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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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1409/2027

千四百八話 巧手四櫂の熱い想いとバーソロンたちと合流


 キスマリが胸を張って、


「はっはっは、主なら我を選ぶと思っていた!」


 と発言し魔剣を仕舞うと体から<血魔力>を放出させつつ前に来る。

 ヴィーネとキサラ、ビシュエも豪毅なキスマリの横に移動し、


「「「はい」」」


 と返事をしつつ胸に手を当て少し頭を下げていた。


「あいあいさー! 敵をぎったんばったんに!」


 イモリザのガッツポーズを見て自然と笑う。

 第三の腕としてがんばってもらえるが、ピュリンとツアンにも成れるし、<魔骨魚>も普通に優秀だからな。

 

 そして、エヴァ、サシィ、ミレイヴァル、ヴィナトロス、フィナプルス、エトア、マルア、アミラ、古バーヴァイ族だった四腕戦士キルトレイヤと四腕騎士バミアルを見て、


「エヴァとサシィにヴィナトロスとフィナプルスには、ニナとシュアノと共に【レン・サキナガの峰閣砦】の守りを頼む。マルアとアミラはエトアやペミュラスを守ってやってくれ」

「ん、任せて」

「エヴァさん、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「お任せください!」

「主の指示に従おう!」

「がんばります!」

「はい」

「ん、シュウヤ、魔犀花流派のイズチさん、ズィルさん、インミミさん、ゾウバチさんの四人と兵士たちは戦場に連れて行くの?」

「あぁ、イズチたちもニナとシュアノのような回復能力を有しているんだろう?」

「「「「はい」」」」

「総帥様、私たち巧手四櫂と魔犀花流派の兵士を信じてください。総帥様が復活した最初の戦いで共に死ねるのなら本望と思う者ばかり! その気持ちは我ら以上の想いを抱いているはずです」

「「「はい、総帥様!」」」


 イズチ、インミミ、ゾウバチ、ズィルたちの、額に刻まれている花の魔印が輝いた。

 〝巧手四櫂〟たちの顔色は勇気凛凛、熱い想いが<無方南華>の肌にひりひりと伝わってくる。

 称号:<魔神ガンゾウの恩寵>の効果か、魔犀花流派総帥の立場か、自然と俺も滾ってきた。


「……了解したが、主力で戦うのは俺と<筆頭従者長(選ばれし眷属)>と<従者長>となる、それでもいいな?」

「「「「はい!」」」」

「巧手四櫂は空を飛べるのは分かるが、他の兵士たちは空を飛べるのか?」

「<魔闘術>系統の<魔犀花翔>を使えるので飛べます。しかし、長時間飛行は厳しい、ですが<魔仙跳歩>を使えば魔力消費に体力も消費することなく空を飛ぶように跳べます。<魔犀花翔>はあまり使いません。尚、私たち四人が揃えば、それらスキルを使う魔犀花流派の門派全員の性能が上昇し、魔力消費も少なくて済む」


 イズチの言葉に皆が感心したように注目していく。


「へぇ、では連れていくが、俺は広範囲に影響を及ぼせる魔法とスキルがあるから、眷属たちとも、距離を保ちつつ戦うことがある。皆が離れた時は魔犀花流派の兵士の指揮は巧手四櫂たちに任せようと思う。普段だれが指揮を執っているんだ?」

「私の場合が多いです。が、皆それぞれに指示を出すことがあります」

「了解した、では今後の方針として俺がいたら、俺が出す。そして<筆頭従者長(選ばれし眷属)>と<従者長>のヴィーネ、キサラ、エヴァ、ビシュエ、キッカ、サシィ、ミレイヴァル、キスマリなどがいたら、その指示に従ってくれ。皆が離れた場合はイズチに任せる。イズチが離れたらズィル、インミミ、ゾウバチに任せようか」

「――はい!」

「――御意のままに」

「承知致しました――」

「――御意!」

 

 巧手四櫂の四人は額の花の魔印を輝かせながら両手に手を当てて頭を下げた。

 イモリザが真似をしていたが、横に来ていたヴィナトロスとマルアとアミラに止められている。

 

