千九十五話 魔塔ゲルハットでの話し合い
リビングのソファ近くでミスティとハイタッチ。
近くにいるナミとリツともハイタッチをしてハグをした。
すると、黄黒猫と白黒猫を引き連れているような銀白狼が「ワォォォン――」と鳴きながら飛び掛かってきた。
「――ワォォンッ!!」
「ニャァ」
「ニャォ~」
その銀白狼を抱きとめた。
黄黒猫と白黒猫は足に頭部を当ててきたが、シベリアンハスキーを更に大きくしたような銀白狼に少し押されてソファの背と背中が衝突。
そのまま銀白狼を抱え上げて、息が荒い銀白狼を凝視。
紺碧の色合いの双眸が可愛い。
鼻にチュッとしてから、毛が豊富な胸元に顔を埋めながらギュッと抱きしめた。
「――はは、銀白狼の毛もモフモフで気持ちいいな!」
「ふふ、皆の元気が増したように見えます」
とナミが発言すると、銀白狼が、
「ワンッ」
と元気のいい声を発した。
その銀白狼の体を撫でてから床に降ろすように片膝を床につけた。そして、横にいる遠慮勝ちな子鹿の小さい頭から体を撫でていく。
「グモゥ~」
と、お返しに俺の手を舐めてくれる子鹿は可愛い。黄黒猫と白黒猫の頭部も撫でてあげた。
そして、尻尾の揺れが凄まじい銀白狼は「ワンワンッ」と鳴きながら俺たちの周囲を回るように駆けている。
そんな様子を見て微笑んでいるミスティが、
「ふふ、異界の軍事貴族たちとアーレイとヒュレミは本当に嬉しそう」
「はい、師匠がいるといないとでは結構な差があります。そして、転移陣から師匠たちが現れる前から、急にそわそわと動き始めたんです」
ビーサがそう発言。
リツたちも頷いている。
エジプトの神様のバステトや妖怪猫又を思い浮かべながら、
「超自然知の能力が高まった故か。魔造虎と異界の軍事貴族だからで説明がつくが、普通の猫や動物たちも、霊異的な能力を秘めているのかも知れない。そんな話をどこかで聞いたような気がする」
「へぇ、あ、そうね、うん。マスターが来る前、料理中だったんだけど、急にシルバとハウレッツがわたしのお尻、ううん、スカートの部分を噛んでリビングに呼ぼうとしていたし……」
と言うミスティはシャツにエプロン姿だ。
料理とは意外だ。
「超自然的なパワーですね」
「獣の勘?」
「ふふ、はい」
ナミとリツがそう語る。
頷きつつ立ち上がると、ミスティが、
「キッシュたちから聞いたけど、レネとソプラを<従者長>に迎える予定を組んだようね」
「おう、その予定だ。で、その<従者長>になる予定だった……カリィとレンショウはどこにいったんだ?」
と周囲を見渡す。
ペレランドラとドロシーたちもいない。
ハンカイはキッカに冒険者登録をお願いしていた。
ユイとレベッカとヴィーネが、イノセントアームズに入ったらいいじゃない~というようなことを話している。
クナとルシェルはヴィーネにアイテムボックスのポーチを渡していた。
ミスティが、
「下の庭よ。<血魔力>と〝黒呪咒剣仙譜〟の<黒呪強瞑>などの新しい剣術を学んだカットマギーと、〝紅孔雀の攻防霊玉〟を装備しているキサラ、ミナルザン、キスマリとチームを組み合いながら模擬戦を行っている。ペレランドラは上院評議員の仕事で護衛にクレインがついた。ペグワースたちは一階で『すべての戦神たち』の作業中。ドロシーとディアは一階か、庭で模擬戦の見学かな」
「分かった。しかし、派手な戦いだと、さすがにカリィやレンショウではキツイと思うが……」
「うん。だから、カリィとレンショウ側には法魔ルピナスが付いている。常時回復魔法のようなブレスを吹きまくっているから、傷は直ぐに回復していた」
「おぉ、毒の治療ブレスだけではなかったのか」
