リャインとコソデイローたちとの戦い
リャインは、
「路地裏の吸血鬼だと……背後の女騎士もそうなのか……」
ミレイヴァルはどう考えても違うが――。
<闇透纏視>を維持したまま両手を広げ<血道第一・開門>の第一関門をわざと発動。
両腕の魔竜王のガントレット血を流し<血魔力>を放出させながら、
「俺たちは、ルビアたちを守る路地裏の吸血鬼だ。リャインとやら金輪際、ルビアたちへの嫌がらせを止めてもらう」
「……止めるわけがねぇ! 俺をコケにしやがって……ん?」
と俺の顔を凝視したリャインは背後のルビアたちを見て、
「げ、良く見たら、ギルドに居た冒険者か。ルビアと親しげにしていた男じゃねぇか! それが吸血鬼だと言って、俺を脅しているんだな? が、なんでルビアたちがここに居る、まだ店の中で寝ているはずだ!」
と発言。背後のルビアとザガが、
「今日のペルネーテの夜はざわついてます。それより、あなたたちの嫌がらせは今日でおしまいです!」
「うむ、俺たちの店の前で、客に嫌がらせするのは、やめてもらう!」
「エンチャント!」
ボンも怒った口調だった。
両手の拳の紋章を輝かせると、半透明な魔力が拳と両足を覆い、拳の紋章と無数の魔線で繋がると、銅色に輝くガントレットとグリーブを装着していた。
魔力のグリーブに触れている地面が揺らいでいるように見える。
レガランターラとミレイヴァルは、驚いて、
「え、ボン君って戦士でもあるの?」
「はい、そのようです。職人の<賢者技師>もボンの一面に過ぎないのかもしれません……」
と驚いていた。
リャインは狼狽えると、
「ハッ、止めるわけがねぇだろうが! 今日こそは……ルビアをもらうぜ……あ、皆きてくれ! 吸血鬼とルビアたちが現れた」
ヴィーネが居る大通り近くの路地に居たリャインの仲間たちが集まってきた。
その仲間たちよりも、壁際に居る二人のほうが実力は上か。
明らかに魔力操作に差がある。
「――リャイン、どういうことだ。ルビアたちがいるじゃねぇか」
「あぁ……」
「ルビアと鍛冶屋たちを守る吸血鬼だぁ?」
「お、本当だ、混乱に乗じる計画だったが、好都合じゃんか、げはははは」
「「あぁ!」」
「後で、魔人たちの狂乱騒ぎに乗じて、この辺りの屋敷ごと鍛冶屋以外のアイテムを頂きましょう」
「「おう」」
「リャイン、お前の要望通り、後でザガたちの店も破壊してやるから、黒髪の吸血鬼分も上乗せだ」
「「うん」」
「そうね、通りと、その奥にいる黒髪の女性騎士と角ありの女剣士分も上乗せよ」
「分かった。が、ルビアは生かす約束だぞ」
リャインの言葉に、
「「「当然!」」」
「「うん」」
「殺しちゃったら、コソデイロー様とレムカ様にわたしたちが殺されちゃうし」
「「あぁ」」
「でも、ルビアって子の、痛みの悲鳴と快楽の喘ぎ声は色々と楽しめそう」
と発言しながら弓を構えた。
レズで女王様気質か?
