表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で体育祭で勝ちを狙うことを誓います!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/81

34.再び、部屋に突撃されます!

 学生寮、マーズ。

 自室。

 

 とりあえず復習をやり始めてみた。


 なんかその気にならなくて漫画を読み始めた。


 ――ピンポーン。


 チャイムが鳴る。

 オートロックの方じゃない。

 俺の部屋の前にあるインターホンの音。


「はあ」


 んー、前もあったぞこの展開。

 思わず、ため息。


 これはこのまま居留守を貫くのがいいんじゃないか? 

 いや、もしかしたら別客かもしれない。

 一応、確認はするべきだろう。


「いーくーるー!!!」


 案の定だ。

 そっとインターホンの電源を切る。

 そして、また漫画を読みに戻った。


 前もそうなんだけど。

 なんであの人は陽碧学園のオートロックを難なく突破してくるんだろうか。


 なんてことを考えていると、またチャイムが鳴った。

 しかも次はドアドンドンもされた。

 ちょっとだけドアの奥から火之浦先輩の声が聞こえる気がする。


 これはまた騒ぎになる。

 火之浦先輩ならきっと俺が反応するまで粘るだろうし。

 仕方ない。

 学生寮の平和のためにしっかり対応するとしますか。


「はい」

「行くわよ!」

「いやどこにですか」


 何も連絡してないくせに。

 そんなノリで来られても困りますって。


「伊久留、暇でしょ!」

「いえ、全然暇じゃないですよ」


 漫画読みたいし。


「体育祭も近いし、運動しましょ!」

「ええ……?」

「体力つけると、色々と便利よ!」


 俺のこともお構いなしに。

 インターホン越しに元気な声で元気な提案をしてくる先輩。


 俺は気付く。

 これはきっと逃げることはできないのだろう、と。


「……準備するんで、待っててください」

「流石ね、伊久留!」


 インターホンの通話を切る。

 とりあえず動きやすい服装に着替える。


 そして、足早に玄関を出る。

 満面の笑みの火之浦先輩がいた。

 普通のジャージを着ている。

 なんか、意外だな。


「どうかした?」

「いや、よく見るジャージだなって」

「そこまでこだわりがないから!」


 これまた意外。

 火之浦先輩は形から入るタイプではないらしい。


 火之浦先輩の新たな一面を知れたところで、


「で、どうしてオートロックを突破できたんですか?」

「あれ、前言わなかった?」

「はぐらかされた気がします」

「そうだったかしら? でも、伊久留が知らないんだから、教えてあげないとね」


 ムフフと、どや顔火之浦先輩。


「私も、マーズ所属よ!」

「ああ」


 合点がいった。

 そりゃ、オートロックは簡単に突破できるわな。

 だって、同じ寮なんだから!


 とまあ、俺の部屋のインターホンを鳴らせた理由は分かった。

 が、ここでまた別の疑問。


「あれ、俺の部屋番号教えましたっけ?」

「……うーん」

「……?」

「教えたわ!」

「今の間はなんなんですか!」

「さあ、外へ行くわよ!」


 俺の疑問の答えを火之浦先輩は語らない。

 俺の手を握り、無理矢理外へと引っ張っていく。


 火之浦先輩に部屋番号バレていることはどうでもいいけれど。

 その手段はできればあまり使わないでほしいと思う。

 多分勝手に俺のタブレットを見たんだろうな。

 はあ。


 俺と先輩はエレベーターに乗る。


「先輩たちは運動得意なんですか?」

「私と陽之女は得意ね。それぞれ得意分野は違うけど。凍里と萌揺は不得意。二人ともインドアだから、体力がないの。萌揺に関しては運動神経は悪くない。凍里は、運動系全般不得意っぽいわ」

「じゃあ、スポーツで戦ったら水無瀬先輩か土浦が負けるんですかね?」

「そうでもないわ! 凍里は運動できないけど、なんでか負けないのよね。よく負けるのはやっぱり萌揺ね! スポーツ不得意でかつ真面目だからね」

「真面目、ですか?」

「真面目よ、萌揺はね! からかいがあるもの!」


 なるほど。

 真面目というか、純粋というやつなのだろうか。


 からかいがあるというのは、そういうこと。

 何でもかんでも素直に反応する。

 それが、他三人にとっては面白いネタになるのだろう。


 青春同好会筆頭火之浦先輩は面白いこと好き。

 新樹先輩も火之浦先輩と似たような感性を持っている。

 一見違うように思える水無瀬先輩なのだが。

 火之浦先輩に付いていっているのだから同じだ。


 エレベーターは一階へ。

 俺と先輩はエントランスから外へと出る。


 そしてまた、俺の前に問題児が一人。


「どうして、また、火之浦美琴が、一緒に、いるの!!!」


 初衣ねえだった。

 陽碧学園生徒会長さん。

 こちらを指さしながらワナワナと震えている。


 ああ。

 とりあえず。

 俺にため息を吐く暇をください。

火之浦美琴と鐘撞初衣。

物語のメインヒロインはやはり、主人公の壁となるのか。


ブクマ、ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