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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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千二百五十一話 〝炎幻の四腕〟の彫像

 魔神レンブラントを模した〝炎幻の四腕〟をチラッと見てから、魔神バーヴァイ様の幻影に向け、


「サーマリア王国なら知っています。オセべリア王国の隣の国。俺のセラ側にいる眷属たちには、そのサーマリア王国出身者が多い」


 驚いてるヴィーネたちは黙って俺たちの会話を聞いている。

 魔神バーヴァイ様の幻影は揺らぎつつ、


「……光魔ルシヴァルの眷属にか。シュウヤはレンブラントの血筋を知っているのか?」

「会ったことはありませんが、武人レンブラントの名は聞いたことがある。レンブラント大広間の名も。レンブラントの名はサーマリア王国では有名のようですが……俺はあまり詳しくはない」


 ヴィーネたちなら知っているかな? と視線を向ける。

 銀色の眼を少し輝かせたヴィーネは、


「サーマリア王国の武人レンブラント。国王派の武闘派貴族だったと聞いたことがあります。東マハハイム地方からサーマリア王国に侵攻してきた獣人諸勢力の一角を打ち砕いたのはレンブラントが率いた部隊のお陰とも、しかし、ムサカにて自決した話もあります」

「……へぇ」

「レンブラントの一族が自決とは、よほどのことがあったんだろう。では、今も、そのムサカの地に魔王レンブラントの血筋がいるのか?」


 と、魔神バーヴァイ様の幻影が聞いてくるが、ムサカの地は……。

 これも正直に言うか。


「古都市ムサカ、別名豹紋都市ムサカは、オセべリア王国との戦争で燃えました。今も戦争という名の軍需産業活性化のイベントはムサカの一帯で続いているはず」


 俺が告げると、魔神バーヴァイ様は視線を下げた。

 はっきりと戚容(せきよう)とした気持ちを顔に出す。そして、唇の幻影を震わせて、

 

「……セラも魔界と変わらず争いの世か……他の魔王級魔族と共にサーマリア王国の建国に貢献したはずだが、自決とは……我の知る魔神レンブラントは、もう失っているのかも知れぬのだな」

「「「……」」」


 何も言えない。

 魔神バーヴァイ様の幻影は、周囲を見てから、


「これも、また一つの道よな、レンブラント……」


 と切なく語ると、痛みを我慢しているような表情を浮かべてから片腕を振るう。


「……ぐッ」


 振るった片腕が弾けた。

 魔力粒子となって一つの台座に向かった。台座の上には〝炎幻の四腕〟が浮いているが、その〝炎幻の四腕〟と接触した魔力粒子は火花を散らしながら……〝炎幻の四腕〟に何かを語るように爆発すると〝炎幻の四腕〟を残して台座は破壊された。


 破片が四方に飛ぶ。

 巨大な神獣(ロロ)と腹巻きのような〝アメロロの猫魔服〟と台座の破片が衝突していた。相棒にはダメージはない。


 すると、〝炎幻の四腕〟がゆらゆらと片腕が消えている魔神バーヴァイ様の幻影の前に移動した。


 魔神バーヴァイ様は、


「ふむ……」


 と言うと、残りの三つの腕を、その〝炎幻の四腕〟に向けた。


 と三つの腕の掌に魔眼が現れる。

 魔眼から紫と銀と闇の魔力が放出された。


 その魔力が〝炎幻の四腕〟に絡み付いた途端――魔神バーヴァイ様の三腕が爆発。


 爆発した魔力粒子も〝炎幻の四腕〟に直進し当たった刹那――。

 

 〝炎幻の四腕〟は収縮し、小さい〝炎幻の四腕〟の彫像(スタチュー)となる。


 象牙彫刻に見えた。

 すべての腕が消えた魔神バーヴァイ様の幻影は、


「……シュウヤ、この〝炎幻の四腕〟の彫像を、お前に託す。サーマリア王国にいるだろう。レンブラントにこれを渡してくれ……」

「え、バーヴァイ様の四腕は……」

「あぁ、気にするな。我の体はとうの昔に魔界王子テーバロンテと悪神デサロビアなどとの戦いの影響で消えている。が、今の精神体ならば、いくらでも再生は可能だ。しかし、神格は、かなり落ちている状況故……完全な復活は、もう望めない状況だがな……それに、我の力を受け取ったシュウヤがいる。我はそれで十分だ。そして、この〝炎幻の四腕〟をお前に預けよう。できれば<黒衣の王>を得た対価として、サーマリア王国のレンブラントの一族に渡してほしいが……強制はしない。〝炎幻の四腕〟を渡すも渡さないもシュウヤの自由だ……」



続きは今週を予定。

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[一言] 「……セラも魔界と変わらず争いの世か……他の魔王級魔族と共にサーマリア王国の建国に貢献したはずだが、自決とは……我の知る魔神レンブラントは、もう失っているのかも知れぬのだな」 サーマリア王国…
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