左手に片手斧を持ち右手に盾を持つドワーフが、
「あぁ、リャインだけに楽しませるわけにはいかねぇからな」
と発言した。
「おい、ルビアは俺だけだ、おまえたち話が……」
「あぁ? リャイン、うるせんだよ、お前のとこのクラン、【蒼い風】だったか、邪神ヒュリオクスの眷属と同様に全員を潰すぞ」
「……」
リャインは武器を抜くが手が震えている。
「おぃおぃ、緑髪のリャインさんよぉ、空気の読めない冒険者崩れだなァ? ここであいつらと共に死ぬかァ?」
「……」
「それとも俺たちと一緒に、あの黒髪たちを殺して、女たちを犯して体を楽しんでから、金を得るかだ……どうすんだ? リャイン」
「……一緒に楽しみにます」
「ハハハッ、それでこそ、冒険者崩れの男だぜ、リャイン! 仲間だ」
双斧使いのドワーフAの言葉だ。
名前も知りたくもない。
「お前! 俺たちの店にきていた客のドワーフ、斧使いのバーボンか!」
「ハッ、そうだよ、鍛冶屋のザガ、大人しく寝てればいいものを」
「エンチャント……」
ボンの発音からして悲しげだ。
ドワーフの仲間だと思っていたのかな。
「聞いたことのないクランの癖にやけに羽振りが良いと思っておったが……」
「ハハッ、お前の店に爆発ポーションを投げ込んだのは俺だ」
「なんだと!」
「エンチャント!」
「許せない」
「クククッ、その顔だ。その怒りの顔が俺たちを楽しませる」
バーボンという名のドワーフはイカレてやがる。
既に心がねじ曲がっているようだ。
「さて、皆、あの黒髪だけど、吸血鬼なら単純よ、聖水をぶっかければ直ぐに終わる」
射手の女が、そう発言。
路地の壁際に居る二人のことを時々を見ている。
射手の女の前に居る双斧使いが、
「……待て、黒髪の紫騎士の鎧から零れている<血魔力>は本物っぽいが、<魔闘術>系統も色々だ。血の色合いと質感と似た<魔闘気>を体から噴出させている魔人を何度も見たことがある。だからあの黒髪は吸血鬼ではないかもだ」
と指摘してきた。
二眼二腕だから魔人かな。
「あぁ、だいたい吸血鬼がルビアたちを守るかよ、ありねぇだろう」
「たしかに脈絡がなさ過ぎる。あ、ルビアたちを獲物として狙っていた?」
「……獲物か、それは……ありえるが……」
「だが、聖鎖騎士団がこの都市に来てからは吸血鬼たちは見かけなくなった」
「それは元々だろ」
「<従者>を大量に用意する場合は吸血鬼だらけとなる」
「それこそ稀だ、他の魔界の連中と邪神ニクルスや邪神アザビュースなどの眷属などのほうが多い」
「では、この黒髪の吸血鬼は、狂乱の夜に乗じている外れ吸血鬼?」
「それならばありえる。だから聖水を用意しよう――」
「俺も出す」
「あぁ、俺もだ、普通の吸血鬼なら聖水をぶっかければ一発だからな」
「おう、大やけどとなって、ルビアたちを置いて逃げるだろ、ホラ、サデルバも――」
「うん、でも、黒髪の吸血鬼はわたしたちを見ているわよ?」
「ハッ、余裕感を出しているだ。聖水を浴びれば、ひーひーと悲鳴を発して逃げるだろ、楽しみだぜ」
「ははっ、ちげぇねぇ」
と皆で、ポーション瓶のような聖水らしき瓶を取り出した。
強者も居るようだが、基本はアホ集団か。
「……それに相手がだれであろうと、魔人コソデイロー・ケモスンインディスさんの力は絶対だ、抜かりはない!」
と一人の魔剣持ちの戦士が力強く宣言し、壁際に居る男女を見やる。
あの男女は二人とも強者か。コソデイローが男かな。
路地に居る十数名の男女が、俺たちを見据え、
「――皆、聖水入りの瓶を持ったな?」
「「「おう!」」」
「持ったぜぇ」
