生産と消費 ①
17才。一人暮らし。都会住み。趣味はアニメ、マンガ、ゲーム、etc。ごく普通のオタク。
ヤマソノ フミト。俺は今日も何もない日をすごす。
「あ、今日『焼ユロ』の発売日だ。買いに行かないと…」
起きてすぐ、日付を確認。見たことのある日付だなと思ってから数秒後に思い出す。学校帰りに買おうと思いながら、家を出た。
―放課後 書店
「今日なんか人多いなあ。」
そんなことを思いながら、数カ月に一度、決まったルートで決まった棚に行く。
「今回はコイツが表紙か。コイツなにげによく出てくるんだよな。…………なんて名前だっけ?あとで調べるか。」
レジカウンターで会計を済まし、カバンに入れて帰宅。
―自宅
「あ、そうだ。さっきのやつ調べよう。」
ブックマークしてある、某作品コミュニケーションサービスと同系列の百科事典サイトから、検索をかける。
「ああ、そうだそうだ。そんな名前だったな。」
本来だったら、好きな作品(アニメもあり、完成度も高く原作を上手く再現しているが、単行本も購入した)のキャラなんかは名前やプロフィールを当たり前に覚えていた。
しかし最近、物忘れとは違う、何にも無関心で記憶に残せないといったことが続いている。いや、最近でもないな。数年前くらいからだ。数年前?中学卒業した辺りかな。じゃあ最近だ。
完全に時間感覚が狂っている。朝が来たかと思えば、次時間を意識した頃には夕飯を食べている。一日がすぎる速さが秒速だ。
だからこそ限られた時間に好きなことをしたい。買ってきたマンガを読む準備をと、キャラなんかの復習を同サイトでしていた。
―数時間後
「お、これ絵柄が好みだ。あれ?よく見たらnomolさんの作品だ!遭遇率高いなー。」
流れるように、二次創作のページに移動していた。
「あ、もう七時。ヤバい。時間が溶けた。まあ、楽しみなことを先延ばしにするのは損じゃないし…」
気づいたとしても、スマホをスクロールする指を止めることはできない。もうそういうスイッチが入っているから。寝る時間だけ決めて、残りの時間は見続けることにした。
「オススメ欄ってありがたいよなー。自分から探さなくても割と好みにヒットしたのが表示されるもんな。」
見るからに自分の好みにあっているものが並ぶ中、更に良さそうなのを探す。
「うわ、この人あんま絵上手くないな。」
無視すれば良いものを、気になってタップしてしまった。
「ストーリーは好みだけど、絵がちょっとなー。」
なんとなく、自分と同じ意見の人はいないかと、コメント欄を見る。
ID:karei-to-hirame
ユーザー名:大きい方がカレイ
絵下手だなwもっと練習してから出直せw二次創作なんかしてんのに絵下手とか何のメリットもねえじゃんw
「うわあ、それはちょっと言い過ぎじゃね?絵が上手くないのは分かるけど。」
返信
ID:samehada.daisuki
ユーザー名:フカヒレ
何の生産性もないこと言うなよ。消費者の分際で。俺等にそんな権利はない。正直サムイよ。
「そうだよな。さすがに言い過ぎだよな。…………。」
自分はそんなに過剰にアンチはしてなくても。正直ダメージを受ける。そうだ、俺はどこまでいっても消費者なんだ。生産性の欠片もない、ただの消費者。なんか、社会のゴミって感じがする。こんなんでいいのかな。いや、ダメだ。何か生産性のあることをしよう。
俺は一瞬の思いつきで、行動を起こした。




