嘘と真のレトリック
掲載日:2026/05/25
ある国に隣り合ったうそつき村と正直村がありました。
うそつきの村はうそつきしか住んでおらず、正直村には正直者しか住んでいません。
二つの村はたいそう仲が悪く、ことあるごとに張り合っていました。
ある時、二つの村に目を付けた商人が、こんな話を持ち掛けました。
「それぞれの村の主張をまとめて本を作り、どちらが支持されるかで勝負してみませんか」
二つの村はすぐに乗り気になって、それぞれの村人が協力して本を完成させました。
うそつき村の本は嘘だけを書き連ね、正直村の本は本当のことだけが記されていました。
そしてニ冊の本は商人によって都へ運ばれ、同時に売り出されました。
するとどうでしょう。
うそつき村の本が正直村の本より何倍も多く売れたのです。
正直村の住民はそれが信じられませんでした。
「役に立たない嘘ばかりの本が売れるなんてありえない、これは何かの間違いだ!」
うそつき村の住民は、何も言わずに自分たちの本を差し出しました。
正直村の住民が本を開いてみると、そこには奇想天外で心躍る物語が綴られていたのでした。