「良し、では、あの黒髪の吸血鬼に投げまくれ――」
「「「「「おう!」」」」」
「「「ヒャッハー!」」」
「「「「はい!」」」」
と男女の戦士、魔剣師、射手、魔法使い、魔杖持ちたちが一斉に瓶を投げてきた。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>は使わず――。
今は前に出て右手に金漠の悪夢槍を召喚――。
<血道第三・開門>を開門――。
<血液加速>を発動――。
首の刻印の傷の<夢闇轟轟>が疼く。
自然と魔力が倍増したまま金漠の悪夢槍を上下左右に少し動かす。
片鎌槍の穂先と螻蛄首で飛来してきた瓶と魔矢のすべてを破――と瓶が爆発し、爆発と爆風を利用した魔剣師が迅速に前に出てきた。
片手持ちのフェンシング機動か――。
赤黒い魔剣を突き出してくる。
<滔天仙正理大綱>と<滔天神働術>を意識、発動するがまま加速し――。
前傾姿勢で赤黒い魔剣の切っ先を見ながら金漠の悪夢槍で<断罪刺罪>を繰り出した――金漠の悪夢槍の片鎌槍の穂先と螻蛄首が赤黒い剣身を下から擦り上げながら直進し魔剣師の首を穿った。
真上に飛んだ魔剣師の頭部は、
「かひゅ――」
と、口から言葉に成らない音が響く――。
頭部を失った魔剣師の体は首があったところから血飛沫を噴出させながら倒れた。
その血を吸い寄せながら魔力と魂を吸ったように金漠の悪夢槍が鈍く輝いた。
と――魔矢が飛来――射手は三人、金漠の悪夢槍の柄で魔矢を叩くように弾く。
魔矢は折れながら地面に落ちた。
俺の背後に居るミレイヴァルとレガランターラにザガとボンとルビアには聖水と爆弾ポーションと魔矢は飛来していない。
「陛下、出ますか?」
「シュウヤ様に攻撃するとは……片付けましょう」
「ご主人様――」
「ヴィーネ、攻撃はまだ後だ、距離を詰めてこいつらを逃がさないようにしてくれ」
「はい」
「おい、背後の銀髪はダークエルフか?」
「……そうらしい、珍しい存在だ」
「「「あぁ」」」
敵集団がそんなことを言っている。
さて、
「ミレイヴァルとレガランターラは、そのままザガとボンとルビアを頼む」
「「「はい」」」
と皆の返事と同時に、短剣が飛来。
その<投擲>された短剣を金漠の悪夢槍の柄で斜め上に弾く。
またも短剣と魔矢が連続的に飛来してくる。
二槍流や<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>は使用しない。
風槍流の一槍と<山岳斧槍・滔天槍術>を活かしつつ金漠の悪夢槍の柄と片鎌槍で叩き落とすように弾いた。
女の射手は魔矢を番えつつ、
「毒魔鋼矢の<速連射>と<絶豪矢>をすべて弾くなんて、疾風のサウランをあっさりと倒すだけはあるようね。高祖吸血鬼?」
「……黒髪の紫騎士の槍使いか……やけに場慣れしてやがるな……もしや……」
双斧使いのドワーフは<魔闘術>系統を強めていく。
その左に居る短剣使いと、ツヴァイハンダーのような魔剣を両手に持つ魔剣師と、片手斧と盾を持つ人族が左から前に出た。
すると、
「――バメランにキレンダに皆、油断はするな」
と壁際で女をはぶらせていたコソデイローの声が響く。
ツヴァイハンダーの魔剣を持つ者がバメランか。
片手斧と盾の人族がキレンダ。だ。
「「「「「はい! コソデイロー様!」」」」」
「「「「はい、コソデイロー・ケモスンインディス様!」」」」
コソデイローの体に身を寄せている女性が居た。
その女性は紅色の髪を持ち美しい。
コソデイローを見て、
「コソデイロー、標的の前に居る黒髪の紫騎士は強者よ?」
「あぁ……」
標的だと?
