表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で雨にも風にも負けないことを誓います!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/81

??.青春同好会がゲームにやってきた! ③

 雑魚モンスターを狩ること、三十分。

 順調にレベルも戦闘経験も積んでいく。


「楽勝ね!」


 何度か危ない場面はあったけど。

 土浦の助けもあり、全滅は避けられている。

 全滅したら、持ち物もお金も全ロストらしい。


「楽勝って。よく言いますね、火之浦先輩」


 三十分、ゲームをし続けていただけなのに。

 なんかドッと疲れてしまっている。


「火之浦先輩を守る役目を降りたいです、土浦さん」

「ダメ!!!」


 縦横無尽に動き回る火之浦先輩。

 しかも、盗賊でスピードが速い。

 戦士のスピードで追いつくことはできない。

 とにかく火之浦先輩の動きを先読むしかなかった。


 頭で考え、指でキャラを操作。

 今までやってきたどのゲームよりも疲れる作業だった。


「本当に土浦代わってくれよ……」

「前線で戦ってくれる陽乃女お姉ちゃんの回復とかあるし」

「じゃあ、水無瀬先輩が魔術でカバーしてくださいよ」

「攻撃呪文楽しい」


 楽しい、じゃないよ。


「でも、そろそろ慣れた頃じゃない?」

「もう攻撃のやり方は慣れました~」

「私も操作バッチリよ!」


 先輩三人は、このゲームに慣れてきていた。

 

「伊久留が守ってくれるから安心ね!」

「御形がリーダーの世話係決定」

「賛成で~す」

「ぷっ、お似合い」

「火之浦先輩、戦闘の基本を覚えましょう……」


 まずは、敵のことを知ることから始めてください。


「でも、火之浦先輩はとにかく、戦えるようにはなったんじゃ?」


 俺の言葉に、土浦はうんうん唸っていた。


「いけるとは思うんだけどな……」

「何が心配なんだよ」

「やっぱり全ロストしたことを考えると……」


 十回以上は戦闘を行った。

 結果、道具やお金が結構手に入った。

 それが死んだ瞬間、全て無くなってしまう。


「せっかく一緒に遊べるのに、それじゃモチベが……」


 土浦はぶつぶつ何か言っている。


「そろそろ雑魚敵ばかりは飽きてくるね」

「なんか歯ごたえのある敵と戦ってみたいですね~」

「色んな場所を探検したいわ!」


 土浦の心配を余所に。

 先輩達はどんどん先へ行く気満々だった。


 まあ、俺もまずは色々と試してみるのもありだと思う。

 だが、ゲーム脳土浦。

 そういう試みは躊躇してしまうみたいだった。


「萌揺、なんかダンジョンとか言ってみたいわ!」

「え、ええ!? もう少し武器とか揃えた方が……」

「カジノとかないのかな」

「こういうのってありそうですよね~」

「カジノ!? 今あるお金を全ベットよ!」

「そ、それじゃあどこにも行けなくなっちゃうよー!」


 こんなに振り回される土浦も珍しい。

 というか、先輩三人に逆らう土浦が珍しいか。

 いつもは先輩全肯定なやつだしな。

 

 流石の土浦でも、大好きなゲームでは強情だ。


「も、もう少しお金を集めてから、別の場所に移動しようよ!」

「集めたら、何かあるの?」

「ぼ、防具を揃えればもう少し行動の範囲が広がるから!」

「まあ、そこまでは我慢するか」

「一撃で倒せる特技とか身に着けたいですね~」

「盗賊なら暗殺スキルがあるわよ!」


 土浦が色々と指示しなくても。

 この人達なら勝手に盛り上がるんだろうな、と思う。


 元々色んなことに順応することが得意な人達だしな。


「伊久留も一緒に行くわよね!」

「へ?」


 自分のステータス画面とか見ていたせいで。

 火之浦先輩が何を言っていたかを聞いてなかった。


 一緒に行くとは?


「まあ、特に何かしたいわけでもないので」


 ゲームなんだし、適当でもいいだろ。


「御形! お姉ちゃんを止めて!」


 が、土浦は猛反対していた。


「別に遠くに行くわけじゃないんだったら……」

「そうよ! ここからすぐに行ける場所よ!」


 火之浦先輩がマップにマーカーを置いた。

 この場所から少し離れたところの、森。

 なんか他の場所より黒く表示されているけど。


「そこは初心者狩りの森だからダメ!」


 初心者狩りの森?


