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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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1457/2001

千四百五十六話 キュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片

「おぉ、その情報を教えてください」

「良いぞ」


 よし! 自然に左手で演歌を歌うように握りポーズを作る。

 〝ゴルディクス魔槍大秘伝帖〟と〝髑髏魔人ダモアヌン外典〟の質問は後にしてアドゥムブラリと視線を合わせた。アドゥムブラリも笑みを浮かべて『やったな、主!』と言ったような表情となっては片腕を上げている。俺も片腕を上げて応えた。アドゥムブラリは知記憶の王樹キュルハ様が持つだろう秘宝の噂話をしてくれていた。あの情報は正しかったことになる。闇遊の姫魔鬼メファーラ様に、


「その〝知記憶の王樹の器〟か〝知記憶の王樹の欠片〟は、眷属や仲間たちと記憶を共有できるアイテムなのでしょうか」

「できる。知記憶の王樹の欠片なら数枚持つが、二枚ほどプレゼントしよう。更に、妾は【メファーラの大地】と近い【グィリーフィル地方】の戦場を暫く監視しなければならない、だから代わりに――」


 姫魔鬼メファーラ様の左手首に樹の腕環が出現。

 その樹の腕環の表面の樹から枝が無数に生えて宙空に伸びて螺旋状に回転しながら円を描くと<メファーラの武闘血>などの魔力が内包しているように赤色に光を放つ樹の塊と成った。

 その赤く光る樹の塊が、メファーラ様の左手首に樹の腕環から伸びている樹から切り離されると赤く光る樹の塊が飛来してきた。


 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は、赤く光っている樹の塊から切り離した葉が付いた枝を腕環に収斂させていく。

 更に虹色に光るクローバーのような大きい葉を二枚出現させると、それも寄越してくれた。


「その赤く光る樹の塊は宇内乾坤樹の欠片。知記憶の王樹の欠片の二枚と共に受けとるがいい」

「はい、ありがとうございます」


 先に知記憶の王樹の欠片の二枚を戦闘型デバイスに仕舞う。


「赤く光る樹の塊はキュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片、略してキュルハの宇内乾坤樹の欠片、メファーラの樹、キュルハの乾坤樹などと呼ぶ。手形でもあり、武器や防具にもなり様々に形態が思念で変化させることが可能なのだ」

「はい、仲間と眷属との記憶が共有可能な〝知記憶の王樹の欠片〟の二枚と、手形でもあり〝キュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片〟は、両方とも貴重なアイテムだと思いますが……もらって宜しいのですか」


 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は頷く。


「ハッ……シュウヤは妾の同盟者で闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)なのだぞ? 氣にするな……〝知記憶の王樹キュルハの根の恩恵と神意の樹木の匂いを忘れるな〟の黒魔女教団の教義は、妾にも通じるのだからな。と、強氣に言ったが……妾にも懸念が幾つかある。シュウヤに動いてもらいたい用事は幾つかあるのだ……」


 頷いた。 

 ヴィーネとエヴァとキサラも視線が合うと頷いていた。

 ビュシエは黒猫(ロロ)とイーフォスとララァに<血魔力>製の魚をプレゼントして遊び出している。俺も魚を追いかける遊びにまざりたくなったが、しない。

 

「なんでしょう、ギブアンドテイク、同盟者としてできることはします」

「おぉ、が、その前に、その赤く光る樹の塊、手形にもなるキュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片を受けとるが良い、その手形の名前は、長いから自由に略するといいだろう」

「はい」


 赤色に光っている樹塊、キュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片に左手を伸ばした。

 自然とキュルハの乾坤樹から枝が伸びて、俺の左指と左手と左前腕の闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)装備に絡み付いては、え? 赤い宇内乾坤樹の欠片を吸収し、魔力を得たが……。


「キュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片を吸収してしまいました」

「大丈夫だ。シュウヤと闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)装備などと相性が良い故の事象にすぎない、先ほども言うたが、宇内乾坤樹の欠片は一種の手形であり、シュウヤの意識で様々に変化するから意識すれば、再度、出現するだろう。シュウヤの精神波と結合している未知の存在、微細な妖精なのか不明なものが異常に詰まっているアイテムボックスの機能と同じにな」