「……あの黒髪の紫騎士の<血魔力>は本物だし、あ、標的が護衛に呼び出したってこと?」
と紅色の髪を持つ女性がコソデイローという名の魔人に聞いていた。
頭部にアシンメトリーの朱色の小さな角がある。
首の左右には切れ目が付いていた。
「……魔命を司るメリアディが事前に動いたか……」
「【黒の預言者】の魔人キュベラス様の【闇の教団ハデス】に【セブドラ信仰】の魔人たちが大暴れの狂乱の夜だから仕方ないわ」
「あぁ、ルビアを守るため潜ませていた護衛の魔界騎士かも知れぬ」
「……うん、でも、リャイン? そこの魔界騎士かも知れない槍使いを見たことがあるような感じで喋っていたけど、どうしてわたしたちに言わないの?」
「俺たちに依頼する前に事前情報はすべて伝えろと言ったはずだが」
「……すいません……」
リャインは二人に謝った。
コソデイローと紅色の髪は魔人でリャインの助っ人か。
コソデイローはリャインに文句を言った女を連れて前に出る。
と、路地に居るリャインの仲間たちが左右に分かれた。
<魔闘術>系統の<闘気玄装>を強めておこう。
紅色の髪の女は双眸に魔力を溜めて、凝視してくる。
その紅色の髪の女が、
「紫の魔界騎士かも知れない黒髪さん、そこのルビアと鍛冶屋の二人にも用があるんだけど、退いてくれない? なんだったらお金を支払うわよ」
「無駄だ。退かないし、お前たちも魔人キュベラス側なら死んでもらう」
「ひゅぅ~」
紅色の髪の女は口笛を吹いた。
片頬を奮わせるように引き攣る嗤い顔を示す。
『閣下、コソデイローと紅色の髪の女は、リャインとは比べ物にならないほどの強者ですね』
『はい、【闇の教団ハデス】などに所属する魔人、魔族でしょう、或いは、【ラゼルフェン革命派】などの【闇の八巨星】の【八指】の暗殺者の一人?』
常闇の水精霊ヘルメと闇雷精霊グィヴァの念話に頷いた。
『そうだな、ただの愚連隊かと思いきや……コソデイローと紅色の髪の女は、明らかに他と違う。ルビアと魔命を司るメリアディの関係性を知ったからルビアを標的と言ったんだろう。リャインがストーカーを募る際にルビアたちの情報を闇社会に流した結果かな?』
『はい、同じクランのルビアはきっと、皆を助けるため無詠唱で大癒を連発しているはず。その善意の積み重ねが、リャインを勘違いさせてしまったのかもです……』
『好意のままなら良いのですが、ルビアに妄執してストーカーを繰り返し、しまいには手に入れるために、魔族たちに協力を願うとは完全に冒険者の一線を越えてしまった』
すると、リャインの仲間たちが、
「……レムカ様、あの黒髪の吸血鬼って噂に聞く、黒髪の貴公子かも知れないです」
「うん」
「外の大通りの路地を塞ぐように現れた銀髪の女も怪しいわ」
と会話をしていくと、コソデイローの魔人が右手の魔杖に魔力を込める。
ブゥゥンと魔杖から赤黒いエネルギー刃が伸びた。
コソデイローは、
「……案ずるな、数は此方が上……」
「でも<血魔力>は本物、吸血鬼ではないのなら【セブドラ信仰】の魔人かも? もしそうならコソデイロー、貴方が所属する【幻獣ハンター協会】と【セブドラ信仰】が揉めちゃうかも!」
「……揉めたところで構わない。今夜の騒ぎだ、どうとでも言い訳はできる。だから、お前も今日こそは働いてもらうぞ、魔槍のレムカ」
「ふふ、了解、皆に悪いけど、あの標的ごと槍使いも、このチャスラの魔槍の餌食にしてあげる」
紅色の髪の女の名はレムカか、レムカはコソデイローから離れた。
右手に短い魔槍を召喚していた。
チャスラの魔槍か。短槍の魔槍の杭刃の穂先と柄から薄らと多頭の蛇の魔力が出現し、その女性の片腕に絡み付いていく。コソデイローは仲間たちとアイコンタクト。
刹那、短剣が飛来――。
大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を召喚――。
「お前らは【幻獣ハンター協会】でもあるんだな――」
と言いながら<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>は飛来した短剣を弾くと直進させた。
コソデイローとレムカは横に跳び、<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を避けた。