 そんな皆に向け、


「【レン・サキナガの峰閣砦】の直参、ナガタ魔槍隊、シゲザネ魔銃太刀隊、シモルア魔太刀特攻隊、カトウダ大隊の増援に加えて、俺たちの援軍が【タクシス大砦】に戦力が集中することで、戦場が動く可能性がある」


 ヴィーネとキサラが頷く。

 ヴィーネはアキサダをチラッと見てから、


「【峰閣砦】が手薄と睨んで、新たな内部工作作戦を実行させる?」

「あぁ、すべて防いだと思いたいが、それは俺たちの希望的観測だ。まだこの【レン・サキナガの峰閣砦】の街のどこかに工作員を潜ませている可能性の否定はできない」

「たしかに――」

「ふむ!」

「「「「はい!!」」」」

「そうですわね、ここの守りはお任せくださいな」


 ルミコとレンたちも同意するように発言してくれた。


「ん、分かってる。シュウヤがわたしをここに残したのは、シュウヤとロロちゃんがいない瞬間を狙ってくる強者に対抗するため」


 エヴァの言葉に頷いた。


「その通り、俺たちが出た瞬間を狙うかも知れないからな、敵側の作戦立案者もタクシス大砦の攻略には時間は掛かることを予測しているはず。参謀が優秀なら、タクシス大砦への援軍を狙うだろう」

「はい、一度体験済みです。直参たちを狙った悪神ギュラゼルバンの軍勢はありましたが、直参たちは悪神ギュラゼルバンの軍勢を押し返し、多少の犠牲がありましたが、タクシス大砦に入城を果たした」


 レンの言葉に頷いた。


「タクシスは優秀かな」

「はい、ララガべ砦とベーシアン砦の戦力を無駄死にさせないよう、タクシス大砦に受け入れるために、わざと囮として野戦に出て、ララガべ砦とベーシアン砦の人員を引き入れることに成功しています。悪神ギュラゼルバン側の戦力も、タクシス大砦を囲おうとはしていなかった面もあります。野戦重視、臨機応変さがある」


 レンの言葉に周囲が沈黙。

 

 悪神ギュラゼルバンの軍側も結構優秀か。

 多種多様な魔族だ、包囲戦術もあまり意味がないか。

 大軍で城を囲い、補給線を寸断しても、転移陣が中にあるならほぼ無限。

 秘鏡ノ大具と合わせ鏡で、籠城している戦力と援軍側の連絡が密に取れるし、その連絡網の寸断も防御魔法などが幾重にも用意されているから難しいだろう。


 食料不足を起こさせようと囲んでも<無方南華>のようなスキルは他にもあるかも知れない。

 空からのクラスター爆弾のような魔法空爆や転移を用いた奇襲の可能性などを考慮すれば、抱囲戦術は逆にリスクになるか。


 だからこそ電撃戦が重要かな。

 まさに、『風林火山』……疾きこと風の如く、敵の首脳を潰す。これが、肝要だな。


 と闇烙龍イトスと闇烙竜ベントラーの体重を活かすことも十分な威力となりそうだ。

 大軍を用意しても、空から闇烙龍イトスと闇烙竜ベントラーが落下し着地するだけで、地面の大軍はぺちゃんこだ。

 衛星軌道上の衛星兵器から、大きな鉄杭を地面に射出、落下させるだけで、バンカーバスターのような破壊力を生む攻撃も可能だったからな。


 ただ、闇烙龍イトスも闇烙竜ベントラーも的が大きいから、大魔法や投げ槍に遠距離攻撃など喰らいまくるだろう。戦場で狙いやすいのは致命的、集中攻撃を喰らえば死んでしまうかも知れない。

 俺の《水癒(ウォーター・キュア)》や回復ポーションもあるが、闇烙竜ベントラーと闇烙龍イトスはなるべく戦場では使いたくない。

 使うにしても限定的だろう……。


 闇烙(あんかく)・竜龍種々秘叢(ひそう)の巻物も出したままなのも戦場ではリスクがある。

 