「うん」
「ふふ♪」
と、皆と会話中だったクナが微笑む。
すると、近くにいたレベッカが、
「シュウヤ、言ってなかったけど、クナが秘薬を法魔ルピナスに飲ませていたの。そしたら、法魔ルピナスが頭鰭をくるくる回しながら全身から魔力を発して、口から水蒸気のような烈級クラスの回復魔法を繰り出すようになったの」
「クナ、法魔ルピナスの強化を?」
「はい♪ 勝手にすみません。セーフハウスを回っている際に、【闇の妓楼町】で入手しているトレビルの魔薬以外にも、わたしのホムンクルスが溜め込んでいた貴重な麻袋を幾つか入手していたので、それらの素材をマハ・ティカルの魔机で加工して色々とポーションを造ったのです。ルピナスちゃんに飲ませた精神活性化薬と心魔増強剤に副作用はありません」
「「おぉ」」
「そのような薬が……」
俺とハンカイにルマルディが驚く。
「クナ、ありがとう」
「いえいえ」
そして、
「エヴァたちがカットマギーに〝黒呪咒剣仙譜〟の内容を告げたのかな」
「あ、うん。皆が伝えたけど、事前に知っていたはず。わたしも覚えてるし。えっと……『内なる魔力を己の呪咒の剣刃として感じ得よ』と、『さすれば己の内の魔力が自然と武と力と剣となろう』と『同時に己の内の底を刮目せよ!』でしょ?」
「おう、その言葉だ」
「あ、〝黒呪咒剣仙譜〟の言葉なら、【テーバロンテの償い】残党などと戦っているときに伝えたからね」
と、ハンカイとキッカと冒険者にイノセントアームズについて話をしていたレベッカがそう言った。
「ならカットマギーも〝黒呪咒剣仙譜〟から色々と学べただろう。では、レザライサのところに向かう前に、キサラと合流するか」
「宿屋と融合したケアンモンスターは後回し?」
ユイがそう聞いてきた。
「そのケアンモンスターは封印されて、毒を吐くようなことはないんだろう?」
「うん、大丈夫。ファスさんの封印が効いているみたいで、特に動きはない」
「なら、破壊できるか不明なこともあるし、レザライサとの会合を先に行う。レザライサは上界の魔塔エセルハードにいるのか? それともそのケアンモンスターの近くにいるのかな」
「下界のケアンモンスターの近く。向かいの商店を買い取って新しい【白鯨の血長耳】の事務所を作った。そこでファスさんと下界の兵長たちに指示を出している」
「了解。では下に向かうとして、アキは俺に付いてこい。アチュードとベベルガと人造蜘蛛兵士には悪いが、ここで皆と情報を共有してもらう」
「承知致しました!」
「はい!」
アチュードとベベルガは敬礼。
人造蜘蛛兵士たちも一斉に胸元に手を当てて敬礼を行う。
すると、レベッカが、
「アキの部下だって分かるけど……」
「そうですね……」
ビーサも不安そうにアチュードとベベルガに人造蜘蛛兵士たちを見ている。
「ん、アキちゃん、シュウヤと下界に行く前に触らせて。後、アチュードさんとベベルガさんに兵士さんたちも」
「はい~♪ アチュードとベベルガに人造蜘蛛兵士たちにも自由に触ってください」
アキは嬉しそうに腕を差し出した。
エヴァがアキの細長い手を触る。
エヴァは目を瞑りつつ体から薄らと紫色の魔力を放出させた。そして、「ん、ふふ」と笑顔になって数回頷くと、パッと目を開く。
紫の瞳でジッとアキを見てから笑みを浮かべると、俺を見て、
「ん、アキちゃんは大丈夫。アキちゃん、皆に言っていい?」
「はい、勿論です♪」
「ん、分かった。昔よりもシュウヤのことが大好きになったと思う。ちゃんとした女性の姿になることができてよかった、主様のシュウヤにエッチなことされたいって。後、大好きな主様に貢献したいという考えばかり、クナ的な印象。そして、【八蜘蛛ノ小迷宮】も悪者をおびき寄せて罠に嵌めて正義は勝つを行いたかったって。後、主様に魔石をプレゼントしたかったと考えている」