「ハッ、それは俺だけだ――」
そのコソデイローたちに<光条の鎖槍>五発を放つ。
<光条の鎖槍>は、山なり軌道で<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を越える。
逃げ遅れた射手たちは、
「「「「ぎゃぁ」」」」
「「ぐあぁ――」」
「「げぇ――」」
と<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>と衝突し両腕や頭部が潰れながら仲間を巻きこんで転倒。
更に両手首の<鎖の因子>から<鎖>を射出――。
<鎖型・滅印>を発動。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>の下部から地面を這うように進んだ<鎖>の先端が、転倒した射出たちと魔剣師たちの体を貫いた。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角><鎖>を即座に消す。
左手に仙王槍スーウィンを召喚。<握吸>を発動させた。
※握吸※
※星屑握吸武術系統:基礎握吸※
※星宿握吸流技術系統:基礎掌術式※
※三連星握吸技術系統:基礎手腕※
※星握吸技術系統:基礎掌術式※
※犂星握吸技術系統;基礎掌式※
※怪夜と怪魔に魔竜蒼と鬼魔人に血龍魔仙族の血を引く希少魔族の魔仙ラキースが魔界と神界を繋ぐ【二十八宿・斗宿羅漢瞑道】の中で、魔槍を握りながら、飛来してくる羅刹の魂が宿る星屑大岩と星握大岩を掴んでは離し、また魔槍を掴み、魔槍を離し、(その魔槍が、後の魔槍斗宿ラキースとなる)星屑大岩と星握大岩を掴み直し離すといった修業を五百年続けることで体得した槍と格闘武術技術の一端が<握吸>※
※手を持ち、武器を扱う者に恩恵がある※
<勁力槍>も発動させる。
※勁力槍※
※獲得条件に<塔魂魔突>と<空の篝火>が必須※
※槍の一撃が強化される※
※<刺突>や<豪閃>に<魔槍技>にも流用可能※
※意識して<勁力槍>を使うと、より『勁』と『力』が槍の武器に宿り、強力な『一の槍』を繰り出せる※
コソデイローとレムカとバメランとキレンダとバーボンとリャインは俺たちととの間合いを詰めながら魔法の短剣を無数に繰り出してきた。
後退し魔法の短剣を避けまくる。
――リャインは意外だが、動きは良い。
「――ヴィーネとレガランターラ仕掛けていい。ミレイヴァルは守りを頼む」
「「「はい」」」
ヴィーネは翡翠の弓から光線の矢を放つ。
一瞬で、射手と短剣使いの頭部を射貫いた。
<武行氣>と<水神の呼び声>を発動――。
<仙魔・桂馬歩法>を発動。
※仙魔・桂馬歩法※
※仙王流独自<仙魔術>系統:上位歩法※
※足下に風の魔印が生まれる※
※速度上昇効果、槍武術上昇効果※
※〝玄智闘法・浮雲〟の修業を実行して<玄智闘法・浮雲蹴刀>を体感した者が、風神セードの音の力を宿した魔印を理解して、玄智聖水を得て大添水の音叉を聞くことで獲得できる※
<水月血闘法>を発動。
左斜め上に跳び、<暁闇ノ歩法>をも発動――。
右斜めの低空を飛翔しながら闇を足で掴むように加速移動し、魔法の短剣を避けた。
レガランターラと前に出た。
敵集団の先頭に居たバメランはツヴァイハンダーの魔剣を突き出してくる。
金漠の悪夢槍で<断罪刺罪>でツヴァイハンダーの魔剣の切っ先を弾く。
同時に左手の仙王槍スーウィンで<白炎明鬯穿>を繰り出した。
仙王槍スーウィンの穂先に水の膜が出来上がると、そこから銀色の炎が発生。
※白炎明鬯穿※
※仙王流槍武術系統:奥義※
※白炎王山流:上位突き※
※水槍流技術系統:最上位突き※
※血槍魔流技術系統:最上位突き※
※白蛇竜小神流技術系:上位突き※
※仙鼬籬ノ森技術系統:上位突き※
※仙王槍スーウィン専用※
※水神アクレシスと相性が良い※
※武王厳流や武双槍流に玄智武暁流と玄智炎槍流にも活かせるだろう※
※子精霊と連動する場合あり※
※白炎王山の明鬯白炎ノ滝場で、スーウィンがまだ仙王になる前、白蛇竜大神インが白炎を己の体に取り込みながら上昇するところを見て、スーウィンが、己の槍武術に活かそうと、流れ落ちゆく明鬯白炎を全身に浴びながら、白炎王山と明鬯白炎に向けて<刺突>を五百年打ち続けて<白炎明鬯穿>を獲得。崑崙王家ハヴィスも驚愕、その槍は後に仙王槍スーウィンと呼ばれるようになった※