 と、姫魔鬼メファーラ様はウィンクしつつ、右腕を凝視してくる。ナ・パーム統合軍惑星同盟の戦闘型デバイスのことを指摘してきた。


 精神波と結合している未知の存在が詰まっているか……。

 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は、ナ・パーム統合軍惑星同盟の文明が造り上げたナノ技術の遺産高神経(レガシーハイナーブ)選ばれし(フォド・ワン)銀河騎士(・ガトランス)のことなどの分析をしたようだ。


 ナノメタルを超えたナノマシンにナノ微粒子の技術に、ペプチド鎖とDNAオリガミの応用を超えた超技術……。

 俺の視力や脳と直結したニューロンに、遺伝子発現制御に、生命の根幹の神経と生体電気をコントロールするための超技術も細かく見れば電気や魔力の流れだ。


 フーク・カレウド博士のチームが作れたように、外からでも生体情報センシング技術と似たスキルの電気や魔力で、ある程度は読み取れるとは思う。

 だが、ナノ粒子のサブミクロンサイズ(0.1マイクロメートル)を超えているだろうナノセキリティ技術をもった人工知能のアクセルマギナもいるから完璧には読み取るのは難しいはずだが、どうだろうか、鑑定眼ではない素の魔力の動きから読み取れる情報には限りはあると思うが……。

 そして、俺の知る地球の科学でもミクロのナノタグインクは開発されていた。

 ナノ技術を使った技術は様々に実用化されて悪用もされていた。

 目に見えないことを利用し、バレなければいいと勿論、良いことにも使われていたなぁ。偽造品や模倣品の流通を見極めるために開発されていた自己集合体が発する光シグナルを偽造防止ナノタグの「ステルスナノビーコン」は有名だった。ナノグラム量のナノタグに特有のレーザーを0.2秒照射するだけで商品管理に必要な情報を得ることができる。こうした技術も使う側次第、悪用し人体に埋め込めば人権を無視した天然の発信器の出来上がりだ。


 と科学的に考えてから――。


 キュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片を意識すると――。

 左の前腕の闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)装備の表面に孔が空き、キュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片の赤い樹が飛び出てきた。


 <鎖の因子>の射出孔から<鎖>が出ているのと同じか。


「その手形のキュルハとメファーラの宇内乾坤樹の欠片には、妾の名があるように妾の魔力も内包している。知記憶の王樹キュルハと取り引きが可能となるアイテムでもあり、セラと魔界セブドラの十二樹海のいずれかの結界と【世界樹キュルハ】か【キュルハ湖岩樹大家】の領域の結界も抵抗なく入れるようになる手形だ。今まで見えていなかった領域も視えるようになる。また、それらの領域では知記憶の王樹キュルハの眷属たちにも襲われることはなくなる。そして、妾と血が繋がったシュウヤならば大同盟の間柄で知己の知記憶の王樹キュルハとも対話が可能、だからこそ我がもらったように〝知記憶の王樹の器〟か〝知記憶の王樹の欠片〟をもらえるはずだ。更に魔界セブドラの十二樹海のいずれかか、【世界樹キュルハ】か【キュルハ湖岩樹大家】に案内できる大眷属がいる」

「「「おぉ」」」

 

 俺もだが、皆が驚いた。


「貴重な品に加えて、案内が可能な大眷属も紹介して頂けるのは、ありがたいですが、先ほどのギブアンドテイクに繋がるのですね」

「その通り、妾にも懸念だが、妾が持つ傷場の防衛と魔界側の傷場を狙っているところがある。傷場の防衛は、ゴルディクス大砂漠の地下に通じている先ほど話をした傷場だ。もう一つは、狩魔の王ボーフーンが支配する傷場だ」