アキは俺とエヴァを交互に見て頬を朱に染める。
そして、
「わぁ、凄い……エヴァお姉様はなんでもお見通し――」
「ふふ」
蜘蛛娘アキはスカートの幅を増やすように歩脚を増やすと、俺の傍にきて直ぐに人型に戻る。
「ではエヴァ、魔界に行く前に皆を頼む」
「ん、任せて。後、わたしも魔界に行くから」
「了解した。エヴァとヴィーネもだな」
「ん」
エヴァは満足そうな表情となった。
そのまま、アキから離れてアチュードとベベルガに寄る。
さて、
「では、相棒とメト、準備を頼むって、イチゴーンを食べているのか」
アルルカンの把神書が複数のイチゴーンを黒猫に飛ばして喰わせる遊びをしていた。
その黒猫は着地して耳をピクピクと動かすと、振り向いて鼻を舌でペロッと舐めてから瞼を閉じて開く。
親愛の情を示すと、
「ンン、にゃ」
と鳴いて頷くような仕種を取ってから黒豹っぽい姿に変身。
そのロロディーヌはペントハウスの出入り口へと走っていく。
「ンン――」
銀灰猫も黒豹を追い掛けていった。
アルルカンの把神書も、
「しんじゅうぅ~今度は俺が噛み付くばんだぁぁぁ」
と叫びながら黒豹を追いかけてペントハウスの出入り口へと向かった。
その様子を見て、皆が笑顔となった。
「ヘルメとグィヴァとピュリンとバーソロンとルマルディとハンカイとキッカ。俺たちも【白鯨の血長耳】の下界の事務所に行こう」
「「「はい――」」」
「「「ハッ!」」」
「「「はい!」」」
ヘルメは蜘蛛娘アキたちに水を振り撒く。
そのまま腰を捻って俺を見ると、転移するような速度で液体と化しながら一気に飛来し左目に入ってくる。
グィヴァも雷光を発しながら右目に収まった。
ゼロコンマ数秒遅れで音が響く。
ピュリンは額の模様を輝かせながら走り寄ってきた。
骨の尻尾が可愛く動く。
バーソロンとルマルディとキッカは、
「陛下、先に庭に出ています」
「「同じく――」」
と言ってペントハウスの開かれている硝子の戸から出た。
すると、ハンカイが、
「……シュウヤ、俺をレザライサに会わせるとは、勇気があるなァ?」
「ハッ、いまさらだ。暴れる気なら、塔烈中立都市セナアプアに来ようとはしないだろ」
「ガハハッ、たしかに! では、【天凛の月】の人員として……もう一度、ベファリッツ大帝国特殊部隊、【白鯨】の隊長だったエルフ女を見てやろうか」
少し目がギラついて魔力が体から漏れているが、大丈夫だろう。
「おう」
キッカも、
「下界の懸念の一つですし、わたしも一緒に行きます」
「了解した」
「ロロが大きくなったが、あの大きいロロに乗ればいいのだな」
「おう」
「ハンカイさん、魔塔ゲルハットの見学はいいのですか?」
「あぁ、いい」
「では、外に出ていましょう」
「おう」
キッカとハンカイはペントハウスの出入り口に向かう。
すると、右後方から魔素の気配を察知。
ルシエンヌたちか。
浮遊岩の前の扉が開く――。
そこからルシエンヌと――。
【剣団ガルオム】たちとザフバンとフクランと――。
イフアン、黒い獣トギア、ラタ・ナリ、ラピス・セヤルカ・テラメイ、クトアン・アブラセルと、ディアとドロシーが現れた。
「あ、シュウヤさん!」
「「「「「盟主!!」」」」」
「ガルルゥ~」
皆、お揃いの【天凛の月】の衣装を着ているから迫力がある。
小型グリフォンと似た黒い獣トギアも元気そうだ。
「――よう皆、【天凛の月】の活動ご苦労さん」
「「「「「――ハッ」」」」」
