千四百八十六話 樹海の冒険と戦神ツユキラ
白銀の霧がさし込む樹海の山と峰はバルドーク山に続いている。
それは白銀の大蛇が巨大な山脈に絡み付いて羊腸の大道を造っているようにも見えた。
そんな銀煌めく山間から樹海に吹き荒れる強風は狼が吼え滾る勢いのまま降り注ぐが、今の俺には丁度いい強風だ――<砂漠風皇ゴルディクス・イーフォスの縁>の恒久スキルのお陰で、その強風を己の魔力に変換し、風の鎧を纏いながら風に乗り皆が集まっている場所へと急降下。
※砂漠風皇ゴルディクス・イーフォスの縁※
※闇遊の姫魔鬼メファーラが使役している神格持ちの砂漠風皇ゴルディクス・イーフォスが、シュウヤと神獣ロロディーヌを気に入り特別に使役を許し、加護を与えた※
※加護で風属性を獲得※
※砂漠風皇ゴルディクス・イーフォス理で因果律改変:風属性の動物、モンスター、幻獣、魔獣、知的な魔族の使役が可能な存在たちが多くなり、使役し易くなった※
「ンン――」
蜂が舞っている精霊樹の枝先に乗っていた相棒が跳び移ってくる。
ゴロゴロと喉音を響かせつつ頬に頭突きをしてきたからお返しに頭部を傾けて、頬と耳に、相棒の黒い毛と柔らかい体の温もりを得た。くすぐったいが、フガフガと音を響かせる、子猫特有の荒い息も感じられて、それがなんともいえない〝こそばゆ感〟で、非常に気持ちがよかった。
さて、お腹がパンパンな、愛のある相棒ちゃんの気持ちを受けて元気になった。
さて、ルシヴァルの精霊樹の門か。
相棒が乗っていた枝を含めて音符の形が再現されている。
門の左右は<霊血の秘樹兵>が喇叭を吹いているような大きい樹。
五メートルほどの高さはあるだろうアーチを飾るのは色取り取りの花々。
花の蜜が目的だと思われる蜂が集まっているのはキッシュの頬の印もありそう。
白い花は輝かしい<血魔力>の血飛沫を放っていた。そのルシヴァルの血を蜜として採取している蜂も特別か? キッシュと関係があったりして、
近くにいるジョディとシェイルにキッシュを見る。
他にもぷゆゆ、エヴァ、バーレンティン、キサラ、レガランターラ、ヴィーネ、レベッカ、クレイン、シュヘリア、デルハウト、クナ、ビアとホルテルマに血獣隊の面々、紅虎の嵐の面々、黒豹のエブエ、他の墓掘り人たち、異獣ドミネーター、ミスティ、アドゥムブラリ、シュレゴス・ロードに<光魔王樹界ノ衛士>ルヴァロスたちも一緒だ。
オフィーリアとモガとダブルフェイスたちは、まだサイデイルの小山だろう。
「あれ、シュウヤ、正義のリュートに音符と霧状の魔力の印が刻まれてる!」
「ばぁぁぅ~」
とレベッカとホルテルマが正義のリュートを指摘してきた。
正義のリュートを見ると、本当に浮き彫り状の太陽の形をした印に半霊を意味するだろうコイン状の印と三本足の烏などが色々と浮き上がっていた。
予め正義のリュートに加工が施されてあったようにも見える。
ホルテルマは俺か相棒を触りたいようだ、黒猫が「にゃ」と微かな声を発している。
しかし、正義のリュートが進化するとはな、驚きだ。
先ほど、<魔界音楽>を使用して、皆の武器と防具を強めた時には、半透明のネックと弦と指板が増えていたが、このような音符の印に太陽と烏などの印は刻まれていなかった。
半霊を意味する音符だろう。先ほどの音符は半霊だったようだな。
気持ち良い風を得て小気味よい音楽を響かせてくれた理由か。
「本当ですね、半透明なネックは消えていますが、実際に変化している。胴の響板には、太陽と魔コインと陰陽と、三本足の烏などの印がある。魔法陣の印も浮き彫りに加工が施されてあります」
「はい、陰と陽の龍は、妾と似た印!」
とヴィーネとレガランターラが指摘する。
頷いた。アドゥムブラリが、
「ヘッドとアームカバーの形も変化しているな、響穴もか。ネックも少しキサラのダモアヌンの魔槍のギターと似ているか?」
と正義のリュートを指摘、キサラも同意し、
