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No7:宮野 麗花

「……なんだあれ」


この学校、変人しかいないのか。そう感じた一日だった。






宿泊学習四日目。明日で帰宅。


矢島が能力に目覚めてる頃の話。私はただその辺を適当に散歩してただけなのだが……






「……何事?」


独り言が出てしまったのは仕方がない。


というのも、私の目の前には、女性の霊。それも一体じゃなくて沢山。多分海で死んで魂だけここに流れてきたものだろうけど……そこじゃない。


その霊が、熱に浮かれたかのようにどこかへと進んでいく。なにかある、と思い霊についていくと、一つの個室にたどりついた。中に誰かがいるみたいだが、霊はドアをすり抜けて入っていく……


ドアをノックする。反応なし。まさか霊に憑かれて死んでるんじゃ……と思い、ドア鍵がかかってなかったので、部屋に入る。中では、白衣着たイケメンがなんかの薬を調合していた……だけでもかなりおかしいが、その男子に大量に女性の霊がまと


わりついていた。


「すみませーん……」


「んーあれはどれだったかな」


「もしもしー……?」


「よしこれで……」


……






「……反応しろ「完成だ!!!」ひっ!?」


「よしこれで先生のハゲは……あれ、君いつから居たんだ?」


「『んーあれは』の辺りからよ!! 反応しなさい!!」


「すまん、実験してると周りが何してても気づかんでな……」


あまりに反応をよこさないので大声上げようとしたら逆に驚かされた。






「なるほど、確かに昔から霊には好かれてたが……それで何の用だ?」


「用はないんだけどね、あんなに霊がいたら憑りつかれて死んでんじゃないかと思って」


「オレがそんな事で死ぬと思うか?」


「知らんわ」


狭霧(サギリ) 創聖(ソウセイ)、それが彼の名。


人呼んで、『創造の天才』。確かに黒須に来るっていう話は都市伝説であったけど、まさかこの学年とは思ってなかった。どうやら能力からくる力らしく、それを発動してると周りが見えなくなるとか。


周りの霊からものすごい睨まれてるのだが、事情を聴くと皆『私の創聖を……』って感じだったのですぐ誤解を解いた。イケメンなところに惹かれてるらしい。乙女か、って思ったけど若い女性まみれだし乙女でも問題はないのか。


「そっちの能力は……霊が見えるのか?」


「そうよ。昔っから見えて聞こえるのよね」


「なるほど……見えなくなる眼鏡でも作ろうか?」


「遠慮しとく。ただでさえこの体質でよく悪霊に襲われてるのに、見えなくなったらもっと狙われるわ」


「そうか……襲わた時どうしてるんだ?」


「こう、持ってるお札をぶん投げてね……」


「……それ一枚貸してくれないか? 機械一個でなんとかなるようにしてみよう」


「……出来るの?」


「材料さえあれば、オレに作れないモノは無い。……さすがに命ある存在(モノ)は無理だがな」


「なにそのチート」


西京といい彼といいこの学園にはチートしかおらんのか。


ちなみに次の日。帰りの船に乗る前にレーザーポインターのようにお札を投影できる機械をいただくことになる。






「……あ、創聖いた」


「ん? 梨華じゃないか」


部屋を出ると、これまた一癖ありそうな女性がいた。


「どうしたんだ一体」


「面白い能力の人がいたから、研究のネタになるかなって……えっ、霊能者?」


「は!?」


そしてその女性に能力を一瞬で見破られた。訳が分からない……彼女の能力で分かるらしいけど、それもそれでチートでは……


「それじゃ、また」


「あとで貴女の話も聞かせてね」


「ええ……ま、また?」






「……なんだあれ」


「宮野、どうしたんだ、な?」


西京に声をかけられるまで、私の放心は続いた。狭霧もそうだがさっきの女性もなんだったんだ……この学校は変人しかおらんのか。






「宮野も能力者かよ……この学園どんだけいるんだよ……」


「俺も知らん、な。先生の話じゃかなりいるらしいが、な……」


「あと私の場合遺伝だから。矢島の言うような『突然目覚めた』系の奴じゃないわよ」


「そういう問題かよ……」


「しかし、な……こんな人数いると一人当たりは減りそうだが、能力者ってのは大体事件を呼び込むもので、な……」


「ちょ」「おま」


「巻き込まれたら俺を頼れ、な?」


「まずそんな事件に巻き込まれないようにしたんだけど」


「それは無理か、な……」


「嘘だろ……」

これで一応宿泊学習編は終了かな……?

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