【剣団ガルオム】のテアルビ、ヒウガルさん、ドエツさん、カイトさん、キキアンさんもちゃんといる。
ハンカイたちに説明したこともあるが、かなりの強者だった【ラゼルフェン革命派】の幹部ギュララとの戦いを思い出す。
更に、まぁまぁの強さだった【天衣の御劔】のミクライと【五重塔ヴォルチノネガ】のヒルとの戦い。
そして、【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】との激戦を鮮烈に思い出した。
鮮血に焼け焦げた血の匂い。
部屋の中に突入した際の戦いはゼロコンマの一瞬を争い合う戦いで凄まじかったからな。
そして、皆に、
「……俺は魔界セブドラに戻る前に、一旦下界に向かう。何かあったら他のメンバーに言ってくれ」
「あ、はい!」
「「分かりました!」」
「「「「「はい!」」」」」
「ご主人様、わたしも一緒に」
「おう、行こう」
「はい――」
と俺の左手を掴んできたヴィーネは嬉しそうだ。
レベッカとユイが、
「シュウヤ、わたしはここにいるから、後……忙しいのは分かるけど……」
「……うん、わたしも、シュウヤ……」
サウススターを悩ましく食べる二人。
頬に首筋が斑に赤くなっているレベッカとユイは魅惑的。
「……了解したが、時間があったらとなる」
「「うん」」
二人は笑顔で頷いてくれた。
その直後、俺の左手を恋人握りで握っていたヴィーネが、
「……ご主人様……わたしもですから」
とボソッと発言。
「分かったが、魔界も心配だからな。魔界に戦力を送ることが先となる」
「はい」
「師匠、わたしもここに残ります」
ビーサがそう発言。
「分かった」
と、ヴィーネと共に駆けた。
ペントハウスから庭に出て――。
アキなど、巨大な神獣ロロディーヌに乗っている皆と屋上庭園を見つつ――。
「先に下に降りているぞ――」
と言いながら屋上の庭をヴィーネと共に走った。
「ンン――」
背後から皆を乗せている相棒の声を聞きながら――。
魔塔ゲルハットの屋上に付けている漆黒の船を凝視。
小型飛空戦船ラングバドルはかなり格好いい。
その小型飛空戦船ラングバドルを見ながら――。
『クレインとペレランドラ、塔烈中立都市セナアプアに戻った』
『承知致しました。上院の安全委員会の会議が終わり次第、魔塔ゲルハットに戻ります』
『無理はせず、仕事が多いならそっちを優先してくれていい』
『はい』
『お帰り、そしてこっちも仕事量が多いさね』
『お? 俺が必要か?』
『大丈夫。わたしたちに任せな……』
『了解したが、クレインは護衛だろ? 暇なんじゃ?』
『いやいや、リズと会長と【ペニースールの従者】の人員と【髪結い床・幽銀門】のパムカレたちと一緒に、バーソロンの情報を基に、クソな評議員たちの殺すリストと、その配下関係を調べ中さ』
『……あぁ、もう動いていたか』
『下準備を兼ねているが先行するつもりさ、いいだろう?』
『任せる』
『ふふ、気概が高まるねぇ。よーし! 正義の評議宿の権利を拡げようと張り切っている【義遊暗行師会】の連中や同盟相手の【白鯨の血長耳】のレザライサたちよりかは働くつもりさ。そして素人っぽいが、一見は善意で行動しているが裏ではあくどい自分だけが良ければ他はどうでもいいという思考で、行政側の金を配って暴利を得ている高みの見物気取りの腐った奴らも処分するよ?』
『委細は任せる。が、何かあったら皆、俺でもいいから報告を』
『ふふ、了解さ』
クレインは言わずもがな、【髪結い床・幽銀門】のパムカレたちは『必殺仕事人』のような方々だからな。
そんな血文字を行いつつ――。
ヴィーネと共に屋上の端から飛び降りた。
