千三十一話 超大型巨人ハザルハードとの戦い
2022年12月12日 20時24分 諸々修正、&最後に重要な付け足し。
超大型巨人ハザルハードは魔斧と斬馬刀を目の前でクロスさせた。
額の八角魔法陣と無手の両腕の手を魔線で繋げて生成されている魔法陣で相棒の紅蓮の炎の攻撃を防ぐ。
その魔法陣は、三角形が幾重にも重なった造りで積層した形。
上下の層の間と一つ一つの表面には魔族の眼球と魔族の手に内臓が浮いていた。
層の間が培養液にも見えて不気味だ。
マーマインの魔法文字も幾つもある。
先ほどの召喚と同じく<古代魔法>の一種だろうか。
その三角形が重なっている積層した魔法陣で紅蓮の炎を防いでいた。
超大型巨人ハザルハードの魔法陣が防げていない手前と背後の山々は真っ赤に染まる。
それを見ながら<仙魔・暈繝飛動>を発動――。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークを消す。
ハルホンクの防護服の衣装を、光魔ルシヴァル宗主専用吸血鬼武装の<血道第五・開門>の<血霊兵装隊杖>に合わせた。
ルシヴァルの紋章樹の根っこがアーゼンのブーツに絡み付いている。
根っこは半透明で美しい、<ルシヴァル紋章樹ノ纏>の効果だ。加速力が上昇していると分かる。
そして、両下腕の掌から発生している積層した魔法陣で紅蓮の炎を完璧に防いでいる超大型巨人ハザルハードを見た黒猫は、
「にゃご!」
と悔しがるような大きな声を発し、炎を吸い込んで止める。
と、斜め左前方へと跳びつつ――。
首と胴体から触手を超大型巨人ハザルハードへ向けて繰り出す。
超大型巨人ハザルハードは左上腕の手が持つ斬馬刀を振り回しながら横に移動して、触手から飛び出た骨剣を、その斬馬刀の剣身で弾きまくった。
大きい黒猫は触手の幾つかを体に収斂させながら山の天辺に着地。
その天辺を蹴り飛ばし宙空に出た大きい黒猫ロロディーヌは――再び体から触手を射出する。
超大型巨人ハザルハードは斬馬刀を上下左右に振るいながら横移動。
その間に宙空に何度も卍のような軌跡を描き、その斬馬刀の剣身と柄で、何十と繰り出された触手から飛び出た骨剣を打ち落としていく。
斬馬刀の剣身は幅広く、柄頭は少し長い。
その斬馬刀を振るう速度は速い。
今も、触手骨剣と斬馬刀が幾度となく衝突を繰り返す。
大小様々な火花が散り、山々に降り掛かった。
大きい黒猫が放った紅蓮の炎の影響で、山は燃焼しきって燻っているが、紅蓮の炎がなかったら山の樹に火花が燃え移り火災が起きていただろう。
まぁ、超大型巨人ハザルハードの膂力に駆ける速度は並ではない。
だから走れば走るほど、巨大な体躯の体重を乗せた両足により、豪快に山は破壊されているから、火災は発生しないかな。
今も山と丘に景観豊かな【ローグバント山脈】の山の一つが破壊された。
巨人の足跡を幾つも作り出している。数億年後に、巨人の証拠の化石がここで発見される確率は高い。
相棒と魔皇獣咆ケーゼンベルスの肉球とは大違いの足跡だ。
「――ウォォン!」
「ンンン――」
魔皇獣咆ケーゼンベルスが躍動する相棒に合図。
触手骨剣の連続攻撃を繰り出していた大きい黒猫は、その声に応えた。
超大型巨人ハザルハードの右半身を襲っていた触手の一部を減らすように大きい黒猫の体へと収斂させると、左側に出る。
魔皇獣咆ケーゼンベルスは直進し、右側に出て、超大型巨人ハザルハードの右側から襲い掛かった。
大神獣猫と大魔獣狼の共演に合わせよう――。
<仙玄樹・紅霞月>を数発放つ。
俺の周囲に出ている<仙魔・暈繝飛動>の霧の魔力から血濡れた三日月状の魔刃が飛び出て超大型巨人ハザルハードに向かう。
超大型巨人ハザルハードは斬馬刀で血濡れた三日月状の魔刃を弾く。
と、左側の上空からアドゥムブラリが、
「<魔矢魔霊・レームル>――」
を放つ。赤い魔矢が超大型巨人ハザルハードに向かった。続けて右側の上空からフィナプルスが、
「<奇怪・霊魔刃>――」
と黄金のレイピアの切っ先から目映い魔刃を繰り出した。
時々消えるから風属性か?
