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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で雨にも風にも負けないことを誓います!

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??.火之浦先輩が大変です!

「…………」


 梅雨に入って、雨の日が増えた。

 

「…………ぐう」

「こんなに静かなのも久しぶりな気がします」


 いつもより、雨音が大きく聞こえる気がする。

 放課後。

 青春同好会としては珍しく、食堂に集合。

 昼休みほど生徒数は多くない。

 が、雨の影響か、半分以上の席は埋まっている。


「極稀にある。去年一回なかったっけ?」

「三人でゲームを三日三晩した時でしたっけ~」

「面白いことをしてますね」


 俺の目の前の席。

 火之浦先輩がテーブルに突っ伏して寝ている。


「新樹先輩が火之浦先輩を担いできた時はびっくりしました」


 一日の終わりを示すチャイム。

 鳴った数秒後に、火之浦先輩を担いだ新樹先輩が現れた。

 倒れてしまったのではないかと本気で心配した。


「朝から元気がないのは知ってたから、事前に陽乃女に頼んでおいた」

「何回か意識飛んでましたからね~。ほんと心配しましたよ~」

「あのゲーム、多分夜通しやってたんだろうね」


 ミナモトノカミ。

 土浦から勧められ、全員が現在プレイしているゲーム。

 数日前に、一度全員でマルチプレイをしたわけだが。

 それ以降、火之浦先輩はかなりハマっているらしい。


「ログイン履歴いつ見ても、リーダー基本いる」

「それで寝不足って、火之浦先輩的に本末転倒になるんじゃ……」


 一つのものにハマって、他が疎かになる。

 楽しいことならなんでも飛びつく火之浦先輩にとって。

 その状況にあるということは、由々しき事態であると思う。


「だから、限界まで頑張ってたんだよ。で、それが切れた」

「今日一日大人しくしてれば、明日には元気になってますよ~」


 と、先輩二人は語る。

 とにかく、一日休めば問題ないと。

 その一日の遅れぐらいはまた明日から全力で取り返しにいくらしい。


 二人がそういうんだから、さほど問題ではないんだろうな。


「まあ、火之浦先輩の心配はとりあえず置いておくとして」

「というか、萌揺は休みだね」

「そうですね~」


 大きな問題はそっちか。

 昨日は学校来てたんだけどな。

 土浦、今日は学校に顔すら出していなかった。


「一応、体調不良って伝えといたけど」

「それ、水無瀬先輩から伝えるの問題じゃないですか?」

「ちゃんと証拠写真とかも整えていたから、疑われてはないと思う」

「流石に連続でするのは不味いので、明日はちゃんと連れて行きましょ~」


 土浦は土浦で、こういうことはよくあることらしい。

 特に土浦と先輩達が学年違いで一緒にいられない時。

 去年とかがそれにあたる。


「ほんと困った子ですね~」

「まあ、慣れっこ」

「理由は知ってるんですが」

「聞かなくても分かる。リーダーと同じ」

「じゃあ、心配はしてくていいですね」


 土浦はそういう感じなのは、なんとなくわかってた。

 あいつもちゃんと休めば、明日学校には来るだろう。

 先輩達もいるんだし。


「これじゃあ、今日活動は出来なさそうですね」

「ま、雨だし、ちょうどいいかもね」

「お二人はゲームは進めていますか~?」

「そこそこ」

「時間がある時に少しやってますけど」

「じゃあ、少し手伝ってほしいんですけど~」


 と、珍しく水無瀬先輩と新樹先輩との三人の時間が始まった。

 とりあえず火之浦先輩が起きるまで、待つとする。


「あ、いっ君、ここにいた!」


 だが、突如として初衣ねえがやってくる。

 あの妙な双子を引き連れて。


「会長。どうしてこんな奴らを頼ろうとするんだ!」

「そうです。もしこの人達が介入すれば、末代まで呪われてしまいます」


 開口一番、とんでもないコメント。

 軍服ゴスロリ生徒会補佐の二人。


「蠅がたかってる」

「五月蠅いやつらですね~」


 こちらも負けじと、辛辣なコメント。

 

「ほお、口だけ達者な水無瀬凍里殿ではないか!」

「そして、こちらは力だけが取り柄の新樹陽乃女様ですね!」

「蹴り飛ばしますか~?」

「意味ないから、ダメ」


 二年生同士、バチバチだ。

 その雰囲気にあてられて、俺はちょっと席を外す。


「なあ、初衣ねえ」

「どうしたの?」

「なんでやってきたんだよ。それに、あの二人を連れて」

「私はいっ君に用事があったんだけど。二人が行くって聞かなくて……」

「だ、大導寺先輩は?」

「掩ちゃんは、別件で学園に今いないんだよねえー」


 二人の楔となるはずだった、大導寺先輩が不在。

 多分、あの人達暇を持て余してたんだろうな。


「生徒会補佐って、仕事の補助が主な仕事だから間違ってないんだけど」

「青春同好会と鉢合わせさせるのは、大間違いだと俺は思うよ」


 チクチク言葉が、あの四人の中で暴れまわっている。

 もうあの空間に飛び込むのは嫌だ。


「まあいいや」


 水無瀬先輩と新樹先輩がやられるなんて思えないし。

 多分負けるのは、双子猪飼先輩のほうだろう。


「で、俺に用事って?」

「そうそう! いっ君にお願いがあるの!」


 バシッと手を握られる。


「七夕祭りのお手伝いをお願いしたいの!」

「火之浦先輩が大変です!」。


全く大変ではなかったですね。

体力は結構ありますが、やはり夜通し連続は火之浦先輩でもきつかったみたい。


次回から、七夕祭りへ向けて動き出します!

初衣ねえからの頼みを受け入れるのか、断るのか。

乞うご期待!

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