十八話 無を操りし魔術師
一分後。
「おぉ、目が見えるようになってきたわ。」
プロメテ・エピメテ兄弟が幻を見ている間に俺は目の治癒をしていた。
あの光で、目が悪くなったどころか、目が見えなくなっていたのだ。
幸いにも、見えなくなってすぐ治癒したので治ったが、後三分遅れていたら治らなかっただろう。
あの時の判断は素晴らしいと自分で思う。
治療中、プロメテ達が幻と戦っていて、コッチに来ることもあったが特に攻撃は当たらなかった。
幻と被って攻撃される場合もあるのがデメリットだな。
今、プロメテ達は幻は解けているが、疲れきっている。
「・・・ふぅっ・・・ふぅ・・・はぁ・・。」
「兄・・・さんっ・・生きてる・・・・?」
相当、疲れたんだろうな。
息が切れ、立つこともままならないので、木にもたれかかりながら生存確認をしている。
「お~い。戦闘開始するぞ~。」
プロメテ達と比べ、俺はまだまだ動けるので、闘おうと戦闘開始の合図を言おうとすると。
「ふぅ・・・待ってくれ! ここを通っていいからっ!」
「・・・俺らはっ・・死んじまうっ!」
そんなことを言い始めた。それじゃあ、言葉に甘えて。
「どうも♪ んじゃ、またな。」
俺は何があるか気になっていた方向に足を進めた。
「おい。お前ら。」
プロメテ・エピメテ達が倒れているところに、黒一色の工事現場でよく見るようなつなぎを着た男が近寄る。
「誰だ・・・?」
「俺らは金は持ってないぞ。」
プロメテは誰何をし、エピメテは襲われれば負けるのが目に見えてるので、興味を無くそうとしている。
「金などいらん。俺は・・・いや。今は二つ名で名乗っておこう。俺は、無を操りし魔術師だ。」
「・・・。お前がか。」
「あ、会いたかったですっ!」
プロメテは知っているのか、とても驚いている。
エピメテに関しては態度が激変だ。
「お前らはここでさっき通ったやつが来るまで待て。そして俺が居たことを言え。」
プロメテ達がそんな事は嫌だと言うと、
「それじゃあ、操るよ。」
そう言うと、プロメテ・エピメテは自我を無くし、目に光が無かった。
「さぁ、君たちはここで雅を待て。そして俺の事を言ったら・・・・自分で死ね。」
そう言い残して、彼は消えていった。
「なんにも無いな・・・・ん?・・・あれなんだ?」
俺は少し歩いたところで何かを見つけた。
「・・・・あれは遺跡か?」
そこは、奥が全く見えない入り口と、その両側に謎の銅像がある場所だった。
遺跡と言うか分からないが、俺は遺跡だと思うので遺跡と呼ぶぞ。
「ここって、俺来たことあるっけな?」
何故か、俺は来たことがあるような気がしてならない。
確かに、地球で生きていた時は色んな遺跡を回っていたが。
地球の遺跡、洞窟を行けるところだけ友達と回っていた。
それのどこかに似ているような気がしない事も無い。
「まぁ、いいか。入れば分かるかも。」
俺は遺跡に入って行った。