不明な魔刃が、超大型巨人ハザルハードに直進。
更にアクセルマギナも魔銃から魔弾を撃つ。
「「「<御剣導技>」」」
<神剣・三叉法具サラテン>たちが、袈裟斬りと逆袈裟斬りの剣舞を披露。
超大型巨人ハザルハードは、右上腕を上下させて大きな魔斧で対応していたが、指が沙の神剣と衝突し、切断される。
右上腕も斬り刻まれた。が、体中にある鰓から噴出した霧に包まれると一瞬で元通り。
「にゃご――」
ケーゼンベルスと連携している相棒も細長い炎を吐いた。
超大型巨人ハザルハードは相棒の触手骨剣を左手が持つ斬馬刀で弾きながら、相棒の細長い紅蓮の炎を左下腕の手から出ている積層した魔法陣で防ぐ。
アクセルマギナの魔弾は体に受けていた。
その度に超大型巨人ハザルハードの体から小さい火花が散る。
そこにフィナプルスの<奇怪・霊魔刃>が超大型巨人ハザルハードの右下腕の手から出ている積層した魔法陣を通り抜け、超大型巨人ハザルハードの右上腕の肩を直撃。
「グァ――」
その右上腕の肩が破裂したように吹き飛ぶ。
が、超大型巨人ハザルハードは大きな魔斧を手放さない。
体中の鰓から大放出された霧が、その傷だらけの右肩を瞬時に包む。
超大型巨人ハザルハードは上下左右の腕を上げた。
ピーカブースタイルではないが、頭部の守りを重視している?
頭部の守りを重視した超大型巨人ハザルハードは、
「ぐぉぉぉ! わらわらとちょこざいな!!!」
そう叫びながらも、アドゥムブラリの<魔矢魔霊・レームル>の赤い魔矢を体に浴びまくる。
ハザルハードの鱗皮膚は鎧のようでもある。
硬い部分は赤い魔矢をしっかりと弾いていた。
が、赤い魔矢が突き刺さっていた柔い鱗皮膚からは紫色の血が噴出していく。
更に、超大型巨人ハザルハードの体が震えるように数度振動――。
「!? グァァ!?」
大型巨人ハザルハードの上半身には風穴が幾つか空く。
左側の空から<奇怪・霊魔刃>を放ったフィナプルスだ。
<奇怪・霊魔刃>はハザルハードの両下腕の掌から出ていた積層した魔法陣を突き抜けていた。
<奇怪・霊魔刃>が突き抜けた場所近くの鰭は円く削れている。
黄金のレイピアを持つフィナプルスの姿は可憐。
白い両翼を羽ばたかせながら浮遊している。
魔女風のローブの裾がはだけてミニスカのようになっていた。
が、その風穴を超大型巨人ハザルハードの体にある無数の鰭の溝から発生した霧が覆うと、風穴は一瞬で塞がる。
修復された。
「――回復力が凄まじい! 先ほどの四眼から放たれた魔光線攻撃といい、ハザルハードは魔皇と愚王の力を完全に取り込んだのでしょうか」
フィナプルスが白い翼を畳ませるような機動で近づいてきて聞いてくる。
「あぁ、多分な。そして、あの回復力は、贄として利用した吸血神ルグナド様の<筆頭従者長>の秘宝の影響もあるかもだ」
「はい――」
フィナプルスは華麗に離れた。
俺とフィナプルスの短い会話の間にも――。
皆の攻撃を往なしている超大型巨人ハザルハードは素早く強い。
偽魔皇の擬三日月の大きい斧を、右手が持つ大きな魔斧で防いでいた。
同時に額の八角魔法陣が煌めきを強めている。
魔皇獣咆ケーゼンベルスは鈍いと語ったが、超大型巨人ハザルハードは<魔闘気>を強めているようだ。
体のあちこちに生えている鰭の輝きは身体能力を強化しているのか?
