第三話 出会い?
お待たせいたしました……
まず、すみませんでした!!こんなに投稿が遅くなるとは、反省しています。
何とかできたので、今回も見捨てず読んでやって下さい。
言い訳は活動報告で…
少女の朝は早い。日がうっすらと登り始めるころには起きて、山に狩りに行かなければならないからである。
自分と妹を残し死んでしまった両親。冒険者だった二人はダンジョンに行ったきり帰ってこなかった。
幼い頃両親が死んでしまい大した遺産もなかったので、姉妹はけっして裕福ではなく一刻の時も無駄にはできない。
自分がもう少しでも強かったなら、もう少しましな生活ができていたかもしれない。そう思うとやるせない気持ちになっていくが、無いもの強請りはしない。というより、諦めていた。
起きてから初めにすることは、昨夜山に仕掛けた罠の確認である。山に点々と仕掛けた罠にはこの地方しか生息しない苔兎がかかる。このモンスターは比較的小さく背中の部分に苔のようなものが生えていて、その部分には珍しい茸なども生えていることがあるので一度で二度おいしいモンスターである。
が、油断は禁物。苔兎自体の危険度は低いものの、この兎を主食としている危険なモンスターはたくさんいる。
その中でも血熊は群を抜いて危険だ。並みの冒険者ならその凶悪な爪の一撃で一瞬のうちに命が刈られていることだろう。
ギルドでもAランク以上の冒険者しか討伐依頼を受けることが出来ない。
文字通り血のように赤い毛を持つこの個体は鋼熊がたくさんの人を食らうことで変異したモンスターである。
この熊は攻撃力・防御力も高いが、厄介なのはその爪である。血熊の爪はうっすらとだが常時特殊な炎が纏っているため、かすっただけでも危険だ。
では、こんな厄介な熊をどうやって倒すかというと、頭に生えている角を破壊することだ。この角は強さによって大きさが変わっていき、まただんだんと強靭になっていく。
防御力の高い熊であるが、角の魔法に対する耐性は低いのでとりあえず魔法で攻撃あるいは、魔力を付与した武器で戦うのが常套手段である。
結局何が言いたいかというと
「無理でしょ……」
現在の状況、血熊サークルin私。おお神よ、そんなに私のことがお嫌いですか……
見渡すとたくさんの血熊が見える。涎を垂らしながら、こちらを一心に見てくる目は完全に捕食者の瞳だ。
魔法もロクに使えない、体術も剣も微妙な自分に倒すことはまず無理。向かっていった瞬間あの世行き確定である。
では、今日の収穫苔兎六体をおとりに逃げる?これも無理。自慢じゃ無いが、身体強化魔法も使えない自分が逃げたところで後ろからバクリと食われて終わりだ。
それに一匹なら何とかなったかもしれないが、こんなたくさんの血熊からは不可能に近い。
詰んだ。
これはもう詰んだ。打開策なんてない。
じりじりと間を詰め、今にもとびかかろうとする血熊の前に覚悟を決めながら思い出したのはやはり、妹のことだった。
可愛い妹。唯一の肉親。また、両親が死んだ時のように泣くのだろうか。
(ごめん、エイラ……)
ぎゅっと目をつぶり、衝撃に備えるが一向にその時はこない。不思議に思い目を開けるとそこには
「ツイてない熊だな。全部クリーンヒットだ。」
頭と胴体を綺麗に切断されたたくさんの血熊と細身の剣を持った黒い服を着た男の人がいた。
「はっ?」
信じられない。あの量の血熊を一人でしかも一撃で倒したというの……?
いくら血熊が獲物(私)を前に油断していたとはいえ、十匹くらいいたはず。それを一人で……
「おい、大丈夫か。」
「あ、はいっ、大丈夫です。あの……助けていただきありがとうございました!」
自分が思ったより混乱していたようだ。男の人が声を掛けてくれるまで気づかなかった。
「あの、私ライラ・ステインと言います。お名前を教えていたたけますか?」
「ああ、そう言えばまだだったな。俺は月波幸男だ。気軽にサチオと呼んでくれてかまわない。」
そう言って差し出されたサチオさんの手は温かくて、ようやく自分が生きていることに安心して少し泣きそうだった。
これが私とサチオさんとの長い付き合いの始まりになるとはこの時の私は思ってもなかった。
詰 ん だ。
これは詰んだ。いくら不幸に百戦錬磨の俺でも冷静でいられないほどヤバい。
気が付いたら周りが密林でしたとか対処の仕様がない。どうしよう……
取りあえず持ち物の確認をしようと思った俺はふと右手の違和感に気付いた。
「なんだこれ?」
右手にあった謎の腕輪。バングルのようにも見えるが繋ぎ目が無いから、どうやって着けたかも分からない。金属でできているその腕輪には、赤い竜と白い竜が交差するように刻まれている。さらに二匹の竜が交わっている場所には宝石らしきものも埋められており、素人目にも値が張ることは理解できた。
それに腕輪だけではなく、服装も変わっている。
確か記憶が途切れる前は学生服だったはずなのに今では旅人が着る服のような動きやすい服に黒いローブと、おおよそ現代の日本ではお目にかかれない服装になっていた。
そして、極めつけはこの腰に刺さった刀。完璧に銃刀法違反で逮捕される。
ここから予想されることは……
「誘拐か売り飛ばされたかのどちらかだな。」
前後の記憶が曖昧で柄にもなく慌ててしまったが、落ち着いて考えればどちらも経験済みなのでなんとかなるだろう。
取りあえず周囲の状況確認をしようと歩き出そうと足を前に出した時、俺はものの見事に石で足を滑らせた。
お笑い芸人も真っ青なベタな転び方である。そして手に持っていた刀がそのまま下に落ちて……
刀とともに下に落ちた俺が目にしたのは、頭が切断され絶命したたくさんの獣と真ん中に座り込む少女だった。
(やってしまった……)
おそらくあの少女は狩人なのだろう。そしてその獲物を俺が横取りしてしまったようである。
ならばすべきことは一つ。
「ツイてない熊だな。(少女の技で)全部クリーンヒットだ。」
そう、「俺は関係ないアピール」である。取りあえずは褒めそして、その間に話題を逸らす!
こうして俺は初めてライラと会ったわけだが、この時はまだ長い付き合いになるとは思ってもみなかった。
どうだったでしょうか?ご指摘・感想ありましたら、宜しくお願いします。
また次話で、皆様とお会いできる日を楽しみにしています 。
今度は早めに必ず仕上げます!!