プロローグ
亜望市。 人口30万人、面積1,900平方キロメートル。 一次産業が盛んで、主な農作物は米。 老年人口が高く高齢化が心配されていたが、ここ1年ほどで2,30代の女性が増え、観光業が活発になった。
その要因は、いわゆるご当地レンジャー。
と言っても、活躍はテレビの中限定ではない。 運が良ければ(悪ければ?)その活躍を生で見ることができる、三次元にいるリアル戦隊物。
その名も、亜望レンジャー。 (ひねりがないとか、そんなこと言わない)
正義感あふれるリーダー、レッド。
クールな参謀役、ブルー。
いたずら大好きお調子者、イエロー。
別名レンジャーのオカン、グリーン。
みんなのヒロイン、ピンク。
それぞれの色のラインが入った白い軍服風コートと仮面をつけた彼らは、その状態でもわかるほどにかっこいい。 立ち上る美形オーラは、仮面程度では誤魔化せない。
それが人気の秘密の片一方。
「ゆーきー?」
もう一方は。
ピンクが正確にはみんなのヒロイン♂で、亜望レンジャーはホモーレンジャーとか呼ばれたりしていること、である。 薄い本があつくなりますね!
「ちょっと、聞いてるの?」
苛立ったように机が蹴り上げられる。 聞いた上で無視してるんだよという心の声を飲み込んで、前にすわる迫力美女に目を向けた。 彼女の名前は久坂百合。 私の小学校以来の腐れ縁で、亜望レンジャーの変身グッズその他諸々を作り出した天才科学者。 ついでに彼らをネタに大金を稼ぎ続ける商売人。 『博士』とレンジャー達に慕われる彼女は、
「いい加減諦めて亜望ブラックになりなさい!」
私にとっては酷い無茶振りをしてくる悪魔である。




