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人生で最高の7日間と最悪な8年間  作者: 夢丸力丸


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8 ロブスター・オークション・OPハウス

 

★☆ ロブスターディナー★☆

さあ、いよいよ楽しみにしていたロブスターディナー!!

ダイニングにいそいそ行くと、事務方のボランティアの人に「あのね、スカラー生徒にお願いなんだけど、入り口でこれ新入生にかけてあげて」と赤いビーズのネックレスをたくさん渡された。(え~っ 私のロブスター~ 足りますよね・・)

で、このネックレス、小さなロブスターのかざりがついているもんだから、ネックレスどうしがからまりあって、なかなかとれない。列はどんどん流れてダイニングに消えていくわ、私にもくれと言う人はいるわ。私1人でこの虚しい作業をしていたけれど、南アのジルを見つけて半分こ。それからイタリアのセシルもやってきて3人のきれいどころが(?)入り口でお出迎えとなった。みんなに「スカラーはこきつかわれるね」とか「ロブスターなくなっちゃうよ」などと励ましをいただき引きつる笑顔。列はまだまだ長い。そのうち事務方もまぎれて並んでいるので、オイオイと思ったが(・・こういう事はよくある)、「列の後ろまで行って新入生をさがして、レイをかけてきちゃっていいよ」と言われすぐ従う。

寸胴いっぱいのロブスターを写真におさめ、テーブルにつくと、3倍速マージコンビと一緒だった。

マージはロブスターが嫌いなのでステーキを食べている。とにかく彼女は頭の回転が速い。しゃべりも凄いスピード。故郷では友達も同じスピードらしく、会話が終わらないうちに次の会話が始まるので、聞いている人が驚くそうだ。私が一言発すると全文を理解してくれるので、まるで連想ゲームをしているよう。

でも私はこういう人のほうが話しやすい。相方のスーとの掛け合いがこれまた絶妙。漫才コンビのようでまわりを笑わせてくれる。「あなた達を家に持って帰りたいよ」と言うと「棚に置いとく、それとも籠の中?」なんて答が即返ってくる。ほんとに面白い。

同じテーブルの50歳ぐらいのおばさんは生まれて初めてロブスターを食べるという。おそるおそる食べていた。

300尾のロブスターはこうして消えて、次は同じ場所でライブオークションが始まった。


★☆ ライブオークション 

これは毎年みんなの楽しみのひとつだそうだが、結局お金持ちの意地の張り合いみたいなところがあって、競売にかけられているミニチュアとはぜんぜん関係がなさそうだった。最後は金持ち2者が残って勝負になる。皆もどれだけ値がつり上がって、どちらが先に折れるかという点にしか関心がなく、もう誰の何のミニチュアにお金をかけているのかわからない状態。常連さんがいるようで、この人がどんどん値を上げる。そう言えばこの人サイレントオークションでも用のない古い雑誌に法外な値段をつけて、皆の話題をさらっていた。寄付マニアなのかもしれない。

彼女はもう余命幾ばくもないのでこうして散財してるとか、いろいろな噂が飛び交って、・・・でもギルドスクールにとってはこの人がいなくなったら、オークションは成り立たないだろう。上得意なのは確かである。

後でわかったが、この人があのバスより大きなキャンピングカーの持ち主だったのだ。このことは部屋に帰ってからも話題になっていて、トニーなんかは少し怒っていた。でもこの夜の売上は何と200万円!


オークションが終わり、私たちも無事何一つお盆から落とすことなく手伝いを終え、VIPルームの手伝いの前にオープンハウスにむかう。


★☆ オープンハウス ★☆

これは他のクラスを見学できるもので、インストラクターが各部屋にいて説明などをし、宿題など居残りの生徒の仕事振りを見られるので、とても楽しい。

部屋があちこちに点在しているので、全ては見られなかったが、皆の進展状況がわかって面白かった。

年代ものの家具を作るある教室では実物の縮小の仕方ということで、家具作りの前に粘土細工で実物と縮小を作る勉強をしていた。

スーザンと途中まで一緒に見て回ったのだが、彼女は来年はこのクラスをとらなきゃとか、これも習おうかしらとあちこちで言っていた。なるほどこれはギルドにとってもよいプロモーションだ。

