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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で新入生を勧誘することを誓います!

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31/82

31.開始! VS 生徒会です! ③

 俺は火之浦先輩の後ろから試合を観戦する。


「ねえ、なんであんたが美琴お姉ちゃんの後ろにいるのよ。どっかに行きなさいよ」

「さて、どんなイカサマが……」


 まずは卓上の牌を四人でかき混ぜ、山を作っていく。

 初衣ねえ以外の三人は手慣れた手つきで、山を作っていく。


 今のところ、イカサマは見られない。


「あ、もうしてますね~」

「まじっすか」


 プレイヤーたちに聞こえないように新樹先輩が解説をしてくれる。


「今美琴ちゃんと凍里ちゃんで協力して、有利な山を作っていますね」

「有利な山ですか?」

「そうですよ~。ここからサイコロで順番を決めるんですけど、そこで手筈通りにいけば二人の手札は最初から有利なものになるはずです~」

「へえ」


 と、新樹先輩の言う通り、火之浦先輩がサイコロを振る。


 サイコロを手の中で転がす火之浦先輩。

 もうなんかすんごいどや顔をしていた。


「ちなみに、美琴ちゃんが練習してたのはサイコロでしたね~」

「え、そこ!?」


 もっとあるだろ。

 そこは牌の扱いだろ。

 

 火之浦先輩がサイコロを投げる。

 綺麗に雀卓の中に納まったが。


「あら? サイコロの目で凄く一喜一憂するのね、青春同好会リーダーさん?」


 サイコロの出目を見て火之浦先輩の表情が一気に曇る。

 くすりと笑う小夜鳴先輩。

 どうやら火之浦先輩の目論見は失敗したみたいだ。


「なにしたの?」


 水無瀬先輩が小夜鳴先輩に詰問する。

 火之浦先輩の失敗は、水無瀬先輩の予想外の出来事らしい。

 

 どうやら小夜鳴先輩が何かをした、と疑っているみたいだ。


「それを教えてもいいけど、逆にあなた達がやろうとしたことも教えて頂戴ね? 麻雀なんだし、不正はなしでしょう?」

「…………なんでもない」

「ええ、賢明ね」


 もう水無瀬先輩と小夜鳴先輩がバチバチだった。


 火之浦先輩はサイコロを失敗したせいで顔面蒼白。

 初衣ねえはきょとんとしている。

 小夜鳴先輩はこれがもうイカサマありだってことを認識しているんだろう。


 「さあ、やりましょうか」


 まずは小夜鳴先輩が親。

 時計回りに、火之浦先輩、水無瀬先輩、初衣ねえとなる。

 順々に山から牌を取って、自分の手札から一つ牌を捨てる。


 見た感じ、火之浦先輩の手札はいい感じだ。

 ネット麻雀程度の知識だが。


「新樹先輩、大丈夫ですかね?」


 新樹先輩に今の状況を聞いてみようとする。


「あ、ごめんなさい。またあとで話を聞きますね~」


 なんか断られてしまった。

 雀卓の方に集中しているみたいだ。


 というわけで、土浦へ話しかけた。


「なんか最後の最後、どうしようもない感じで話しかけるのやめてくれる?」

「いや、今の状況わかんないし、黙ってるのも違うだろ?」

「いや、私もわかんないし、黙ってみてなさいよ馬鹿なの?」

「話しかけるたびに何かしら言われている気がする……」

「そういうもんよ、あんたはね。私、あんたがこの同好会に入るのまだ認めてないから」

「とりあえず聞くんだが、俺が認められるためにはどうすれば?」

「一生無理」

「そういうと思ったよ」


 なんてバカみたいな会話をしていた中。

 勝負は結構進んでいるようだった。


 サッと火之浦先輩の手牌を確認する。

 あれ? いつの間にかあり得ない手牌になっている。


 国士無双。

 誰でも言葉だけは聞いたことがあるであるやつ。

 めちゃくちゃ点数の高い役。

 いわゆる、役満だ。


 あと二牌そろえば、国士無双が完成してしまう状態。


「またやったのか」


 イカサマ。

 俺が土浦とうだうだ話しているときにしたのだろうが。

 ちょっと火之浦先輩を注意して見ることとした。


「……ええ」


 火之浦先輩の左手。

 水無瀬先輩の右手。

 二つが、机の下で一瞬交錯した。


 恐らく。

 その瞬間、牌の交換が行われている。


 テーブル下での手牌交換。

 バレないようにやるのはかなり難しい、とは思う。

 あの一瞬で交換できているのは、流石の連携というかなんというか。


 でも、少しだけ疑問があった。

 どの牌を交換するべきか。

 その最適解を見つけるためには、常に盤面を把握する必要がある。


 二人は、どうやってそういう情報交換をしてるんだ?


「……分からん」


 よく分からないまま、時間は進む。

 もうすぐ最初の順が終わりそうだった。


 火之浦先輩の手牌は、国士無双十三面待ち。

 どの牌が来てもすぐに上がることのできる、最強の待ち状態。


 そして、とうとうその時が訪れた。

 小夜鳴先輩が、「北」の牌を手牌から捨てる。


「ロン、国士無双よ!!!!」

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