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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で体育祭で勝ちを狙うことを誓います!

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45/82

45.学園内で仕込みをします!

 必要なものを沢山買い、学園へ向かう。


 今日は学園側に閉門後の活動の許可をもらっている。

 夜の八時までは活動することが可能。

 空き教室を一つ借りている。


 今日買ったものは荷台を借りて学園へ持っていく。

 凄く重かったが、なんとか持っていくことに成功。

 これも全て新樹先輩のおかげだった。

 本当に、頭が上がりません。


「さあ、桜の木を作るのよ!」


 木材とピンク色の紙。

 美術用の絵具。ノコギリなどの工具。


 一本、俺の二倍ぐらいの高さの木材がある。

 これを中心に枝をつけて大きくしていく。


 木材同士の接着するのは難しそうだけど。

 なんとかするしかないんだろう。


「あ、あとはよろしく……」


 水無瀬先輩は、えらく疲れ切っていた。

 ちょっとした荷物を持って学園まで来ただけなのに。

 体力切れだ。


「わ、私も疲れたぁ……」


 土浦も同様。


 水無瀬先輩と違うところは。

 何も手伝っていないところ。


 ちなみに、買ったチョコと水は渡している。

 しっかり感謝の言葉も受け取った。

 めっちゃ小さい声で。

 少し聞き返そうとしたら蹴られた。

 

 現状元気なのは、俺と火之浦先輩と新樹先輩だ。

 いつも通りというかなんというか。


「二人とも、もうちょい頑張ってください」


 特に土浦。

 こいつ本当に何もしない。


「本当に体力ですね~」

「まあ、凍里も萌揺も役割が違うから仕方がないわ!」


 と、先輩二人は早速作業へ移る。

 疲れ果てて倒れている二人を放っておいて。


 俺もそれに続く。

 火之浦先輩に何を手伝えばいいかを聞いたところ。


「この木材に絵具で色をつけるの!」


 ぱっぱと、絵具一式を渡される。

 

「どういう色合いで?」

「木っぽくよ!」

「新樹先輩?」

「はいは~い。今から私が言う分量で絵具を混ぜてくださーい」


 役に立たない我らがリーダーの代わり。

 新樹先輩が木っぽい色の作り方を教えてくれた。


 その通り作り上げる。

 結果、まさしく樹木!て感じの色が作れた。


「凄いですね、新樹先輩」

「一度作ったことがあるんですよ~」

「木の色をですか?」

「前学園内でかくれんぼした時ですかね~」

「あったわね! 陽之女だけ、結局見つけられなかったの」

「木皮みたいな布を作ったんですよ~」


 なるほど。

 その経験を覚えていたと。


 そんな技術をどこから手に入れたのだろうか。

 新樹先輩、謎が深まる。


「じゃあ、私達はいい感じに桜を作るわ!」

「ざっくばらんにしていきましょ~」


 俺は樹木部分担当。

 火之浦先輩と新樹先輩は花部分担当だ。


 身長の倍近くある木材に色を塗っていく。

 まずは満遍なく。

 次にところどころ色の濃さがでるようにしていく。

 作業工程や不明部分は新樹先輩に聞きながら。

 おかげか、色だけでもいい感じに仕上がっていく。


 ただ素人の腕前なので、お粗末なものなんだけどね。


「参加する」

「わ、私はどうすればいい……?」


 倒れていた残りの二人も体力が回復したのか。

 作業に参加する。


 二人が参加したのは火之浦先輩たちの方だけど。

 結局俺は、一人で色塗りだ。


「おい」


 そんな作業途中。

 七時を回った頃、空き教室の扉が開かれる。


「なんかまた悪さしてるのか?」


 現れたのは、風紀委員長の武見先輩だった。


「げ!」

「面倒」

「あらま~」

「……誰だっけ?」


 青春同好会、女性陣の様々な反応。

 肯定的な反応でもない。

 彼女たちの反応を見て、武見先輩もムッとしていた。


「どうしてそんな反応をするんだよ」

「だって」

「そりゃ~」

「めんどくさいもの!」

「……おい、御形。手綱はしっかり握っておけよ」

「いや、それは生徒会や風紀委員の皆様にお任せします」

「ったく。本当に頭が痛くなる奴らだ……」


 なんか本当に頭が痛そうだ。


「武見先輩は風紀委員の仕事ですか?」

「そうだよ。担当の風紀委員は、七時に見回りして仕事が終了なんだ」

「風紀委員長でも、そういう仕事をするんですね」

「委員長だからって理由で、楽するわけにはいかないだろ?」


 流石は風紀委員長。

 上に立つ者であっても。

 驕らずに風紀委員としての使命を全うしている。


「大変ね!」


 対して、俺達のリーダー。

 そんなことどうでもいいと言わんばかりの適当な感想だった。


 まあ、これはこれで俺はいいと思うけどね。


「で、お前らは申請してるのか?」

「してるわよ!」

「……どこにも青春同好会って名前はないんだが?」


 持っていたバインダーをボールペンで指し示す。

 六時以降の活動の許可を得た人達の一覧表か。

 

 確かに、どこにも青春同好会なんて名前はない。


「……聞こうか。お前らは何という団体名だ?」

「桜同好会!!」


 なにその団体!?


 武見先輩はリストの中から探し始める。

 目を数回擦って、再度確認。

 そして、ため息。


 頭を抱えた。


「先生達も、しっかりしてくれないと」

「しょうがない。私達とは無関係の生徒が申請したから」

「本当に穴を突くのが上手いな、水無瀬」


 青春同好会では、申請が却下される可能性が高い。

 だから、別団体を作り上げて、申請書を作り上げた。


 だが、水無瀬先輩はそこでは終わらない。

 偽の申請書を、青春同好会以外の誰かに頼んだ。


 申請書に書くべきなのは、代表者名のみ。

 その団体に所属する者、全員の名前を書く必要はない。


 そんな水無瀬先輩の作戦。

 自信満々に説明していたのは、火之浦先輩。


「…いや、規則は守られているから何も言うまい。八時過ぎたら撤収するように。八時半になっても学園内にいるのなら、申請書の件も含めて罰を受けてもらうからな」


 十数秒悩んだ末、武見先輩は見逃してくれるようだった。


「どうせ反省室なんて…・・・・・」

「反省室、三回分にお前らはサービスでしといてやる」


 そう言い残して、武見先輩は風紀委員の業務へと戻った。


「八時まで一時間切ってますけど、ギリギリまで作業しますか?」

「片付けとか考えると、早めに切り上げないと」

「了解です~」

「え~! もっと遊びたいわ!」

「リーダー。流石に反省室三回分は嫌」


 多数決の結果。

 二対三で、早めに切り上げることが決定。

 流石に反省室三回分は、賢い人達でもきついみたいだ。


 というわけで、十分程度作業した後撤退。

 空き教室を元通り綺麗にする。

 発つ青春同好会は、跡を濁さない。


 青春同好会の活動は一旦終了した。

陽碧学園って、実はセキュリティガバガバなんじゃないかと。

書いていて思います。


同好会関係に関して、だけですからね。



次回、桜が完成するのか? いつ春は終わるのか?

続きはブクマでチェック!!

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