「はい、先ほどのような半透明のネックではないですがダモアヌンの魔槍のギターと似ていますね。正義のリュートが進化し、半霊が蒐集可能になった証拠でしょう。魔神ガンゾウ様からの恩恵でもある<魔仙神功>に<魔音響楽・王華>なども関係もあるかもですね」
「はい、ご主人は成長していますから」
遠くのほうに移動した音符は、遠くに半霊があるよって意味か、もっと沢山の半霊が此方の方角にあるよってことだろうか。
「おう、では、太陽の形は光神ルロディス様か太陽神ルメルカンド様か、半霊の印を触ってみる」
「ん!」
「はい」
エヴァも少し興奮しているのか、此方に寄った。
紫色の眼が可愛い。
ヴィーネも、ぷゆゆを押しのけてきた。
ぷゆゆがねじれ杖でヴィーネに悪戯しようとしているが、ヴィーネは華麗な動きで避けている。
「ぷゆゆはジッとしとけ」
「ぷゆゆ~」
と直ぐに敬礼を行うぷゆゆ、可愛い。皆も微笑む。
皆の笑顔を見てから――。
正義のリュートに刻まれた音符の印を触り、半霊を意識した――。
すると、半透明なコインと音符が融合したような不思議通貨が目の前に出現した。
「わ!」
「何か出た!」
不思議通貨はオタマジャクシのような形で、後部の魔線は、正義のリュートに付いている。再び正義のリュートの印を触り、
『半霊よ、正義のリュートに戻れ』
と、意識をすると、不思議な音符コインは正義のリュートの中に戻った。
「わわ、本当に半霊を蒐集しちゃっている!」
「ん、シュウヤ、正義のリュートを触っていい?」
「おう」
とエヴァはリュートを触り、半霊の蒐集の印を触っていた。
エヴァの指跡が波紋としてリュートの表面を伝わると、エヴァの心音のような鼓動音と和太鼓の音が正義のリュートから響いてきた。
エヴァの胸元の前に薄らと秘術系カウンターマジック《正義の反銀剣》を両手に持った小形の騎士が出現。
正義の神シャファを模したような魔機械風の騎士か。
そして《正義の反銀剣》が進化した。
「ん、音も驚いたけど、《正義の反銀剣》を装備した精霊騎士が付いた。びっくり、音楽を聴いていたからだと思うけど」
「あぁ、皆も正義のリュートを触ってみてくれ」
「「「はい」」」
「わたしたちの体にも《正義の反銀剣》を持った小さい騎士が付きました!」
「「はい!」」
「おぉ~女性限定かも知れないが――」
「俺も付いた」
ブッチとアドゥムブラリとシュレゴス・ロードも正義のリュートを触ると《正義の反銀剣》を装備した精霊騎士が出現した。
同調した女性限定だったが、男も女も関係がないがようだな。
「正義のリュートが、進化した効果か」
「心臓の音と和太鼓のような音は不思議だな」
「サイデイルには半霊がたくさんいたってことですね」
「サイデイルでは、様々な戦いがありましたからね」
「モンスターの魂が半霊?」
「ん、それだけではないと思う。古い神性がある土地がサイデイルだから?」
エヴァの意見に賛成だ。
皆が、俺と正義のリュートを見る。
「エヴァの言葉が正解かな、過去、キストリンたちが魂の黄金道を、サイデイルに造り上げたように、このサイデイルが特別だと思う。キッシュの祖先のベファリッツ大帝国と繋がるエルフ氏族ハーデルレンデたちとキストリン爺は、光神ルロディス様と光神教徒と繋がりがある。蜂のハーデルレンデも恵みの印だ。太陽神ルメルカンド様の三本足の烏などもそうだろう。亜神夫婦が愛した果樹園なども……そうしたすべての影響が、神々が愛した土壌となってサイデイルに影響を与えていた結果、特殊な幽体たちがここに残るようになった? また、それが音楽スキルと関連した半霊エネルギーかも知れない? 更に、ルッシーの強化になったルシヴァルの精霊樹もある、今、正義のリュートで弾いた<魔音響楽・王華>と<魔音響楽・半霊>の音楽スキルと連動して、精霊樹の門と道が新しく誕生したことも、サイデイルならではだ」
キッシュも、
「納得できる考察だ。サイデイルの古の土地に眠るエネルギーを、シュウヤが正義のリュートを音楽スキルを通して弾くことで、半霊にて顕し、その半霊を音符に変化させて、<魔音響楽・半霊>を使っている正義のリュートとシュウヤが取り込めるようにしたということか」