鰓から出る霧は主に回復能力。防御技術と回復力は高いが……皆の攻撃で弱点は分かった。
あの額の八角形の魔法陣と八つのオベリスクだろう。
四眼の怪光線には気を付けたいが――<鎖>を射出。
《連氷蛇矢》を数十発動。
「チッ、黒髪のシュウヤ、お前の勘は鋭すぎる!」
そう言いながら、俺の狙いを察知した超大型巨人ハザルハードは左上腕が握る斬馬刀と――。
左下腕の積層した魔法陣で、額を狙った<鎖>と《連氷蛇矢》の連続攻撃を弾ききった。
更に<鎖>を操作して、再びハザルハードの額を狙うが、積層した魔法陣が俄に動いて<鎖>に絡み付いてくる。
――積層した魔法陣は生きているのか?
積層の中の眼球と手に内臓や寄生虫のようなモノが煌めいて見えたから急いで<鎖>を消した。
ヘルメの<精霊珠想>のようなモノか……。
「ンン、にゃご!」
「うむ!! 友よ!」
大きい黒猫ロロディーヌと魔皇獣咆ケーゼンベルスが声を掛け合うと超大型巨人ハザルハードに突進していた。
大きい黒猫ロロディーヌは、右前足を振るう。
超大型巨人ハザルハードは半身の姿勢で右上腕を下に向け大きな魔斧を傾けた。脇腹を守る姿勢で相棒の爪攻撃を見事に防いだ。
ほぼ同時に繰り出された魔皇獣咆ケーゼンベルスの両前足の爪攻撃を右下腕の手から出している積層した魔法陣で受けながら後退していく。
超大型巨人ハザルハードの動きは<魔人武術の心得>のスキルは確実に持っていると分かる動きで、体から迸る<魔闘気>の魔力といい、敵ながら渋い。
橙色の魔力を体から発した大きい黒猫ロロディーヌは加速して、超大型巨人ハザルハードに向かって前進。
体長がハザルハードに負けていない黒猫の体から凄まじい量の触手が飛び出て超大型巨人ハザルハードに向かう。
ほぼ同時に魔皇獣咆ケーゼンベルスも体から魔力を発し加速――。
超大型巨人ハザルハードの右側に出た。
相棒のブローニングM2重機関銃から放たれるが如くの触手骨剣の連続攻撃を受けている超大型巨人ハザルハードに、両前足の爪攻撃を加えていく――。
さすがに相棒とケーゼンベルスの攻撃は捌ききれない。
「ぬあぁぁぁぁ、クソが、来るな! 退けァァァ」
超大型巨人ハザルハードは悲鳴的な声を発した。
その間にも、相棒たちの攻撃を喰らい続けると、手足と胴体に次々と風穴が空いた。霧の回復も間に合わない勢いだ。
大きい黒猫ロロディーヌと魔皇獣咆ケーゼンベルスの連携による猛攻撃は凄まじい。体がズタズタに斬られ貫かれたハザルハードは、
「ぐぁぁ――」
と悲鳴をあげて後退――。
大きな魔斧を持っていた右腕が損壊し、大きな魔斧が右側に落下。
が、超大型巨人ハザルハードの体中にある鰓から噴出している霧が、ズタズタに切り裂かれた部位を修復するように包む。
同時に四眼から怪光線を繰り出してきた。
これがあった――。
魔皇獣咆ケーゼンベルスは真上に跳んで怪光線を避ける。
そのまま四肢から煌びやかな魔力を発して斜め後方へと飛ぶように移動して怪光線を避けきった。
大きい黒猫ロロディーヌは斜め左上に跳び、そのまま上昇して怪光線を避けた。
俺は<導想魔手>を蹴って真上に飛翔――。
真下を通り抜けていく怪光線は極悪な荷電粒子砲やビーム攻撃を思わせる攻撃だ。
この光線攻撃を浴びたら俺の体は溶けるか?
