7 閑話 子爵家
私は子爵家長男として、産まれた時から教育を受けてきた。
何故、貴族は教育を受け領地を発展させていく必要があるのか。何故、貴族は領民を導いていかなければならないのか。
平民より恵まれた生活を今受けているのは、これから成すべき義務があるからであること。
それを受け止めて生きてきた。
だが、スペアである次男のドルイドはどこか受け止め方が甘かった。
私に何もなければ継ぐ爵位もなく、自分の力で行けていくしかない次男。
自分の学力を活かして皇城の文官にはなったものの、これからの生き方までは考えていなかったようだ。
そして、貴族という立場についての認識も甘かった。
文官として働き始めて4年後、ドルイドが結婚相手として連れてきたのは平民の娘だった。
いくら次男とはいえ、平民と結婚することは認められない。平民と結婚するためにはドルイドが平民になる必要がある。
それを聞いて、ドルイドは呆然としていた。平民となってしまってはこの子爵家に住むことも貴族として雇ってもらった文官の仕事も続けることができないのだ。
そのことをようやく悟ったドルイドは甘い考えを改めたようだった。
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結局、ドルイドはノーチェ子爵家から籍を外された。私にできたのは、私が持つ銀貨や銅貨と付き合いのある商家への紹介状を革袋に入れノーチェ子爵家の家紋が入ったカフスを持たせることだけだった。
私がその準備をしている間に私付き侍従がドルイドの着替えや日用品をまとめていた。両親には黙って…
まとめた着替えや革袋を受け取り、彼女と一緒に深く頭を下げてノーチェ子爵領を出ていった。
この後、きっと二人は苦労するだろう。でも、少しでも幸せに暮らしてほしい。
今は、これしかできないけど。
それでもいつか、笑いあえる、そんな関係になりたい。
いつか、父の怒りが解けて二人に会えることを今は祈ろう。
それがまさか、次に会える時には10年以上連絡がないため勝手に幸せに暮らしているだろうと思う甘い考えを打ち砕かれる時だなんて思っていなかった。
自分の暮らしで精一杯だったなんて言えない。
便りがないのは…なんて、私の甘さが招いた失敗だ。
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