キッシュの言葉に皆が頷いた。
シュヘリアたちが拍手。
キッシュは、
「それにしても、半霊を吸収している時の、音程は、今までに聞いたことのない涼しさを感じる音だった、癖になる」
「うん、面白そうに思えた」
「霧状の魔力も何か楽しそうだったわ」
「はい、総長が楽器を扱う精霊様に見えました」
と、メルが語るが、アドゥムブラリたちが数回頷いた。
そんな皆を見てから、精霊樹の門と道を見て、
「ルッシーと、ルシヴァルの精霊樹が<魔音響楽・半霊>と正義のリュートが反応し、精霊樹の門を形成するとは驚きだ。複数の樹が動いていたからな」
「はい」
樹海の樹は生えて移動もするなら開拓は難しい。
ドナガンたちが苦労する理由の一つか。
「ん」
「樹海らしいですが、ここの樹は不思議ですからね」
「畑のままの地域もあるが、時折、樹が動く。それもこれも樹海の定め、だが、〝二刻爆薬ポーション〟も利用できれば、かなり違ってくるはずだ」
キッシュの言葉に皆が頷いた。
【レン・サキナガの峰閣砦】を救った次いでのお土産だったが、良い方向に使ってくれるなら嬉しい。
「おう、では、少し進もうか」
「「「はい」」」
ルシヴァルの紋章樹の門を少し潜ってから、
「あ、キッシュ、子供たちは、俺たちを追い掛けて外に出ないよな」
「オフィーリアたちに王女もいるから大丈夫だろう」
「了解、行こうか」
「うむ」
皆でルシヴァルの精霊樹の門を潜って音符が織り成す樹の道を進む。
俺たちの足の音が、波紋として周囲に響いていく。
樹の道を進みながら、正義のリュートと<魔音響楽・半霊>を使用した。
周りに音符が少しだけ出た、自然と音符を吸収すると正義のリュートに印が太くなり輝き帯びる。と、目の前の樹の道が狭まり、坂道となり、大きな縦穴が増えてきた。
縦穴は、樹海に多い。その巨大な縦穴の間を縫うように精霊樹の坂道を皆で下る。
と左右に半透明なエルフたちに仙人と仙女たちが何かと戦う幽体が出現してきた。
「え……ここで仙女たち?」
「神界繋がりか、樹海の僻地にこのようなところがあるとは」
「はい」
「ここはもう、地下のような印象ですが、地上でもある、高い場所に出ることもあります」
「あぁ」
と、体が欠けた女神像など戦乙女たちの石像も増えてきた。
「ここは、高原地帯の一部でもあるようですが、縦穴が大きいですし、ペル・ヘカ・ライン迷宮大回廊のような印象もありますが……古戦場でもあった?」
「皆様、ここは〝樹海道〟にも隣接した【頭蓋の池】の範疇です」
〝樹海道〟にも隣接か。
ならば、この<魔音響楽・王華>と<魔音響楽・半霊>のスキルと関連した精霊樹の門と樹の道は……俺のキュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片の効果でもある?
と考えつつ、
「……【頭蓋の池】か、前に聞いたことがある」
「はい、霊月幻夢草が育つ高原地帯でもあり、地底のような谷間が連続している地で〝樹海道〟の範疇。昔から【頭蓋の池】と呼ばれていて地名で、他の樹海と同じですが、オーク大帝国は少なく、樹怪王の勢力と旧神ゴ・ラードの勢力と古代狼族の勢力が盛んに戦っている地域が【頭蓋の池】でした」
「はい、かつてのわたしたちの〝狩り場〟の領域でもあった」
「へぇ、狩り場か。そのニュアンスだと、色々と屠りまくった?」
「ふふ、はい、シェイルとわたしの死蝶人の頃です。ゴルゴンチュラ様たちのためでもありました」
ジョディの言葉にシェイルが頷いた。
シェイルは「ふふ、あなたさま……」と呟きながら体から赤紫の魔力と<血魔力>を有した蝶々を放ち、俺に付着させてくる。
「どうした?」
「ふふ、昨日の素敵な夜が嬉しすぎて、まだ心と赤心臓の黄金比がオカシイのです」
と乳房を見えるように衣服をはだけさせた。
時折、乳房を構成する赤紫色の蝶々が透けて、シェイルの赤心臓アルマンディンが見えていた。
一瞬、『誓約をありがとう』と、シェイルの熱い言葉が聞こえたような氣がした。
