二話 新スキル
牙を取り終わった俺は、一休みするために近くにある小さな湖に来ていた。
「やっぱりここはいつ来てもキレイだなぁ・・・ん?なんだあれ?」
そこには謎の「たまご型の球体」があった。
俺は、その「たまご型の球体」に近づいていった。
「何なんだ・・?」
その物体は白く、しかしふつうのたまごのように自然物っぽくも無い。
なんと言うか、機械みたいだ。
「?なんだこのボタン?」 ポチッ!
「何だ!?」俺の周りに光が集まりだした。その瞬間。 ポンッ!
俺はとっさに身構えたが、そこにはたくさんの紙が入っている透明な箱があった。
「一体何なんだ・・・。」
そう言った時だった。
「雅! これは、私からの贈り物だっ!」
聴いた覚えは無いが、なぜか安心感で包まれたようなその言葉が聴こえなくなった瞬間。
「雅さん。この箱の中の紙をひとつだけ選んでください。」
頭の中でそんな言葉が響いた。
言われた通り、ひとつの少し汚れていた紙を取った。
「雅さん。あなたが取った紙は・・・・っ!」
頭の中に響いていた声がスゴく驚いているようだった。
誰なんだコイツは。 そう思いながら、声が戻って来るのを待った。
「・・・・失礼致しました。この紙に書かれているのは、スキルの名前です。そして、
雅さんが取ったこの紙に書かれてあったのは・・・圧倒的覇者です・・。」
「それはどんなスキルなんだ?」
俺は気になりすぎて、口に出してしまった。
「はい。説明致します。このスキルは王や、盗賊の頭や、マフィアのドンなど、
人たちの上に立つ素質、いや立つべき素質を誰よりも持つ事が出来るというスキルです。」
「・・・・要は、冒険者ギルドのギルドマスターにも今すぐなれるって事か?」
俺は口には出さず心で話した。・・・さっきは少し恥ずかしかった。
「そうです。ですがその素質だけに狙われやすくなるので、裏のボスとしての方が安全ですね。」
なるほど。だったら・・・俺は。そんなことを考えていたら。
「しかし・・・このスキルは危なすぎるのです。なんてったって自分が支配している所からも雅さんを狙ってくる輩はたくさん居ますし。スキルを手に入れた瞬間から街の人々が王では無く、雅さんを慕うので王族からも狙われます。なので味方は裏社会や、自分が本当に信用出来る人をそばに置くのをオススメします。ではそろそろ。」
そういうと、俺の頭の中から気配が消えた。
・・・・俺は一人で生きていくと決めたからな。
「だけど、強い奴が俺に襲いかかってくるのか・・・。」
そんなことを思いながら、危なそうな街に入っていった。