千二百十四話 仙王鼬族の風の人形と沙羅貂
幻影の踊りだけのユニーク級か。
貂の尻尾の動きを見ながら、
「ラムーそれだけなのか?」
「わたしと霊魔宝箱鑑定杖の能力にも限界はあるので、〝仙王鼬族の風の人形〟には、まだ、隠れた能力が秘められているかもです」
「へぇ」
周囲はざわつく。
貂は机の上で、無数にある尻尾をふわふわと動かし踊りながら、
「――器様、この〝仙王鼬族の風の人形〟をください!」
「おう、いいぞ。皆もいいかな?」
「「「はい!」」」
「どうぞ~♪」
「にゃ~」
「ンン」
「貂がアピールするなんて珍しいですね」
「たしかに」
ヘルメとヴィーネが指摘した。
皆はもう次の品に興味が移っている。
貂は、
「では、いただきます~」
と言って机の〝仙王鼬族の風の人形〟を取った。
貂は、魔力を人形に通したのか。手に持つフウの人形から等身大の貂と似た仙王鼬族の幻影が浮かぶと共に踊りながら机から離れていく。
「――ふふ、風の幻影を見ていると、【風神ノ蝉丘】で一緒に踊った斗と、木を思い出します。一緒に大蝉ペジアンを追い掛けた」
「はは、たしかに! 小烏シアルが一緒に飛翔しているようにも見えるぞ!」
「はい! 神界に戻ったような気分です、一緒に踊りましょう」
「うむ!」
沙と羅が互いの腕の肘を組み合うと楽しく踊りながら、貂の後を追った。
右手に神剣を召喚した沙・羅・貂は、仙王鼬族の幻影の風と共に宙空で剣舞を披露していく。
すると貂の持つ〝仙王鼬族の風の人形〟が崩れる。幻影も魔力の粒子と葉の形状の魔力となって沙・羅・貂たちの神剣に降り掛かる。
沙・羅・貂の神剣の波紋に葉の色合いが増える。
と、神剣の柄や剣身の一部から青白色の実を有した葉が連なった蔓のようなモノが発生。
それらが風を起こし、葉の守袋のような物が沙・羅・貂の周囲に発生。
続けて、仙王鼬族の幻影の風の幻影が出現し、沙・羅・貂の剣舞に合わさっていく。
「ふふ!!」
「おぉ~妾たちが進化!」
「はい!」
「「「「「おぉ」」」」」
俺もだが皆が驚く。
「サラテンたちが進化とは、神剣に、葉と植物に葉の守袋の魔力のことか?」
「うむ! <御剣導技・風梛>! を獲得したぞ!」
沙が神剣を持つ細い片腕を上げて宣言。
綺麗な腋が見えて素敵だった。
「「「おぉ」」」