昔、 光粒子の鎖触手を通した赤心臓アルマンディン……。
今もシェイルの心臓は、しっかりと息衝いている。
切ない表情で俺を見つめてくるシェイルの<光魔ノ蝶徒>を助けられて良かった。
そのシェイルは、
「ふふ、あなたさま、ジョディの語った諸勢力以外にも、【頭蓋の池】では、様々なモンスターが跳梁跋扈する危険な領域でもありますの」
シェイルの言葉に皆が頷いた。
サラとママニを筆頭に、紅虎の嵐と血獣隊のメンバーは慣れっこって顔つきだ。
もう、庭のような感覚なんだろうな。
そこで<光魔王樹界ノ衛士>ルヴァロスに視線を向ける。
黒と緑と茶の瞳は、少し輝いている。
額の星極時空魔石似た大きい魔宝石から怪光線が迸りそうで、少し怖い。
眉毛は、血色と雷状に燃えているが、気にしない。子供たちには人気のようだ。
頬にある、小形のルシヴァルの紋章樹の紋様が渋い。
そのルヴァロスに、
「【頭蓋の池】だが、〝樹海道〟の土地の範疇なら、もう魔界と同じ?」
と聞くと、ルヴァロスは頷いて、
「……はい、ここから先、もう少し奥となりますが【頭蓋の池】は【魔界十二樹海・南マハハイム】と同じ、〝樹海道〟の範疇です。亜神夫婦のお墓がある果樹園と同じ領域になります」
と皆が精霊樹の門と樹を見つめる。
「了解した。では、【頭蓋の池】から魔界セブドラ側へと<樹界烈把>で狭間を超えて移動が可能なんだな」
「はい、可能」
「「おぉ」」
「魔界セブドラか……」
ブッチたちは歓声を発した。
「ブッチも行こうと思えば連れていけるぞ」
「おう、分かってはいる。シュウヤのキュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片が十二樹海のキーのような物で、更に<光魔王樹界ノ衛士>ルヴァロスが居れば、そのルヴァロスの<樹界烈把>で、周囲の者たちと一緒に眷属が関係なく〝樹海道〟を通り、狭間を越えて魔界に行けるってことか。しかも、センティアの手で移動する【幻瞑暗黒回廊】のよりもリスクがない」
ブッチの言葉に頷いて、
「そうだ、<樹界烈把>を用いず素で〝樹海道〟は進むと場合は、【幻瞑暗黒回廊】と同じように危険が伴う。それでいいんだな、ルヴァロス」
「はい」
<光魔王樹界ノ衛士>ルヴァロスも肯定した。
すると、キッシュが、
「記憶を共有しているから分かっているつもりなんだが、わたしもなんだよな」
魔界セブドラを未経験だと、そんな気持ちを持つのもよく分かる。
キッシュの言葉に頷いて、
「はは、その通り、キッシュも魔界セブドラに行ける」
「……そう考えると……わたしたちは結構な立ち位置か」
「そうですね、セナアプア、サイデイル、ヘカトレイル、ペルネーテに南マハハイム地方の各セーフハウスに転移陣で移動もできますし、魔界に進める手段も魔の扉の鏡以外に得たことになる」」
「はい、惑星セラの、他の十二樹海へと行けるのも素晴らしいかと」
ヴィーネの言葉に頷いて、
「そうだな、【魔界十二樹海・西キリアルゲン】、【魔界十二樹海・北エイハブラ】、【魔界十二樹海・南ヴァーレーズ】、【魔界十二樹海・西サザナミ】、【魔界十二樹海・東レンヴィル】、【魔界十二樹海・東ハイロスン】、【魔界十二樹海・東ジブレランフォインド】、【魔界十二樹海・南ラバヒッタイド】、【魔界十二樹海・西ヒリアツィ】、【魔界十二樹海・中央パルパディ】などの地に旅行も可能」
「北エイハブラって、バルミントたちの近くよね」
「そうだ」
「わぁ~エイハブラゴルディクス大砂漠の北西!」
サザーが嬉しそうに発言していた。
キサラが、
「はい、ゴルディクス大砂漠の西にエイハブラ平原とゼルビア山脈がある」
と発言。
「南ヴァーレーズは、南のセブンフォリアの更に南の魔族たちの国、前に俺が転移した場所でもある」
「「「おぉぉ」」」
「凄い移動装置を入手したと同じ、改めて、〝樹海道〟を利用できる<光魔王樹界ノ衛士>ルヴァロスは素晴らしいですね!」
「あぁ」
