九話 やっかいなスキル持ち
「おぉー!ラーニングスライムじゃないか・・。」
俺は驚きを隠せなかった。なんてったって、初めて見たスライムがラーニング持ちだったのだ。
「よし、闘ってみるか。」
「ウォォォォォォォン!」
ラーニングスライムを1人で倒したかったので、ホワイトフェンリルには待っていてもらおう。
「さぁ、来いっ!」
俺はラーニングスライムに向かってそう叫ぶが言葉が通じる訳もなく。
ラーニングスライムは全く動かない。
いっそのこと、スキルで操ろうかとも思ったが、初めてなんだから倒そうと思い俺はスライムとの間合いを詰めた。
「先手必勝だぜ、スライム君。」
頭の上に闇魔法を「凝縮」した塊を作りながらどんどん間合いを詰めていく。
「一撃でやられないでくれよ!」
俺はその言葉と同時に闇魔法を放った。
その瞬間。ラーニングスライムの体から一瞬で目が見えなくなる程の、強烈な光が放出された。
「くっ・・・。」
俺はとっさに後ろへ戻り、身構えた。
もちろん目は見えてはいないが、魔力の流れで大体の位置は分かる。
しかしスライムは動いて来なかった。
十秒ほどして、目が回復した俺はスライムの姿を見て驚いた。
何故なら、さっきまでとは違う黒い色をしていたからだ。
俺はその時すべてを悟った。
「コイツのスキルは魔法の他に魔力吸収だ!」
魔力吸収とは、魔法を発動するために使った魔力を自分の体に取り込み成長するというやっかいなスキルだ。
しかも取り込んだ魔力の属性を無効にする。
本を読んで知ったが、この世界では珍しくないらしい。
しかし、有用なスキルだと評価されていた。
「こうなったら、あれか・・・。」
俺は練習を兼ねて、スライムに「全ての魔力を合わせた」魔法を使おうと決意した。
だが、準備に時間がかかる。
「クロス!来い!」
この場はクロスに時間を稼いでもらおう。
「クロス、2分耐えてくれ。」
俺の言葉が分かったのか、クロスは吠えた。
「さぁ、練習だっ!」
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