バルコニーには着地せず――。
<導想魔手>と<鬼想魔手>を俺とヴィーネの足下に出しつつ、共に空中機動戦術を行うが如く一気に急降下――。
「ピュゥ~」
と鷹の鳴き声が響いた。
荒鷹ヒューイだ――。
俺たちの近くを飛び回る。
「よう~ヒューイ〜、元気にしてたか~」
「ピュゥゥ~」
そのヒューイはヴィーネの背中と融合し、翼を得たヴィーネは俺に抱きついてきた。
「――ふふ、ご主人様の翼でもいいですが……」
「いいさ、このまま降りよう」
「はい――」
と、キサラ、ミナルザン、キスマリ、カットマギー、レンショウ、カリィが模擬戦真っ只中の庭の端に着地。
と、法魔ルピナスが「パキュゥ」と鳴いて皆への回復魔法を止めて俺に近寄ってきた。
「――お?」
「盟主が帰還だ」
「――シュウヤ様!」
キサラがキスマリの攻撃を往なしながら走り寄ってきた。
ヴィーネは遠慮して俺から離れた。
キスマリも攻撃を止めて近寄ってくる。
ミナルザン、カットマギー、レンショウ、カリィも続く。
そんな皆の背後に神獣ロロディーヌが豪快に着地。
目の前のキサラが抱きついてくる――。
「――キサラ、ただいま」
「はい、お帰りなさい。ジュカは元気でしたか?」
「あぁ、少しだけだが話をしたよ。ダモアヌン山とメファーラの祠と犀湖都市と各オアシス都市に向かう際はご一緒したいと」
「はい、わたしも同じです。そして、わたしも魔界セブドラの援軍に加わります」
「了解した」
キサラが離れると、カリィとレンショウとキスマリが近付いてくる。
カリィとレンショウは、武人然としたスタイルから俺に一礼。
この辺りは衣装もあるが、【天凛の月】の幹部としての貫禄がある。
そのレンショウとカリィが、
「盟主、無事のご帰還なによりです」
「盟主~ボクたちを<従者長>化しに戻ってきてくれたのかイ?」
「悪いが、先にレザライサたちと会う」
「了解♪ プロパガンダに左右されない真実の情報は大事♪ といっても盗賊ギルドも金次第だからねぇ、イヒ」
と、カリィらしく皮肉染みた言葉を放つ。
レンショウは扇子を仕舞って一礼してから、
「分かりました。最近ちょっかいを出すようになってきた【五重塔ヴォルチノネガ】、【ラゼルフェン革命派】、【錬金王ライバダ】の雑魚兵士に、下界の【テーバロンテの償い】の残党狩りと、トンネル網に多い【血印の使徒】や【セブドラ信仰】に【闇の教団ハデス】、大海賊連中との戦いは控えておきます」
改めて【闇の八巨星】に所属する連中を聞くと、敵が多すぎると思うが……。
ま、俺たちも大きくなったからな。
「おう」
「ウン、ボクたちがここにいるってだけで、上界には抑止力となるからね。雑魚はトロコンたちに任せようヨ♪ ネ、盟主♪」
「そうだな」
カリィにそう言うと、キスマリが、
「主、我も魔界セブドラの戦力に加わりたい」
「分かったが、敵討ちはいいのか?」
と聞くと、六眼キスマリは笑みを浮かべて右上腕を真っ直ぐあげる。
「――うむ!! ノアスたちがいる地域はセラでもかなり遠い……それに、今も生きているのか分からないのだからな。そして、ピュリンたちから聞いたが……バーヴァイ城に興味を持った。更に、デラバイン族、サシィたち源左の民、魔皇獣咆ケーゼンベルスの黒い狼たちを見てみたくなった……が、一番は主に協力したい思いが強い。だからこそ、恐王ノクターと悪神ギュラゼルバンの勢力を倒す!」
と宣言。
「分かった。では、ここで皆と待っていてくれ」
「うむ!」
続きは今週を予定。
HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。19」発売中。