「狩魔の王ボーフーンが支配する傷場……」

「そうだ。比較的に新しい傷場で、セラの魔境の大森林に通じている」

「「おぉ」」


 キサラとヴィーネが驚いている。


「狩魔の王ボーフーンと争っていて、狩魔の王ボーフーンが支配している傷場を闇遊の姫魔鬼メファーラ様は狙っているのですね」

「うむ」

「それは俺たちも好都合ですね、その傷場は俺たちも狙いたい。支配ではなく利用ですが」

「ほぉ、素晴らしい、妾とキサラと黒魔女教団とシュウヤは運命付けられていたようだ」


 と、また涙を流し始めたキサラを見やる闇遊の姫魔鬼メファーラ様。

 皆頷いていた。

 闇遊の姫魔鬼メファーラ様に、


「傷場の防衛とはゴルディクス大砂漠の地下の傷場は危ういのですか?」

「……まだ大丈夫ではあるが……苦戦している。ゴルディクス大砂漠の地下の傷場の近くには、黒き環(ザララープ)があるのだ……」

「あぁ、なるほど、そこから獄界ゴドローンの連中、魔神帝国の地底神たちが、現れているのですね」

「その通り……が、敵はそれだけはない」


 頷いた。


「セラの地下の勢力は多い。地上が天国になるほどカオスな状況なはず」


 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は周囲を見てから頷いた。


「……うむ、妾が支配する傷場の近くには複数の勢力が存在する。一に、古代ドワーフの王国、今ではラングール帝国だ。二に、ノームの独立都市連合。三に、魔神帝国の地底神セレデルの連中。魔神帝国の地底神共は数が異常だから三とは呼べないか、地底神ごとに分かれた愚連隊の国だからな。四に、ダークエルフの魔導貴族連合。五に、ゼリウムボーン系統のモンスター連中。六に、大鳳竜アビリセン連中。七に、幽刻チリチ。八に、オーク大帝国がいる。それらの八つから十以上の、各諸勢力と永らく妾たちは争い繰り広げていた。地下都市の星鉱独立都市ギュスターブも昔に存在していたな。その敵対勢力のお陰で、妾の支配する傷場から得られる魔力量は凄まじいのだ。妾が強い理由の一つでもある。が、リスクもあるのだ。古代ドワーフ王国のラングール帝国とノームを主軸にした独立都市連合側が劣勢になったことでバランスが崩れた。二カ国の連合が、魔神帝国の地底神共に押されたようだな、その影響もあり、我らの傷場にも地底神セレデスの勢力が押し寄せてきたのだ。妾たちの傷場を守る戦上手の眷属ハルカーンが率いている防衛隊に死傷者が続出している。増援を送ってはいるが、大眷属の中には神格を有している者もいる故にセラの傷場には向かえない。魔傭兵に神格を有していない強者はいるが本当に使える者は、妾と接触する前に逃げるからな……メファーラの魔コインと極大魔石にセラの大白金貨と白金貨などの金で靡く強者もいるが、中々集まらぬ、地底神側も数が多くて強いこともあり苦戦中なのだ……」

「なるほど、そこに俺たちに行ってほしいと、では、闇遊の姫魔鬼メファーラ様が支配する傷場を利用させてもらえるのですね」

「無論だ。妾の【メファーラの大地】の傷場にシュウヤが使う転移の場を設けていい。なければ用意しよう。狩魔の王ボーフーンが支配する傷場を攻略している眷属がある陣地にも転移陣はある。尚、【メファーラの大地】の傷場だが、魔王の楽譜とバイセルコーンなど魔法の楽器類を扱える者は、セラと魔界側の傷場の前に複数用意してあるから心配せずとも良い」

「おぉ、至れり尽くせり……」

「どちらの傷場を優先するにしても、シュウヤ様と共に!」


 涙を流しているキサラの言葉に皆が頷いた。

 ゴルディクス大砂漠の地下のことを聞くか。

 

「キュルハの根が、地下水脈を通して地上と通じているようですが」

「うむ。キュルハの根を通した地下水脈から、犀湖都市に砂漠都市ゴザートのゴルディクス大砂漠のオアシス都市には通じているはずだ。妾の黄金都市ムーゴにも通じているとは思うが……長いこと眷属は進んでいないから現状は水脈も埋もれているかも知れぬな……」


