十一話 森のヌシ 1
「・・・・どれくらい歩いたかな?」
俺はスライムを倒した場所からずっと真っ直ぐ進んでいた。
「モンスターも出てこないし。何だよ!」
そう言いながら近くにあった石を蹴った。 その時。
「え?」
森の木がいきなり折れたのだ。
しかも、謎の殺気を感じる。
「ガウガウッ!」
クロスも全力で警戒している。
奥の方からドスン、ドスンと地面が揺れながら近づいて来るものがあった。
「 ・・・・・・。」
俺たちは息を殺して立ち止まってしまっている。
殺気が余りにも凄まじいのだ。
今まで、ゲームで言う雑魚モンスターばかり倒していて、感じた事の無い殺気。
それはランクの違いを表していた。
ボス級・・・・・・。
そんな事を俺は思っていた。それが命の危険に繋がるとは知らずに。
ヒュンッ!
凄まじい速度で何かが間合いを詰めてくる。
それも、巨大な何かが。
俺は急いでその場しのぎの魔法を使った。
「シャドーワールド!」
その魔法は、自分の周りに闇魔力を充満させ、相手を一時的に混乱状態にするものだった。
・・・しかし効き目は無かった。
巨大な何かがもう二メートルくらいのところに居る。
「くっ・・・・合成魔法・・・ファイアウッド!」
俺は今使える最強の防御魔法を使った。
その名の通り、火と木魔法の合成だ。
止まってくれ・・・・。
ガンッ!
巨大なものは火の木にぶつかり・・・・・・・・・・・・止まった。
ホッとする前に俺は距離を取った。
ある程度距離を取った時、巨大な何かが動き出した。
今度は、普通の人が走るくらいのスピードで。
「あれは・・・?森のヌシのフォレスか?」
巨大なものは、緑色で、大きな猿のような形をしたもので、俺が本で見たヌシにソックリだった。
「あれはヤバいぞ・・・。クロス!逃げてろ!」
俺はクロスにそう言うと、自分のトップスピードでヌシと間合いを詰めた。
「オラッ! ファイアクロー!」
火を爪状にし、ヌシの腹を切りつけたが、効いている様子がない。
「やっぱりこんな攻撃じゃダメか・・・。」
俺は凄まじい速さで先程までいた場所まで戻った。
「どうするかなぁ・・・やっぱり合成魔法か。」
俺は今使える合成魔法を全て使ってみることにした。
次回、魔法の説明いっぱいです。