千二百十三話 〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟と〝仙王鼬族の人形〟の鑑定
沈黙している者が多い蜘蛛娘アキとイモリザに光魔騎士ファトラとエラリエースに向け、
「あえて聞くが、〝幻魔ギルンの指造魔岩〟は……欲しい?」
「要らないです♪」
「「要らないです」」
「はい、遠慮します」
皆、要らんか。
アチ、バーソロン、光魔騎士グラド、ミジャイ、ロズコ、アマジさん、ビートンさん、ジアトニクス、エトア、ポーさん、ムクラウエモン、テパ・ウゴ、ヒビィさん、メトマさん、二階から降りてきたファウナ、キョウカ、パデフィンさん、ポンガ・ポンラさんは沈黙したままだ。
バードイン迷宮の刑務所組も頭部を左右に振っている者が殆ど。
強くなれる可能性もあるが、リスクが負う必要はないよな。
〝幻魔ギルンの指造魔岩〟をアイテムボックスに仕舞う。
「ラムー次は〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟を頼む」
「はい、では――」
ラムーは机に置いてある魔槍コレクションの一つ〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟に向け霊魔宝箱鑑定杖を掲げる。
先端の灰色の水晶が煌めくと灰色の魔力でて〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟に衝突した。
ラムーは、
「名はシュウヤ様が言われていように〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟、階級は伝説級です。製作者は不明。装備しているだけで、水属性の影響が強まる。<凍迅>効果の体の周囲に凍った魔力が強まるようです。長く装備し実戦を重ねると魔烈皇凍迅流以外の魔茨甲凍迅流の<魔茨・甲凍迅>などスキルを学べる機会があるようです」
「「おぉ」」
「〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟はあまり使っていないが……魔茨甲凍迅流の<魔茨・甲凍迅>を覚えることができるのか。強いなら覚えるまで使い続けるのも、いいが、他にも槍があるからなぁ」
「ですね、ご主人様の魔槍コレクションには色々と先が多い」
「ん、<天賦の魔才>を持つシュウヤが〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟を使っても直ぐに<魔茨・甲凍迅>を覚えていないのは、難易度が高いスキルなのかも」
「はい」
「魔槍斗宿ラキースの<握吸>と<握式・吸脱着>も〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟と一緒にスキルの獲得難易度が高いのかも知れませんね」
「はい、魔槍斗宿ラキースはご主人様が少し訓練をしましたが、獲得はできず。しかし、仙王槍スーウィンでは直ぐに<白炎明鬯穿>のようなスキルを覚えることができた。相性も〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟は水属性です。ご主人様といいはずですからね」
皆の意見に頷いた。
「茨の凍迅魔槍ハヴァギイの使用だが、実戦はどうしても魔槍杖バルドークと神槍ガンジスを使ってしまうんだよな」
「「はい」」
玄智の森では、ほぼほぼ無名無礼の魔槍を使っていたが……。
「では、〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟は仕舞う。ラムー次の〝仙王鼬族の人形〟の鑑定を頼む」
机に置いてある〝茨の凍迅魔槍ハヴァギイ〟を引いて右手の掌の上で回転させつつ人差し指の上に移動させて、そこでも横回転させてから、戦闘型デバイスに仕舞った。
「ん、シュウヤ、槍の動かし方が凄い!」
「はい、槍の動きが生きた蛇、もう一つの腕にも見えましたよ」
「使者様の槍の腕前はどんどんと上昇しているのが分かりますから、観ているだけで楽しいですね♪」
「ちゅいちゃんですね♪」
「にゃ~」
「にゃァ」
イモリザ&魔獣アモパムに黒猫と銀灰猫も賛成しているように鳴いていた。
「ラムー、次はこの〝仙王鼬族の人形〟の鑑定を頼む」
「はい」
「気になります」
貂が沢山ある尻尾をふりふりさせながら机の前に移動した。
貂は……。
※貂、誉れある神界の仙王鼬族が貂なり※
だからな。
直ぐに霊魔宝箱鑑定杖を使う。
「名は〝仙王鼬族の風の人形〟階級はユニーク級、魔力を込めると、仙王鼬族の風の等身大の幻影が出現し、それが前方に向けて踊りながら消えるようです」
「……」
「フウのことは知っているのかな」
「仙王鼬族はいっぱいいるので、知りません」
続きは今週を予定。




