千九十六話 ミナルザンの熱い志
2023年4月5日 20時01分 修正とヴィーネとシュウヤの台詞変更~
皆を乗せている神獣ロロディーヌが頭部を向けてきた。ミナルザンも近付いてくる。
獄炎光骨剣を腕輪型のアイテムボックスに仕舞い、
「神獣ト主! 帰ッテイタノカ!」
頷いて、カリィたちにも聞こえるように、
「おう、サイデイルのキッシュにママニたちと情報交換して空極のルマルディを眷属に迎えた。今は相棒に乗っている。で、ミナルザンの地下都市ゴレア行きの話なんだが……だいぶ後になると思う。すまんな」
「フハハ、キニスルナ。……我ハモウ……【外部傭兵ザナドゥ】の傭兵百兵長デハナイ。ソレニ転移シタ仲間タチハ強イ。秘宝リギョホルンモ守ル者ハ多い。後、此処ニマグルの友ガ増エタ。絆ガデキタ。シウ、エヴァ、ノエルハ可愛イ!」
「あぁ、エヴァはたしかに可愛い」
「ウム! ソシテ、〝黒呪咒剣仙譜〟ヲマナベテ、我ハ強クナレタ。武人トシテ、剣術ノ深ミガ増シタコトハ、身ガフルエルホドウレシイノダ。更ニ、南マハハイム共通語モ学ブコトガ出来テイル……ダカラ、皆ト主ニ! 感謝シタイ! エセル大広場モ、皆ニケショウヲホドコサレテ、ノエルタチと行ッタガ、タノシカッタゾ!」
エセル大広場か。化粧っていえば……。
前、皆でミナルザンの顔に化粧品のマジックアイテムを塗りたくっていたが……。
体も巨大な貫頭衣で隠せるかな。
「……分かった。そう言ってくれるとありがたい」
「フッ、我ハ、我ノ意思でここにいル。ダイタイ、主モ〝船は帆任せ、帆は風任せ〟とイッタデハナイカ!」
「あぁ、そうだったな」
と笑うと、ミナルザンも笑ってくれた。
ミナルザンは熱い志があるからほっこりする。
同時にゼメタスとアドモスの姿が思い浮かんだ。
グルガンヌ地方も見ときたい。
そして、ステータスにあった……。
※光魔沸夜叉将軍・召喚術※
※光魔ルシヴァルの<血魔力>と融合したプレインハニーを取り込んだアニメイテッド・ボーンズと融合を果たした沸騎士たちは、魔界黒沸騎士長ゼメタスと魔界赤沸騎士長アドモスに進化を果たし、更に光魔ルシヴァルの宗主シュウヤ・カガリにより生命力などを多大に与えられることにより、光魔沸夜叉将軍に進化を果たした※
※光魔沸夜叉将軍となったことで、魔界のグルガンヌの東南地方の領域は上下に拡大※
※光魔沸夜叉将軍に進化し、大量の黒獄アニメイテッド・ボーンズと赤獄アニメイテッド・ボーンズを獲得した※
※更にディペリルの高級魔コイン、レブラの高級魔コイン、メファーラの高級魔コイン、レンシサの魔白金コインを獲得したゼメタスとアドモスは、グルガンヌの滝壺で、新たなる部下を造るための儀式を考え中※
※グルガンヌの滝壺の横には、隔離された天然塩が生まれるようになり、グルガンヌの滝から地続きの地下遊泳場とグルガンヌフィッシュが泳ぐ大きな池も生成されて、ソンリッサの群れ森から大量のソンリッサが滝壺に集まるようになった※
※ゼメタスとアドモスは発狂してソンリッサ調教合戦を少しだけ始めていたところだった※
※現在、上等戦士ゼアガンヌと、とある魔族女性が、魔界のグルガンヌの東南地方を防衛中※
※闇の獄骨騎はシンプルな指輪に変化※
ゼメタスとアドモスのために、とある魔族女性がグルガンヌの東南地方を防衛してくれているらしいから、お礼をしときたいんだよな。
そして、部下の上等戦士ゼアガンヌに、新しい部下を造るための儀式が気になりすぎる。
すると、傍にいるヴィーネが、
「ミナルザンの通訳をすることが多いノエルは言語学者のように知識が豊富です。ペレランドラは、『ミナルザンが獄界ゴドローンの種族たちの通訳として育ってくれれば、将来、シュウヤ様と【天凛の月】の役に立てる存在になり得ます』と言っていました」
「なるほど……今後重要になるかもな。マグルと仲良くなれるキュイズナーは貴重だ」
「はい」
カリィたちも頷く。
「パキュ~」
ルピナスも傍にきて二つの頭鰭を見せてくる。
「……獄界ゴドローンからセラの地下に進出している地底神セレデルなどの魔神帝国の諸勢力と戦っているハフマリダ教団のアムたちにも協力できるかもな」
「はい。そして、ミナルザンですが、二本の手足ですし、仮面などを被れば、周囲にバレることもないです。買い物も出来ていましたし、普通に上界の町を歩いても大丈夫だと思います。ユイは【天凛の月】のことも教えています」
へぇ。
「キュイズナーも人族や魔族にオークと変わらない」
「はい、ご主人様がよく語られている話が可能な知的生命体が、ミナルザンです」
ヴィーネが微笑みながらそう語る。
自然と笑みを浮かべて、
「おう」
「ふふ」
微笑むヴィーネ。
荒鷹ヒューイの<荒鷹ノ空具>の翼を解除して、
肩に荒鷹ヒューイを乗せていた。
「ピュ~」
【天凛の月】の衣装の肩の部分にはヒューイが乗せられるパッドが備わっている。
すると、相棒が頭部を突き出すように寄せてきた。
その神獣の頭部はグリフォン的な造形。
毛がそれなりにあるが、首元は細い。
胸板は分厚く、毛が豊富。
首から胸にかけて段々畑のように傾斜して並ぶ羽毛のような毛並みが非常に可愛らしく見えたが、大きいグリフォンの姿だから迫力満点だ。
黒い点にも見える眼で俺を凝視してくる相棒は、
「ンン、にゃ~」
と大きい喉声と鳴き声を発して、俺に乗るように促してくれた。
ヴィーネの手を握って、
「行こうか――」
「はい」
とヴィーネと共に駆けて跳ぶ――。
神獣の頭部にヴィーネと共に着地――神獣の頭部には、ハンカイ、キッカ、ルマルディ、アルルカンの把神書、蜘蛛娘アキ、バーソロンに皆がいる。
神獣ロロディーヌは「ンン」と鳴いて少し駆けたが、動きを止めた。
続きは今週を予定。
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