96.青春同好会がゲームにやってきた! ②
『ミナモトノカミ』は、リアルタイムバトル。
フィールド上に点在するモンスター達。
それらと各プレイヤーは自由に戦うことができる。
経験値は、そのモンスターと戦ったプレイヤーに配分される。
そこに優劣はない。
全て均等に配分される。
「まずはレベル上げ!」
いつもより元気そうな土浦。
まずは五人で雑多にモンスターを狩ることになる。
「死んだら困るから、それぞれ役割を決めよう」
続いて、水無瀬先輩。
土浦も先輩の意見に賛成だ。
「じゃあ、まずはそれぞれの職業を……」
このゲーム内では、ゲーム経験豊富な土浦がリーダーだ。
俺が、戦士。
水無瀬先輩が、黒魔術師。
新樹先輩が、狂戦士。
これはさっき、教えてもらったから知っている。
「なんか土浦だけ、装備とか凄いな」
他の皆は初期装備って感じだけど。
土浦はなんか豪華だった。
「みんなより早く始めてるんだから、仕方ないでしょ!」
「レベルも……うわ、二十超えてんじゃん」
「レベル上げ、結構時間かかると踏んでたんだけど」
「ほ、放課後にちょっとやってるだけだから!」
「萌揺の、守護騎士ってなに!」
「このゲーム、職業を二つ極めたら、組み合わせで上位の職業になることができる」
「萌揺ちゃんのは、その上位の職業なんですか~。やりこんでますね~」
「そうなの! 頑張ったんだよ!」
やり込んでるじゃん、土浦。
ちょっと、じゃないだろ。
「私もそれやってみたい!」
土浦のキャラに憧れている火之浦先輩。
「火之浦先輩は……」
盗賊だった。
「え、なんで盗賊なんですか!?」
思わず、声に出してしまった。
「一番早く動けるから!」
「土浦、そうなのか?」
「最初の職業なら、確かに盗賊のスピードは高いけど」
「スピードが高いと、フィールド移動も早くなるよね?」
水無瀬先輩の言葉に、土浦が肯定する。
「誰か火之浦先輩に手錠とかつけたほうがいいんじゃないですか?」
「そんなシステムはないわよ、馬鹿!」
だってさ。
「んん。パーティ内の役割はね……」
土浦が考える。
現在の各メンバーの職業。
戦士。
黒魔術士。
狂戦士。
盗賊。
守護騎士。
「あまりいいパーティとは言えないね」
水無瀬先輩、バッサリ。
「俺あんまこういうゲームしたことないんで、さっぱりです」
「なんでもレベル上げればなんとかなるでしょ!」
「なんとかならない時があったら、どうするの?」
「凍里ちゃんは心配性ですね~」
「一番の問題は、回復役が私しかいないことかなぁ」
土浦が頭を抱えている問題。
回復系の技を使えるのが、守護騎士しかいない。
戦士、狂戦士は戦うことでしか役に立たない。
黒魔術師は、攻撃魔術ぐらいしか覚えない。
盗賊は、盗むことが得意な職業。
「私が回復する薬をお店から盗んでくるわ!」
「ダメだよ! それだと色んなプレイヤーから狙われるんだよ!?」
「リーダーが賞金首になるのは笑える」
お店から盗みを働くことは可能。
だがそれ相応の罰が待っている。
盗んだ時点で指名手配。
賞金目当てで、多くのプレイヤーから狙われる。
実際、それを好んで悪事を働く人もいるみたいだ。
「ゲームでまで追われるなんて、いいね」
「宿命、というやつですね~」
「面白くなりそうだわ!」
先輩三人、やる気です。
「ちょ、ちょちょちょ! お姉ちゃん達ストップ!」
スマホの奥から、土浦の本気の声が聞こえてくる。
「このゲームで賞金首になったら、本当にゲームできなくなるから!」
もし、賞金首になったら?
今の土浦でさえも太刀打ちできないプレイヤーから狙われる。
それも何十人規模で。
土浦の必死の説得。
どうにか先輩達を引き留めることができた。
「まずはモンスターを狩りながら、準備をする!」
意気揚々と、土浦を先頭にフィールドへ出陣。
俺達のパーティ、『ブルースプリング』。
土浦が攻守に渡り、全体をカバー。
新樹先輩は攻撃に専念。
水無瀬先輩が、全体攻撃バフと魔術攻撃。
火之浦先輩は、隙を見て攻撃と盗み。
それで、俺はタンクで最前線だ。
「タンクって何すればいいんだ?」
土浦から渡された指令に質問。
「皆を攻撃から守ってればいいの!」
らしい。
とにかく敵の前に出て、敵の攻撃を全て受け止めろと。
「でも、俺自分で回復できないぞ?」
「なに、私が信用できないの?」
いや、そういう訳じゃないんだけど。
「とにかく、ダメージは気にせず、敵からお姉ちゃん達を守って!」
はい。
「それじゃあ、出発よ!」
というわけで、出発。
ミナモトノカミに青春同好会が殴り込みだ。
「出たわ!」
先頭を突っ走る偵察係の火之浦先輩。
敵に突っ込む前に、全員で先輩をパーティ後方に戻す。
「初戦闘、お姉ちゃん達頑張ろうね!」
おい、俺は!
「作戦通りに行くわよ!」
青春同好会、初戦闘が始まった。
敵はスライム状のモンスター。
どのゲームにも出てくる、初心者御用達のやつ。
数は、五体。
ステータス自体は弱い。
が、時間が経てば仲間を呼ぶ。
「御形、敵の注意を引いて!」
土浦の指示通り。
俺はパーティからいち早く抜け出して敵の近くに向かう。
が、
「先手必勝!」
スピードの高い火之浦先輩が俺より早く先行。
「スピードバフ」
それに同調する水無瀬先輩。
「あ、それ私も欲しいです~」
新樹先輩も悪乗りに参加。
「お姉ちゃん!?!?」
土浦、先輩達よりも早く、モンスター瞬殺。
経験値、獲得。
「作戦通り、て言ってたじゃん!」
「早く戦いたかったの!」
盗賊というよりも、狂戦士だなこれは。
「水無瀬先輩も新樹先輩もノッたらだめですよ」
「……とりあえず、みんなのレベルが上がるまで私がメインで攻撃する。お姉ちゃん達は、自由に動いてもいいよ」
結局、土浦が全てを負担することになった。
「御形。絶対お姉ちゃん達を死なせないでね」
土浦からの新指令。
何気に一番負担がある役割だった。
どんなゲームでも大なり小なり作戦がないと、回らないことが多いですよね。
火之浦先輩はあまり協力プレイができません。
「ミナモトノカミ」、もうちょい続きます。
ブクマよろしくお願いします。