<血道第五・開門>の光魔ルシヴァル宗主専用吸血鬼武装でも危ない印象だ。
突っ込んで天国を体感とか、危ない実験はしない。
アドゥムブラリとフィナプルスは回避行動に移る必要がないほどの速度で飛翔しているから怪光線は当たらない。
超大型巨人ハザルハードは体長が更に小さくなった。
二十メートル前後の体長となる。
そのハザルハードは四眼からの怪光線を止めた。頭部を振るっている。
額の八角形の魔法陣から魔力の火花のようなモノが発生していた。
魔力や体力など色々と消費する必殺技があの怪光線か。
威力的に納得だが、まぁ、表の必殺技だろうな。
他にも強力な秘技はあるはずだ。
ハザルハードは両下腕の積層した魔法陣を大きくしながら後退を続ける。
旋回機動に移っていたアドゥムブラリが、偽魔皇の擬三日月を<投擲>。
大きな斧やバルディッシュにも見える武器、偽魔皇の擬三日月は、くるくると回りハザルハードに向かう。
<魔弓魔霊・レポンヌクス>を持っているアドゥムブラリは、
「ハザルハードは、魔力を失えば体格も小さくなるようだな!」
「おう」
そう返すと同時に皆の位置を確認。
超大型巨人と呼べないくらいの大きさになったハザルハードは、己にブーメラン機動で迫った偽魔皇の擬三日月を真っ二つにする勢いで斬馬刀をぶち当て跳ね返す。
偽魔皇の擬三日月は金属音を発したように無事だ。
ブーメラン機動で戻ってきた偽魔皇の擬三日月を片手で掴むアドゥムブラリは右上へと飛翔していく。
大きい黒猫は姿を黒獅子に変化させると、力強い膂力でハザルハードの左側へ駆け、少し距離を取る。
その動きに合わせ、
「皆、《氷竜列》を放つ。その後、一気に仕留める」
「分かった――」
「はい」
ハザルハードに向けて前進しながら右手の先をハザルハードに差し向けた。
烈級:水属性の《氷竜列》を放つ――。
大きい龍頭を象った列氷が発生。
それらの龍頭一つ一つが瞬時に融合しながら多頭の巨大氷竜となった。
ハザルハードは積層した魔法陣で、その巨大な氷竜を防ぐ。
相棒の紅蓮の炎を防いだように、俺の魔法も効かないか。
――魔法の防御力は高い。
――が、魔力を消費するのは確実か。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークを左右の手に召喚。
「ぐぉぉ、くそ共が――」
ハザルハードはそう叫びながら横に出る。
アドゥムブラリの偽魔皇の擬三日月を、大きくした積層した魔法陣で簡単に弾く。
そこに俺と黒猫が前に出た。
触手骨剣がハザルハードに向かう。
<仙魔・桂馬歩法>を実行――。
「ンン――」
ハザルハードは斬馬刀と両下腕の積層した魔法陣を巧みに使いながら触手骨剣の連続攻撃を防ぐ。
その間に、ハザルハードとの距離を詰めた。
宙空で一呼吸後――。
神槍ガンジスで<光穿・雷不>を放つ――。
左手が握る神槍ガンジスが、斬馬刀を持つ左腕に突き刺さった――驚くハザルハード。
「ぐお!?」
何か言う間もなく神槍ガンジスの斜め前方に出現した裂け目から八支刀の光が現れる。続けて、巨大な光雷の矛へと変化を遂げながら直進した。
ハザルハードの両下腕の積層した魔法陣が光雷の矛の<光穿・雷不>に反応して向かう。
が、それをぶち抜く<光穿・雷不>。
そのままハザルハードの左上腕を溶かす勢いで直進し、脇腹を斜め下に突き抜け、左太股を貫通――地面と衝突するや否や爆発を起こして散った。
「ぐおあぁぁぁぁ――」
左上腕が霧に包まれるが、即座に<光条の鎖槍>を五発飛ばした。
そのハザルハードの体に<光条の鎖槍>が突き刺さった――。