※スーウィンは<白炎龍天穿>をも獲得している※
その仙王槍スーウィンの穂先が、バメランの左腕と胸元を穿つ。
と、バメランの体は一瞬で銀色の閃光染みた炎に包まれながら悲鳴を発せず倒れながら蒸発するように消える。
コソデイローの体にヴィーネが繰り出した黒い小さい精霊が降りかかるのが見えた。
レガランターラはキレンダとバーボンの斧を、逆手持ちの乾坤ノ龍剣レガランターラで払い受けながらし、一瞬で、体がブレる。
跳躍するような袈裟斬りから逆袈裟斬りで、キレンダを斬り伏せ、袈裟斬りでバーボンの腕と胸に切り傷を与えながら左手を突き出し、バーボンの腹に一撃を喰らわせて側転からの蹴り技で、バーボンの頭部を潰して倒していた。
――剣舞か。
レムカは「そこ――」とチャスラの魔槍の短槍を突き出してきたが、動きは読める。
即座に金漠の悪夢槍を上部に掲げ<刺突>系統の攻撃を受け持った。その金漠の悪夢槍に<血魔力>を込めながら<握式・吸脱着>を使い握り手を変化させて短槍状態に移行させた。更に、威力に押されて後退――。
アーゼンのブーツが地面にめり込んだ刹那、仙王槍スーウィンで<血刃翔刹穿>を繰り出した。
レムカはチャスラの魔槍を下げた。
その柄で<血刃翔刹穿>を防ぐが、金漠の悪夢槍の穂先から<血刃翔刹穿>の血の刃が無数に飛び出ては、レムカの体に突き刺さっていく。
「くっ――」と痛みを我慢するような声を発したレムカはチャスラの魔槍の短槍を引きながら後退し、壁に背を付けた。
血の刃によって防具と防護服は傷ついている。
が、レムカの体は自然と回復していた。
そのレムカとヴィーネが押しているコソデイローとリャインの剣をレガランターラが乾坤ノ龍剣レガランターラで受け流しているを見ながら――。
風槍流『右風崩し』の構えでレムカにフェイク。
レムカは視線が動く。
が、チャスラの魔槍は反応せず、<魔闘術>系統を強めて、体から赤黒い魔力を噴出させていた。
チャスラの魔槍から半透明な多頭の蛇が色合いを強めている。構わず、右手の仙王槍スーウィンで<断罪刺罪>――。
レムカは半身の姿勢でチャスラの魔槍を傾け、仙王槍スーウィンの<断罪刺罪>を防ぎながら横に移動し、回り込みを狙う。
冷静に、歩幅を見て、右足を退いて相対――。
ほぼ同時に<雷飛>――。
「!?」
金漠の悪夢槍で<闇雷・一穿>――。
紫電の勢いで金漠の悪夢槍の片鎌槍がチャスラの魔槍を弾き、レムカの胸元を穿つ――。
そのまま前進加速し、レムカの体を突き抜けた金漠の悪夢槍を右手で掴む。
レムカの頭部が斜め上に跳ぶ。
「ぐあぁぁぁ――」
そのレムカはまだ生きている?
ピコーン※<悪夢・烈雷抜穿>※スキル獲得※
おぉ、新スキル!
この<悪夢・烈雷抜穿>は威力が高い。
レムカの頭部に<光条の鎖槍>――。
レムカの頭部は蒼白い光を放ち爆発するように散る。
とヴィーネとレガランターラの戦いを――。
銀色の蝶と炎の薄膜に雷の魔力を纏ったヴィーネが右腕ごと<血魔力>を込めていた古代邪竜ガドリセスの剣で、コソデイローの赤黒い魔刃を受けた刹那、体がブレる。
「痺れろ――! <血饌竜雷牙剣>――」
雷撃を纏ったヴィーネは速い。
コソデイローの魔刃をすり抜けたまま、ガドリセスの剣に雷竜の牙がコソデイローの上半身を穿つ。
コソデイローの下腹部が燃焼しながら吹き飛んだ。
そして、レガランターラはリャインの片腕を切断。
「ルビア! 今だ――」
「は、はい!」
黒い魔力が体から噴出したルビアは押し出されるように前に出る。
黒い魔力に包まれているカシーン剣でリャインの首を穿っていた。
ルビアは、「え……ぁ……」と少し過呼吸気味だ。
「――エンチャントォ!」
<武行氣>のみを残して<魔闘術>系統を解除しつつ、振り返る。
ボンはガッツポーズ!
「見事だ……」
とザガも拍手もしてくれた。
リャインを仕留めたルビアは唖然として固まっている。
続きは明日。
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