 頷いた。


「なるほど……ゴルディクス大砂漠ですが、いずれはメファーラ様の祠とダモアヌン山に向かい、黒魔女教団を再建するつもりでした。惑星セラの樹海の一つの中にあるサイデイルには黒魔女教団のジュカさんがいます」

「ほぉ……セラの樹海の一つ……色々と通じていることに今さらながら、寒気を覚えるが、四天魔女ラティファ、アフラ・ベアズマ、レミエル・アブルサッチ以外は知らぬが、もしや師匠か弟子か、十七人の高手の一人か?」


 闇遊の姫魔鬼メファーラ様はキサラを見る。

 キサラは、


「……はい、ジュカ姉です、シュウヤ様はジュカ姉を救ってくださった」

「ふむ、ふふはは、既にシュウヤは闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)だったのだな」

「はい! 黒魔女教団の教義のお伽の伝説話に〝魔境の大森林から闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)の魔槍使いが来訪する〟……暁の魔道技術の担い手<光と闇の運び手>に、姫魔鬼武装とダモアヌン(光と闇)のマスクの詩があり……『これを溶かす相手はお前の望む相手と心得よ』の古の星白石(ネピュアハイシェント)を溶かした相手がシュウヤ様なのです……」


 と、気持ちが溢れたように語りながら涙を流す。

 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は鷹揚に頷いて満足そうに俺を見た。

 キサラに、


「伝説は本当だった」

「はい!」


 暫し、静かになった。

 キサラの時間を考える。闇遊の姫魔鬼メファーラ様の時間も考えたら、歴史がすべて通じているんだからな、納得だ。


「……ん、キサラとジュカからなんども聞いていた……シュウヤは本当に闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)になったんだから、凄すぎる……」

「はい、怖くなるぐらいに全部が通じている」


 黙っていたヘルメの言葉に皆が頷いている。


「キサラが動揺しまくっていた理由を聞くと納得できる。キサラがゴルディクス大砂漠で活動していた黒魔女教団の時代を考えたら、今の時は、相当な事象か」


 アドゥムブラリの言葉に皆が頷いた。

 キサラとメファーラと俺を見る。

 闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)装備も呼応するように<血魔力>を噴出するように周囲に散らしていく。


「……はい、悪神ギュラゼルバン討伐が、よもや黒魔女教団の伝説に繋がるとはまったく考えていませんでしたので、はい……」


 キサラの言葉にエヴァとヴィーネが横に移動して背中をさすってあげていた。血の姉妹なだけはある。


 その皆に、


「闇遊の姫魔鬼メファーラ様が攻略中の傷場を優先するか? それとも地下の防衛を先にするか?」

「俺はどちらでもいいが……」

「ご主人様の判断に従います」

「「「はい」」」


 ビュシエにグィヴァにシュレゴス・ロードとエトアは黙っている。

 俺たちに付いてくるってことだろう。


「狩魔の王ボーフーンの傷場ですが、闇遊の姫魔鬼メファーラ様の眷属が攻略中なのですよね」

「うむ、妾の十二将の一人ハマーヌを総大将にして攻略中だ」

「ハマーヌさんですね」

「……うむ、ハイエルフのベファリッツ大帝国が暁の帝国の大賢者と同じようなミスを犯した故の傷場、比較的に新しい傷場だ」

「はい、実は、【レン・サキナガの峰閣砦】の真上の空で、狩魔の王のボーフーンの眷属とは戦って倒しました」

「ほぉ、テーバロンテが消えた土地と傷場を狙うのは当然か、しかし、シュウヤ、テーバロンテが支配していた傷場は調べたのか?」

「まだです。この後、調べようと思っていました」

「……ふむ。【テーバロンテの王婆旧宮】の近くにある傷場を狙う諸侯にテーバロンテの残党もいるとは思うが、余裕があるな」

「悪神ギュラゼルバンや恐王ノクターが直ぐ間近まで迫っていたのは、テーバロンテの残党も知っているはずですから」


 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は頷いて、


「……テーバロンテを滅してからさほど時間も掛かっていないか。……そうだな、それを考えれば、シュウヤの行動力は凄まじい。妾と同盟を結び、本当の闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)となったのだからな」