「ぬごぁぁ」
更に「ウォォォン!」と魔皇獣咆ケーゼンベルスが駆け抜けながら、ハザルハードの右足を派手に切断。
続けて「にゃごあ」と、ロロディーヌのぶっとい触手骨剣がハザルハードの股間辺りに突き刺さった。
「げぁぁぁぁぁ」
悲鳴を発したハザルハードはみるみるうちに体が小さくなっていく。
左上腕は霧に包まれることなく派手に血飛沫を発している。
小さくなったハザルハードは左上腕を失ったまま。
そこにフィナプルスの<奇怪・霊魔刃>が向かい、ハザルハードの右首を貫く。ハザルハードの右首から鮮烈な血飛沫が迸った。
そこに<神剣・三叉法具サラテン>の沙・羅・貂がハザルハードに近付き――。
「――<傾角畏狐刀>――」
「沙神那由他妙技<御剣・十六夜>――」
「――<羅空・宵斬り>」
沙・羅・貂の三人のスキルが決まった。
右下腕の手から出ている積層した魔法陣ごと、その右下腕と背中の一部を滅多斬り。
「ひぁぁぁ」
「にゃご!」
と相棒が細い炎をハザルハードの額にぶち当てる。
その額から巨大なオベリスクが数個落ちると、一気にハザルハードの体が崩壊を始めた。
が、まだ残っていた左下腕から放たれた魔法陣が展開を始めてハザルハードを包もうとした。
体に残る鰓からも霧を出して回復を図るハザルハード。<光条の鎖槍>の光の網はボロボロになって下に落ちていた。何かを鰓から放って対処したようだ。
回復はさせない――。
頭部を切り離す――。
――駆けながら右斜めに出ると、左下腕の魔法陣が伸びてきた――。
その魔法陣を避けつつ――。
<破壊神ゲルセルクの心得>を意識、発動――。
<精霊珠想>のような魔法陣は厄介だ、頭部よりも体を直に狙う――。
右手の魔槍杖バルドークで<空穿・螺旋壊槍>を発動――。
<血魔力>が体から吹き荒れる――。
同時に神威を感じさせる膨大な魔力が<血魔力>を飲み込むように体から噴出した。<破壊神ゲルセルクの心得>の効果で不可解な加速感を得ると、魔槍杖バルドークの真横の空間が歪む。
歪んだ空間から神意力を有した何かが燃焼しているような魔力が噴出し、ドリル形状が進化している壊槍グラドパルスが出現――螺旋壊槍と呼ぶべきか?
その螺旋壊槍グラドパルスが直進――。
ハザルハードの胴体に突き刺さると、内臓を掻き回すミキサーのような多重音が響く。
一瞬で螺旋壊槍グラドパルスは巨体のハザルハードの肉体を貫いた。
そのまま、巨大なドリルの穂先にハザルハードの血肉が巻きこまれていく。
左下腕から伸びていた奇怪な魔法陣ごと、左腕も巨大なドリル状の螺旋細工に吸い込まれて潰れていた。
ハザルハードだった体はミンチと化して消えていく。
血飛沫と肉片が凄まじい勢いで散る。
周囲の土と岩などを巻き込みながら直進した螺旋壊槍グラドパルスは、そのまま魔界セブドラの【ローグバント山脈】に傷跡を残すように直進を続ける。
山という山を削り、巨大な洞穴を造ってから何処かに消えた。
膨大な魔素を得た、ハザルハードを倒したか!
「ングゥゥィィ!」
螺旋壊槍グラドパルスこと壊槍グラドパルスはいつも通りハルホンクの中に戻ったと分かる。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークを消した――。
直ぐに右手に壊槍グラドパルスを出す――。
よっしゃ。
え? 遠くにハザルハードの飛び散った残骸と怪しい肉片がある。
続きは今週を予定。
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