八話 勇者降臨(笑)
書いてみました。
「レア。行くよー。」
「待ってくださぃ~魔王様!」
俺達はこの町<バビロン>の弱点を探しに、町を歩き回っていた。
(おいしそうな匂いがする・・・。いかん。我慢だ。)
今歩いているのは、リンク商店街。
俺らが泊まっている宿から数分の場所にあるところだ。
ここは地球で言う「屋台」が沢山並んでいて、年中祭りのようだ。
「魔王様!これ食べていいですか?」
レアがご飯の目の前で待てをさせられている犬のような目で聞いてきたので・・・・つい。
「あぁ。レアのお金なんだ。好きな物食っていいぞ。」
「ありがとうございます!でも、私は魔王様の物なので、お金も魔王様の物ですよっ!」
(レアは俺の物・・・・・・か。)
そう言うとレアは向こうの屋台に食べ物を買いに行った。
(ここら辺で少し待つか・・・・・・イテッ!)
「あ、すみません。少し急いでて。」
「いえ、気にしないでください。」
「ありがとうございます。」
俺にぶつかって来たのは、ウルフカットの男の子。
年は11~14かな?
多分、スラムの子だろう。
この街にもスラムがある。
宿から10分ほどの場所で、婦館や、情報屋、奴隷商店などがある。
毎日のように、殺し、強盗、強姦などが横行している。
殺しだけならいつもの事なのだが(これもおかしい事だが。)
一ヶ月に一回程度のペースでスラムの子供、それも10~18位の女の子がさらわれているらしい。
多分だが、奴隷商人にでも売られてるんだろう。
これをいけない事だとは思うが、止めようとは思わない。
スラムがあって、この安全な街があるのだ。
この街は警備が少数精鋭式だ。
なので、近くに何人も警備は居ない。
だがスラムは毎日犯罪が起こっている。それを止めようとして精鋭を何人もスラムに送ったら?
普通の街にスラムのような犯罪が良く起こるようになるかもしれないし、万が一モンスターが入って来たら、対応する兵士が少なくなる。
だからスラムは統治出来ないのだ。
しかしスラムと街の入り口に警備を置いたら?
街の中の事にはすぐ駆けつけれて、スラムの監視も出来る。
こうすることでスラムの中までは警備は出来ないが、街の安全は守れると言うことだ。
(まぁ、魔王になったら統治出来そうだけどな。てかレア早く帰って来ないかな~!)
俺はそこら辺で座って待つことにした。
(・・・・空?・・・・・・えぇぇぇぇぇ!)
「何だよこれ!ベッドは?家は?俺の着てた服は?」
この少年の名前は御門勇・・・・勇者だ。
勇の今の格好は上がローブで、下は勇が元々持っていた服のジーパンだ。
そして、ここはグランド帝都の草原<ユミナ草原>だ。
「・・・。朝起きたら分かるって・・。こういう事かよ!!」
「そうだよ。勇君!」
「何でこんな事になってるんだっ・・・って誰だよ!お前!」
勇のすぐ横で立って話しているのはとんでもなくイケメンな男の子だ。
まぁ、見かけだけだが。
「僕は、勇者のお供を神から承った<ヒュアキントス>です♪ 宜しく!」
「宜しく!じゃねぇよ!どうなってんだよ。」
こういう状況だったら誰でも聞くだろう。
何てったって、朝起きたら異世界の草原で謎の格好で寝てるんだもの。
「君はね、勇者。神に選ばれたんだ。」
(勇者・・・?何故俺が。)
「何で俺何だって思ったでしょ。理由は一つ。魔王に打ち勝つ素質があるからさ。」
俺はどうやら勇者の素質があるらしい。




