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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で体育祭で勝ちを狙うことを誓います!

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43/81

43.四月と言ったら、桜です!

「4月も終わりね!」


 青春同好会リーダーがそんなことを言い出す。


 今は4月30日。

 日を跨げば5月が始まる。


 だから、どうしたんだ?


「青春同好会として、やり残していることがあるわ!」


 今日も今日とて。

 食堂の端っこに集まる青春同好会。


「そういえば闇鍋は?」

「麻雀大会の賞品ですね~」

「引き分けだから、無効じゃ……」

「食べなさいよ、馬鹿」


 土浦。

 言いやがったな。


「土浦と一緒に食べるんだったら、引き受けます」

「ちょ、どうしてそうなんのよ!」


 土浦の野郎。

 俺のことを馬鹿と言いやがったからな。


 先輩三人の後ろで隠れてばかりじゃ、ダメなんだぜ。


「で、何するんですか?」

「花見よ!!!」


 バシン!

 テーブルを叩く。


「桜散ってますよね?」

「散ってる」

「散ってますね~」


 すでに四月も終わり。

 桜なんてあるはずもなかった。

 

「するったらするのよ!」

「何を言ってるんですか、うちのリーダーは」

「伊久留、しっかりしなさい!」

「リーダーの無茶振りは、今に始まったことじゃないのは分かるでしょ?」

「それはそうですけど」


 桜とか花見に最適な場所がないのに。

 どうやって花見をするというのだろう。

 

「昨日、久しぶりに絵本を見たの!」


 え、絵本?

 唐突の、絵本?


「陽碧学園の図書館に絵本があるのよ!」

「そうなんですか?」

「陽碧学園の図書館は、結構いろんなものが揃ってる。私もよく使う」

「へー。水無瀬先輩は、何読むんですか?」

「勉強とか、作戦とかに役立つもの」


 凄い参謀っぽいことしてる。


「……例えば?」

「歴史とか心理学とか、とりあえず色々」


 本当に参謀っぽいことしてる。

 火之浦先輩のために、か。


「新樹先輩も読むんですか?」

「私は借りるよりも、自分で買う方が多いですね~。読みたい本は図書館に置いてないんです」

「陽乃女はよくファッション雑誌読んでる」

「流石に学校にはありませんから~」


 確かに。

 ファッション雑誌は、学校においてないだろうな。

 勉学に関係ないし。


「土浦は……」


 端の席でスマホを弄り続けている土浦。


「ないな」

「ないってなによ! 私だって本を読むんだから!!!」

「漫画とかだろ?」

「ち、違うもん!」


 絶対そう。


「リーダーは、絵本とか結構好き」

「え、そうなんですか?」

「前、絵本で泣いてた」


 マジでこの人、高校二年生で絵本読むのか。

 しかも、泣くの?

 情緒が豊かすぎるな、リーダー。


「伊久留、今度絵本を沢山プレゼントするわ!」

「え?」

「とにかく!」


 バン、とテーブルを叩いて無理矢理話題を元に戻した。


「私は、花見がしたいの! やるわよ!」

「でもどうするの? 私でも陽之女でも、桜を咲かせることはできない」

「わ、私もできない!」


 ちなみに、俺も無理。


「土浦は無理だろ」

「あ、あんたいちいちうるさいわね!!!」

「作戦、考えているんでしょ?」

「そうよ! それを絵本を読んで思いついたの!」


 と、火之浦先輩は鞄から一冊の絵本を取り出した。


 桜の絵本、か。

 火之浦先輩の話から、予想はできていた。


 桜の花を咲かせる物語と言えばあれしかないだろう。


「花咲か爺さんよ!」

「ですよね」


 やっぱり、花咲か爺さんでした。

 

「灰を撒いても、現実では桜は咲かない」


 水無瀬先輩の鋭いツッコミ。


「それぐらい知ってるわ!」

「じゃあ、無理。今回ばかりは不可能」

「ふふふ。今回ばかりは、参謀もお手上げということね」


 青春同好会リーダー。

 自信満々な表情。


「――――!」


 火之浦先輩がちらちら、こちらを見てくる。

 何かを言いたげな感じだが。

 

 新樹先輩はそんな火之浦先輩を見ながら、楽しそうに笑っていた。

 水無瀬先輩は、そのまま口を閉じたまま。

 土浦は、目が点になっていた。


 はあ。

 今回は、俺が火之浦先輩の言葉を引き出してあげよう


「ええ、そんなふかのうなことをせいこうさせるさくせんがあるんですかー」

「ふふ、ふふふふ! そうよ、聞きなさい!!!」


 むふふ、と勝ち誇った表情で胸を張る火之浦先輩。

 可愛いな、このリーダー。


「花咲か爺さん作戦よ!」


 作戦名も可愛かった。


「枯れ木に花を咲かせるの!」

「どうやって?」

「これでね!」


 鞄の中から取り出してきたのは、大量の紙。

 紙の色は、全てピンクだった。


 ピンクだから、これは桜の花ということだろう。

 まあ、確かに、それっぽいことはできるだろうけど。

 それはあまりに面倒くさくないか?


「これで、桜を作るの!」


 枯れ木に花を咲かせましょう。

 人力で。

 紙を張り付けて、人工桜を作るのだ。


「え、これ本当にするんですか?」


 メンバー全員に顔を向ける。

 こんな途方もない作戦を実行する気なのか? 


「リーダーがするっていうなら、するしかない」

「これは、ちょっと嫌かも、ですけど~」


 リーダーがいうなら。

 二人はそんな感じだった。


「お姉ちゃん、頑張ろう!!!」


 土浦はまあ、いつも通り。


「枯れ木なんて、ないですよね?」

「絶対ない。冬に近づかないと」

「葉っぱを全部取ったら、どうなるんですかね~」

「風紀委員案件」

「となると、やっぱり無理では?」

「美琴ちゃんはできると思ってるみたいですけど~」

「リーダーは、ちょこちょこ爪が甘い。でも絶対諦めない。だから、どうにかしないといけない」

「最悪じゃないですか」


 俺と水無瀬先輩と新樹先輩。

 この三人で、火之浦先輩が考えてきた案をどうしようか作戦会議。

 その横で、煽てる土浦と煽てられる火之浦先輩。


 支える側も楽しいばかりではないのだと。

 俺は今日また一つ学んだ。


やはり春と言ったら、桜。

体育祭前には一度ぐらい、桜関連の話をしておかないとですよね。


と、火之浦先輩が言ってました。


二話ぐらいは、桜エピソード続きます!

ぜひブクマで、次話投稿をお待ちください!

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