 ヴィーネたちは頷く。


「言われてみたら、納得できますが、流れから自然とです」

「……では、ゴルディクス大砂漠の地下の傷場の防衛には参加せず、狩魔の王ボーフーンが支配する傷場を狙うのか」

「そうですね。その場合は、支配権は闇遊の姫魔鬼メファーラ様に譲りますので、傷場を確保したら自由に使わせてください」

「妾は構わぬが状況次第、狩魔の王ボーフーンと戦う魔界の神々は多い」

「狩魔の王ボーフーンの領域の近くには、魔毒の女神ミセア様の領域があるようですから、ミセア様はヴィーネと繋がりもありますし、俺が対決した悪神ギュラゼルバンにミセア様は牽制をしてくれたので、魔毒の女神ミセア様と同盟が結べるかもです」

「なるほど、ミセアか……妾はな何度か衝突しているが……シュウヤを介せば……が、まだ不透明ではある。【グィリーフィル地方】も落ち着けば、妾も手伝えるだろう。それとも状況次第では、妾の部下を退かせたほうが好都合かも知れぬぞ?」

「あ、それはそうかもですが、闇遊の姫魔鬼メファーラ様はよろしいのですか」

「ふっ、妾は構わぬ、どちらにせよ、闇と光の運び手(ダモアヌンブリンガー)のシュウヤは、ゴルディクス大砂漠の地下の傷場は見てくれるのだろう?」


 と笑いながら語る。

 たしかに、もう俺の気質は理解したか。

 皆も笑顔となった。


「はい」

「ははは、そして、ひとまずは知記憶の王樹キュルハとの面会が先か」

「そうですね」

「では、魔界セブドラの十二樹海の結界の何れかか、または【世界樹キュルハ】か【キュルハ湖岩樹大家】などに、大眷属のポイラーシュと魔樹咒守手ゲンザンに転移、案内させようか」

「はい!」


 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は、宙空に魔力を送る。

 と、宙空から環状の枠が出現し、魔法のゲートとなった。


 そのゲートから二眼二腕の魔術師と四眼六腕の魔族が現れる。

 その二人は、


「「主――」」


 と言いながら床に着地して頭を垂れながら片膝の頭で床を突いた。


「うむ、ポイラーシュよ、この目の前のシュウヤに暫く共にしろ。知記憶の王樹キュルハと面会し、秘宝を望んでいる」

「承知いたしました。シュウヤ様、宜しくお願いします」

「はい、宜しくお願いします」


 闇遊の姫魔鬼メファーラ様は、


「このポイラーシュは、キュルハの眷属と同じくキュルハの<魔神王樹ノ血継>を受け続く一族の出だ」

「そうなのですね、キュルハ様と同じ……」

「うむ、それで【ルグナド、キュルハ、レブラの合同直轄領】、【キュルハ湖岩樹大家】に【キュルハの蔦樹場】、【知記憶の王樹キュルハの根】などに移動したとして、警告しておく、セラや旧神世界にも通じる【幻瞑暗黒回廊】のような〝樹海道〟ではキュルハの宇内乾坤樹の手形の意味は殆ど意味がなくなると知れ。〝樹海道〟の利用は【幻瞑暗黒回廊】や傷場と同じく狭間(ヴェイル)を越えられる移動方法の一つだが【幻瞑暗黒回廊】と同様にあまりお勧めはしない」

「分かりました」

続きは明日。

HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1~20」発売中。

コミックス1巻~3巻発売中。

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― 新着の感想 ―
[良い点] メファーラの本拠地域である【メファーラの大地】の傷場に転移する許可も貰えるとは、シュウヤを信用している証拠ですな。 [一言] >仲間と眷属との記憶が共有可能な〝知記憶の王樹の欠片〟 どんな…
[良い点] 過去に訪れたことがある場所の話が出ると、今まで歩んできた軌跡を振り返るようで、なんだか感慨深い。 知記憶の王樹キュルハの情報が聞ければラッキーと思っていたが、手形でもあり、知記憶の王樹キ…
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