ルヴァロスは胸元に手を当てて、皆に頭を下げていた。
照れる様子はない。
シュレゴス・ロード的に、感情の起伏をあまり見せないタイプ。
知記憶の王樹キュルハ様の眷属な面もあるからかな。
「「「はい!」」」
「うふふ……」
ジョディとシェイルは拍手。
そこで<光魔王樹界ノ衛士>ルヴァロスに視線を向ける。
「それでいて、【頭部空中大庭園】や【王樹大脳ノ場】の【世界樹キュルハ】や【キュルハ湖岩樹大家】、【知記憶の王樹キュルハの根】、【ルグナド、キュルハ、レブラの合同直轄領】などの知記憶の王樹キュルハ様が支配する魔界セブドラの地に転移が可能なんだよな」
「はい」
皆、頷いた。
「グフフフ、素晴らしい眷属ですわ、シュウヤ様と<光魔王樹界ノ衛士>ルヴァロス!」
「……うん、あ、【ケーゼンベルスの魔樹海】には通じていないのよね」
「はい、通じていません。【ケーゼンベルスの魔樹海】には、魔界側に出て二十四面体のパレデスの鏡:十六面を使用し【レン・サキナガの峰閣砦】の私室に移動し、そこから城主の間に設置されてあるゴウール・ソウル・デルメンデスの鏡の片方を使用し、バーヴァイ城のゴウール・ソウル・デルメンデスの鏡の片方に帰還して、【ケーゼンベルスの魔樹海】に向かう方法。最速は、セナアプアの魔の扉の鏡を利用しバーヴァイ城の城主の間へと出る方法かと」
「了解」
「では、進むぞ」
「「「はい」」」
と言いながら地下へと続く精霊樹の道を皆で急ぎながら下った。
モンスターは寄ってこない。
「――閣下、いつぞやの、王氷墓葎の魔法書のまま進んだ時を思い出します」
「あぁ、バルドーク山の麓にあった地底湖か」
「……ふむ、大主よ、ここは、古戦場にて間違いないが、これほどに深い樹海の奥地とは……」
とビアの腰に差してある剣から体を出しているガスノンドロロクン様が発言していた。
と前方に、音符の形をしている石碑が三つあった。
三つの石碑の前には半透明な音符が次々と移動していく。
音波を連動するように、幽体の仙女たちが舞い、仙人たちが、将軍に何かを報告している幽体たち出現しては消えていく。
俺たちが近付くと半透明な音符が光って鬨の声が辺り一面に響き渡った。
無数の兵士たちの掛け声も谺する。
と、光を帯びた音符が、三つの石碑に衝突。
三つの石碑には、何も刻まれていなかったが、中央の石碑に戦神ツユキラと文字が刻まれた。二つの石碑は破裂――。
中から巻物が入っていたのか、二つの巻物が転がってきた。
「――戦神ツユキラ様のお墓がここにあるとは」
と言いながら、二つの巻物を拾う。
new:神界ヴァイスの戦楽譜×1
new:大仙楽譜×1
おぉ、ガスノンドロロクン様が話をされていた品だ。
更に、頭上から光が射すと、辺り一面が嘗ての樹海で起きた戦いの場面に変化、戦神ヴァイスたちと無数の戦神と神界戦士のブーさんっぽい方と戦巫女たちが、亜神ゴルゴンチュラたちと戦う様子が見えた。
双月神ウラニリ、双月神ウリオウ、神狼ハーレイアの三神の神界セウロス側と、吸血神ルグナド、知記憶の王樹キュルハ、宵闇の女王レブラの姿も見えた。
更に地底神のような存在と、悪神デサロビアに見たことのない荒神たちに古代の神々が争い合う映像となる。
と、その映像は消えた。
「閣下、今のは……」
「古代の樹海で起きた荒神大戦か……」
「「「……」」」
「大地が溶けて、地下深くに黒き環があるのが見えたけど、そこから魑魅魍魎が溢れ出ていたわよ?」
「あぁ」
「戦神ヴァイス様らしき神様が、巨大な光の剣で樹海どころか大陸を貫いていたが……」
「「「……」」」
「そんな戦いの中でも小規模の戦いで死んだ戦神ツユキラ様のお墓がここということか」
「そのようだな、ツユキラ様と共に失われていた神界ヴァイスの戦楽譜と大仙楽譜を俺たちは見つけたということだ」
続きは明日。
HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1~20」発売中。
コミックス1巻~3巻発売中。




