千二百十五話 <神剣・三叉法具サラテン>に仙武人ドレカムの人形
沙の皆の歓声に応える仕種はアイドル歌手っぽい。
すると、その沙の背後から羅と貂がステップしつつ前進。
そのまま沙を跳び越えて、宙空で身を捻りながら神剣をササッと左右に振るう<御剣導技・風梛>を披露した。
沙も、
「ふふ、妾も<穂御津>を見せる!」
「ふふ、分かりました。<御剣導技・風梛>と合わせましょう!」
「はい、行きますよ、沙、貂! <羅仙瞑道百妙技>――」
「うむ!」
沙は身を捻って背中から宙返り――。
羅と貂もステップバックの動きから身を捻りつつ跳躍をしては飛ぶ。
宙空で<御剣導技・風梛>を披露した。
同時に三人の周囲に展開されている葉の守袋も個々の動きに合わせて乱高下すると、その葉の守袋から蔓と青白色の実が出て伸びては上下に組み合わさりながら周囲に展開されていく。
青白色の実はキラキラと輝いて美しい。
同時に沙・羅・貂の剣術の<御剣導技>の剣筋の一部が読めてくる。
沙・羅・貂も神剣と仙女の衣服もリニューアルされていて素敵だ。
小さいイターシャの白い鼬も貂の首回りにいる。
可愛い。
そして、〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の前に出現していた幻影を思い出した。ここでも繋がっていると思うと感慨深い……。
マルアとも関係している神界セウロスの仙人と仙女たち。
沙・羅・貂の<御剣導技>が少し分かったような気がしたのは三叉魔神経網の<神剣・三叉法具サラテン>が発展したお陰だ。
そうなると『神淵残巻』や『神仙燕書』を見つけたいところだが……沙に悪いが槍ではなく剣だからな。
「「「「おぉ」」」」
「おぉぉ、生の太股が美しすぎる!!!」
「おおおお、蹴られて挟まれてみたい!!!」
「にゃ~」
「――俺は、ふさふさな尻尾で叩かれたいぞぉぉ」
「またも沙・羅・貂様が美しい剣舞を!!」
「これが<御剣導技・風梛>!」
「いつもと違う剣舞は<御剣導技・風梛>!」
「にゃァ~」
「素敵~」
「いい踊りっぷりと、いいお尻ちゃんですね!」
「音楽を奏でたくなります」
「はい♪」
「ちゅいちゃんですか♪」
「ふふ、はい、三人が美しい葉の守袋は、御守りのようですね」
「ん、葉脈のような魔力も浮いていて綺麗」
「ですね。葉の守袋と蔓に青白色の実は、時々不思議な色合いの輝きを放ってます」
皆も沙・羅・貂の動きに魅了されていく。
魔獣アモパムは頭頂部に毛の先端を細めて、変な髪形のままイモリザから少し離れて沙・羅・貂たちに行こうとしていたが、イモリザが毛を引っ張ると止めていた。
一部のデラバイン族の兵士たちは沙・羅・貂のファンがいるようだな。
沙・羅・貂たちに向け、
「おめでとう、〝仙王鼬族の風の人形〟は沙・羅・貂たちを成長させるアイテムに変化したんだな」
と発言すると、沙・羅・貂たちは<御剣導技・風梛>を止めるように飛翔しては、
「「はい!」」
「うむ!」
と可愛く返事をしてくれた。
その沙・羅・貂たちに頷いてから、ラムーに、
「では、次の品、〝背が甲羅と融合している仙武人の人形〟の鑑定を頼む」
ラムーは頷いてから、霊魔宝箱鑑定杖を翳す。
先端の灰色の水晶から灰色の魔力が迸る。
その灰色の魔力と〝背が甲羅と融合している仙武人の人形〟が衝突すると煌めいた。
ラムーは頷いて、
「名は仙武人ドレカムの人形、階級はユニーク級。魔力を込めると何かが起きる……と、少し読めました。雷仙使いドレカム、白蛇仙人ブショウから棍馬闘技と玄智・明鬯組手を学ぶとあります」
「何かが起こるか」
「はい」
「ご主人様、さきほどの沙・羅・貂たちが<御剣導技・風梛>を得たような貴重な出来事が起きるかもです」
「そうだな。皆、仙武人ドレカムの人形を一旦仕舞う。そして、ラムー、アイテム鑑定を頼むかも知れない品はまだあるが、それはまた今度にする」
「はい」
「皆、休養を取った後の話だが、俺たちはある程度の人数でバーヴァイ城の地下に向かう」
「「「「イエッサー!」」」」
「「「了解です!」」」
皆、気合い十分。
その皆に、
「目的は、魔裁縫の女神アメンディ様を救出し、古バーヴァイ族の四腕戦士キルトレイヤと四腕騎士バミアルの捜索を行う。そのつもりでいてくれ」
「「「「「はい!」」」」」
「我も行きたいぞ!」
「ウォォォ!」
「楽しみです!!」
再び気合い溢れる声で返事をしてくれた。
机に並ぶ鑑定済みのアイテムをすべて仕舞った。
そして、【グラナダの道】の面々に、
「〝魔砂状図〟が扱えるバスラードさん、バーヴァイ城の地下探索の協力を頼む」
「承知しました」
そこでヴィーネたちを見てから魔槍斗宿ラキースと青炎槍カラカンを取り出し、青炎槍カラカンをキサラに放る。
「休養の間に、相棒に、ヴィーネとミレイヴァル、フィナプルスにキスマリにエヴァもだが、チームで模擬戦と行こうか?」
と言いながら魔槍斗宿ラキースを掲げた。
「ん!」
「「はい!」」
「にゃ~」
「にゃァ」
「使者様、わたしも参加したいですが魔獣アモパム、ううん、ちゅいちゃんと遊んでいます!」
「――ちゅいですか?」
ちゅいちゃんこと、魔獣アモパムは跳躍。
イモリザの肩に乗っていた。
丸い魔獣アモパムのちゅいちゃんは、かなり可愛い。
続きは今週を予定。
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