93.一波乱の予感です!
「久方ぶりだな、青春同好会?」
「ご機嫌いかがでしょうか?」
生徒会御一行がちょうど橋を渡り終えて、こちらに向かってきた。
今日は委員長組はいないらしい。
いつもの生徒会組に猪飼先輩達が加わっている。
他のメンバーよりも一歩前に立って、奇天烈な服装の二人がこちらを睨んでいる。
「さっきぶりね!」
「貴様はな、陽碧学園の不心得者が!」
「そういえば、見たことのない顔がありますけれど、どちら様? 見たところ、新入生のようですが?」
「ひっ……」
土浦は新樹先輩の後ろに隠れた。
「生徒会補佐って、生徒会長よりも前に出ていいんだね」
「黙れ! 我は貴様が嫌いだ!!」
「姑息な小娘はどこかへ消えてしまいなさい」
猪飼先輩から水無瀬先輩への当たり強くない?
「なにしたんですか?」
「別に。突っかかってきたから、返り討ちにしただけ」
「ええ……」
「いつも突っかかってくるの向こうだし」
「いっ君、一緒に帰ろ~!」
「伊久留は、私と帰るの!」
「ふ~ん、より親密な私達の間に入ってくる気なんだあ」
ニヤニヤ、変な笑顔だな。
「どういう意味?」
「知らな~い。いっ君に聞けば、いいじゃない?」
「伊久留?」
「いや、皆目見当つきません」
より親密?
学園の中で一番親しい間柄だからか?
「この思い出はね、私の中で眠っていればいいの~」
「そう。じゃあ、伊久留は貰うわね」
「ちょ、ちょちょちょ、どういう意味!?」
「会長は御形君との思い出だけでいいと、ついさっき仰ったじゃないですか」
「掩ちゃんはどっちの味方なの!」
「まだ仕事は終わってないんですから、ほら行きますよ」
「まだ仕事終わってないのかよ」
「い、いっ君と会ったら、もう仕事は終了なんだよ~」
駄々こねる、初衣ねえ。
無視する、大導寺先輩。
相変わらず、どちらが上か分からないコンビだな。
「ほら、猪飼さん方も」
「ほお。土浦上官の妹気味だったか」
「あまり、似ていませんのね」
「そうなんだよ~。でも、可愛いやつでさ~」
「お、お姉ちゃん離れて!」
土浦先輩と猪飼先輩達に囲まれて、土浦が揉みくちゃにされている。
「ん~、千遊ちゃんも柚丹ちゃんもいくよー!」
「先導者! ここでこの厄介者達と決着を付けましょう!」
「穢れた不埒者達を今浄化しましょう……」
「千遊。柚丹。そういうのは風紀委員に任せましょう。彼女達も、まだ騒ぎを起こしているわけではありません。それよりもまず、優先するべきことを優先しますよ」
「む。だ、大導寺閣下がそういうなら!」
「大導寺様に従いますッ!」
「あ、あれ~」
大導寺先輩の言うことには、即座に従うんだ。
初衣ねえが、生徒会補佐は大導寺先輩を慕っていると言ってたけど。
初衣ねえと大導寺先輩。
まさか、ここまで差があるとは。
「じゃ、じゃあ、頑張ってね、初衣ねえ」
「うわ~ん! もっと一緒に!」
「はい、行きますよ。会長」
大導寺先輩に引っ張られながら、生徒会一行はどこかへ。
「生徒会と出会うたびに小競り合い起きるのは面倒」
「私は見てて楽しいので~」
「生徒会と青春同好会。いいライバル関係ね!」
「結構猪飼先輩とは、仲悪そうですね」
「まあ、生徒会の中で一番被害被ってるからね」
「生徒会長とか副会長ではなく?」
「いや、物理的に」
物理的に?
「ま、御形が気にすることではない」
「気にするというか、気になるんですが」
「さ! 今日は何をする!」
「そういえば、そんな話してたね」
「つ、疲れたから、どこかで休みたいよ~」
「萌揺ちゃんも散々でしたね~」
「そういえば、一昨日伊久留と美味しいお店を見つけたから、そこに行きましょ!」
「ちょっと、御形!!!! 美琴お姉ちゃんと一昨日なにしたのよ!!!!!」
「ちょお!!! 蹴り上げてくるな!」
「うるさいうるさいうるさいうるさい!!!」
「俺の股間を執拗に狙ってくるな!」
体育祭が終わっても、まだまだ波乱は続きそうだ。
そう思わせてくれる一日だった。