「強い敵が出るとか?」

「強い敵もでるし、罠も沢山あるんだよ!」

「面白そうですね~」

「でしょ! 陽乃女も同じ気持ちね!」

「ある程度強くなっても難しいダンジョンなんだからッ!」


 そんなダンジョンを初心者御用達エリアに配置するなよ。

 まあ、遊び心というやつか。


「賛成は三人なので、その森に行くことは決定ですね~」

「ん?」

「馬鹿御形!!!」


 俺も、賛成した形になってるわけか。

 そこまでゲームに執着していないから。

 どうでもいいかな。


「馬鹿御形、馬鹿御形っっ!!」

「そこまで言わなくてよくない?」

「でも、私は反対かな」


 と、意外と水無瀬先輩は反対の立場。

 

「やっぱり、道具屋を襲うのが手っ取り早い。すぐ強くなる」


 反対の立場だけど、そもそも別視点だったな。


「お姉ちゃん達、もうちょっと慎重に!」

「土浦、無理だろ」

「無理じゃない、馬鹿御形!」


 馬鹿御形に、ハマったのか?


「とにかく、遊ぶならもう少し色々と整えてから!」

「別に全ロストしても悲しむ人はいないと思う」

「私が悲しいの! お姉ちゃん達の努力を水の泡にはさせない!」


 強情も強情。

 土浦は一歩も譲らない。


「そういえば、このフィールドに強いやつとかでないんですか?」

「たまにでるらしいよ」

「レア武器とか落とすらしいですよ!」

「早く会いたいわ!」

「会っても勝てないから、さっさと逃げるのが鉄則……」


 土浦の言葉が止まった。

 と、同時に画面に赤い紋様が出現。


「なに?」

「あ、まず」

「見ただけでやばいってわかっちゃいます~」

「れ、レアモンスターだ!?」

「ぜっったいに、倒すわ!!!」

「逃げないとまずいって!」

「伊久留、頼むわよ!」


 と、真っ先に火之浦先輩が突っ込む。

 直後に新樹先輩が続く。

 後衛から水無瀬先輩が呪文を発動。


 レアモンスターのレベル。

 今まで戦ってきた雑魚敵のレベルに、0が一つついている。

 俺達の平均レベルの三倍ぐらいだ。


 すなわち、無理。

 一応レベル差を覆せる戦い方もあるけれど。

 俺達にそんなことできるわけもなく。


「あー」


 俺が火之浦先輩を守るために飛び出した頃には。

 後衛にいたはずの水無瀬先輩。

 レアモンスターのビーム攻撃で即死。


「あら~」


 続いて、ビーム攻撃がそのまま方向転換。

 新樹先輩を引き裂いて即死。


「ああ!」


 そして、俺が間に合わず。

 火之浦先輩はレアモンスターの爪攻撃で即死。


「無理じゃん!」


 で、俺も同時に即死。

 

 誰も太刀打ちすることができず。


「ほら、私の言った通りだったでしょ!」


 リスポーン地点。

 何もダメージを負っていない土浦からちょっと怒られた。


 というか、こいつはなんでダメージ負ってないの?


「萌揺、先に逃げたでしょ?」

「ええ!?」


 水無瀬先輩の指摘に、土浦は反応しない。

 俺達はお金や持ち物は全ロストしたってのに。


「馬鹿御形が守んなかったのが悪い」

「全部が全部、俺に責任を擦り付ければいいってわけじゃない」


 確かに守るのが俺の役目だけど。

 何も準備していないのに、飛び出したお三方が全面的に悪いだろ。


「こういうのが結構あるから、いろいろと準備しないといけないんだよ」


 と、土浦がもう一度説明。

 なるほど。

 運が悪いと、激つよモンスターにあったりするわけか。


「絶対、あいつ倒すわ!!」


 火之浦先輩が、強く、そう宣言した。


「また探しに行くわよ!」


 ただ、土浦の言葉は響いていないようで。

 早速、さっきのフィールドまで走っていく。


「み、美琴お姉ちゃん! もう少し頭使ってよ!」

「楽しそうにしてるから、いいじゃん」

「よくない、馬鹿アホ御形!!」


 アホが追加されてしまった。


ミナモトノカミ、一旦終了です。

梅雨の時期なので、多分このゲーム回多くなります。

元ネタ、分かった人いますか?


次回から、この章のメイン【七夕祭り】に向かって進めていきます。

この章も、青春同好会がもっと暴れますので。


ぜひブクマ、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