スカラーシップの選考委員長のブラックマンはほぞつぎのテクニックを教えるクラスで、電動ノコを使っていとも簡単に作って見せてくれた。 彼はギルドスクールの他、各地で開かれる1日セミナーなどでも活躍している。


また、PCを貸してくれたコーレーさんの先生ビルは若きミニチュア界の旗手といった人だった。

私がハエたたきを見つけ「これ何に使うの?」と訊ねると「虫をたたくの」とそのまんまの答えを頂戴した。

(そういえばここは蚊は少ないけど黒い虫が出るのだ。)

「そんなものまで持って来ているの?」と驚く私に「僕はCDプレーヤーとかも持ち込んで作業中は音楽流してるんだよ」と説明。

これは彼が初めてクラスを持った時、皆が緊張して心臓の鼓動がバクバク聞こえるくらいだったので思いついたそうな。

う~む、そういえばこのクラス、私のクラスみたいに世間話しながらという雰囲気ではなく、工業訓練校といった感じ。生徒も30~40歳代の男女半々。ツールに囲まれた机で宿題をする人を見ると職人を目指すような真剣さ感じられる。

ちなみにビルの手相をみせてもらったら、繊細そのもの、大器晩成の相なので、これからどんどん有名になるに違いない。皆さん、覚えておきましょう、この名前。ビル・ロバートソン。

またイギリスからも4人のインストラクターがギルドスクールに参加している。家具職人のさすがの技に溜息しきり。


もっと見たかったが10時になってしまったので、VIPルームに手伝いに行く。スカラー生はサポートする決まりなのだ。

ここはドミトリーの地下にあって、ビリヤード台とキッチンがある。MMAにしたら集会所みたいなものか。キャンパス内では酒類は一切ご法度で、カクテルタイムも自腹で1,2杯お酒が許される程度。

でも、このスクールは大人の集まり。そんなわけにもいかず。ここでは11時まで事務局のおごりでフリーでワインやビールが飲めて談笑できる。

もうすでに選考委員の人が慣れた手つきで仕切っていて、私たちは特にすることがなかったけど、初日に挨拶できなかった委員の人と話すことができた。委員の人も生徒としていろいろなクラスをとっているようだが、皆10年以上のベテラン生である。カナダや国内ばらばらに住んでいるので、スカラーの書類は宅急便で送られてきて、自分の選考が済むと次へまた宅急便で送るらしい


向こうのテーブルで小朝君が写真を広げているのを見つける。物心ついたときからミニチュアやドールハウスを作っているらしく、たくさんの作品の数々。その中でもジェネラルストアの中に作った店主の人形がビートタケシそっくりなのでびっくり。「これね日本で有名なコメディアンそっくりだよ」といって「タケシ」と教えるが、発音できず、どうしてもタカシになってしまう。(・・まっいいか。)

気が付けば、このテーブル私(日本)、小朝オランダ、マリー(スエーデン)、ジル(南ア)、セシル(イタリア)、ジェフリー(イギリス)と国際色豊か。こんな機会もめったにないだろうからと、気を使って「クリスマスには何を食べるか」と振ってみた。さすがみなクリスチャンだけあって盛り上がった。お国柄がでて少しずつ微妙な違いがあったのは神道の国の私には面白いひとときだった。

11時をまわったので、帰りたかったがあちこちで話に花が咲いて誰も帰りそうにない。これで私の今日の任務も全て終わり、早く寝た~いし、疲れたしで、すご~く眠い。

私に向かって「じゃ明日ね」といってジルもひとごとのように皆と帰ってしまった。(オイオイお前もスカラーだろうが・・・)


だれかが部屋のスイッチを消したりつけたりして、皆の注意を促し私もやっと開放された。

部屋に戻ると何とスーザンのタンスの上にさっきあったワインの大きなボトルが。「ええっ、持ってきちゃったの?!」そういえばVIPルームでスーザンの姿をちらりと見たような気がしたが、いつの間に・・・。

「だってもうほとんどないから・・」 (って言ったって・・あんた~職業は学校の先生じゃなかったけ~?。さすがベテラン生徒。やるな~。)



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