 するとキサラが、


「北方マニア馬兵団と黒騎虎銃大隊の軍と衝突しそうな、恐王ノクターの勢力の軍も、シュウヤ様とロロ様が【レン・サキナガの峰閣砦】を離れる隙を窺っている可能性はあります。しかし、少し前にシュウヤ様も仰っていましたが【マセグド大平原】と【メイジナ大平原】とバーヴァイ地方の境に、恐王ノクターが自らの軍を置くことに重きを置いているだけならば……悪神ギュラゼルバンと恐王ノクターも一枚岩の同盟ではない以上、恐王ノクターは、悪神ギュラゼルバンが乗り気なタクシス大砦や峰閣砦の戦いに参加せず傍観を決め込む可能性もあります」


 恐王ノクター側の視点とキサラの深い読みに、四天魔女としての知見を感じた。

 皆も頷く。


「エヴァ、状況次第では黒騎虎銃隊の支援に回ってくれていいからな」

「ん、分かった」


 すると、

 背後に、見知った魔素を察知。


「『ウォォォォン――主と友!!』」


 魔皇獣咆ケーゼンベルスだ。

 大きさは黒い狼にしか見えないversionだ。

 大魔獣ルガバンティなどに、遠慮しているわけではないと思うが、と、レン家の大魔獣ルガバンティなどを使役している方々の呼吸がヤヴァいことになっていた。

 あぁ……そうだった。


 魔皇獣咆ケーゼンベルスは人形が売られているほど大人気だった。

 そして、信仰の対象でもある。

 案の定、レンたちが魔皇獣咆ケーゼンベルスに対して、「「「――魔皇獣咆ケーゼンベルス様――」」」と頭を下げるように片膝の頭を床に突けていく。


「よう、またせたな!」


 と<筆頭従者長(選ばれし眷属)>のアドゥムブラリの声が響いた。そのアドゥムブラリに片腕を上げ、


「おう、皆、よく来てくれた」

「陛下!」

『陛下と皆、お待たせしました!」


 光魔騎士グラドと<筆頭従者長(選ばれし眷属)>のバーソロンだ。

 あれ、バーソロンの足下には、見知らぬ四眼四腕の魔族と黒髪の二眼二腕の魔族がいる。しかも、その二人は首輪と手足で、首と手足が拘束具で拘束されている。


 なんかあったのか?

 

「ンン、にゃ、にゃおお~」


 相棒が早速、皆を出迎えに向かう。


「ウォォン――」

「ンン――」


 黒猫(ロロ)と魔皇獣咆ケーゼンベルスが鼻を突き合わせてから頭部の匂いを嗅ぎ合うようにグルーミングを開始。

 銀灰猫(メト)も交ざるように体を寄せていた。犀花(サイファ)が「オゥウゥンン」と鳴きつつ寄ると、


「ハッ、新入りか! 来い<魔皇ノ嗅覚>で調べてからだが……我が満足できたならば、友と同じ<魔皇ノ匂力>を付けてやる」


 と、犀花(サイファ)は魔皇獣咆ケーゼンベルスに近付いた。

 魔皇獣咆ケーゼンベルスは鼻をフガフガと動かしつつ、犀花(サイファ)の角と頭部の匂いを嗅いでいく。

 何気に魔皇獣咆ケーゼンベルスの匂いのスキルを初めて知れた。

 

 さて、アドゥムブラリたちに、


「皆、丁度、戦が始まったところで、作戦会議中だった」

「おう、血文字である程度は知っていた。少し遅れたのはバーソロンが殺し屋の集団に襲われたこともある」

「はい、襲われた場所は【メイジナ大街道】の【バクロウ商店通り】です。その襲撃犯のすべてを倒して一部を殺し、一部はご覧のように捕まえました。既に尋問済みです」

「相手は、悪神ギュラゼルバンか恐王ノクターか?」

「そうではないようでした。まだ確証ではないですが」


 とバーソロンはエヴァを見る。

 エヴァは直ぐに頷いて、バーソロンたちの下に向かう。

 

続きは明日。

HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1~20」発売中。

コミックス1巻~3巻発売中。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ケーゼンベルスにアドゥムブラリにグラドとバーソロン到着! [一言] >「エヴァとサシィにヴィナトロスとフィナプルスには、ニナとシュアノと共に【レン・サキナガの峰閣砦】の守りを頼む。マルアと…
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