30.準備! VS 生徒会です! ②
麻雀用具は用意された。
生徒会権限で。
麻雀同好会の人達。
何が何だか分からない顔をしていた。
「さあ、生徒会からは誰を出すの?」
「私と、るるちゃんよ!」
「いやいや、保健委員長じゃん」
「ども~」
生徒会と関係ない人来ちゃったよ。
いや、委員長だから、ちょっとは関係あるけれどもよ!
二年生の教室を借りて、麻雀決闘が始まろうとしていた。
窓や扉を封鎖している。
ギャラリーが集まると、面倒くさいから。
この部屋の中には、青春同好会と生徒会のメンバー。
そして、委員長三人。
「あれ、土浦先輩と岡本先輩は?」
「あの二人は、生徒会の仕事をしてもらっています」
初衣ねえのしわ寄せが、二人に……。
「はあ、それはなんか申し訳ありません」
「実のところ、生徒会の仕事の多くを今まで会長自身がされていたので、これに関してはさほど問題ではないんです。日頃の感謝の気持ち、ですね」
へえ。
初衣ねえ、働き者なんだな。
「そうですか。それならいいんですけど。でも、なんで委員長達がいるんですか?」
俺の疑問に、扉付近で門番をしている武見先輩が答える。
「風紀委員がこの辺の見回りを強化してる。委員長の俺がいた方が、事の重大さが周知されやすいだろ? 生徒会と青春同好会の戦いなんて、全生徒が見たいと思ってるだろうし」
そんな名物行事みたいなことになるんすか。
「わ、私はこ、広報委員長としてこの戦いを収めたいと思っていますから!」
テレビでよく見るカメラを設置している芽出先輩。
小さい体で、重そうな機材をテキパキ設置している。
「小夜鳴先輩は、今回委員長としてではないんですね」
「ふふ。それもそうね。でも、私彼女と戦うの好きだからさ」
小夜鳴先輩が、水無瀬先輩の方を指差した。
その先の水無瀬先輩。
無表情なのに殺気立っている。
何か酷いことでもされたんですか?
ってぐらい恨みのこもった表情をしている。
小夜鳴先輩が来たのは、麻雀に参加するためか。
「じゃあ、こっちはリーダーと私がやるから」
「ようやくやれるのね、楽しみ!」
「陽乃女、あとはよろしく」
「はい~」
「ん?」
水無瀬先輩は新樹先輩の肩を叩いた。
何か考えていることでもあるのか。
「土浦、知ってる?」
「知るわけないじゃない!」
怒られた。
なぜ。
「初衣ねえ、麻雀のルール知ってるの?」
「大体はね。でも、勝ち方は知らないから、そこはるるに任せてる」
「あ、そう。それなら、うん、頑張って」
「うん。いっ君、ありがとう」
青春同好会の敵である。
が、その前にお世話になり続けてる幼馴染だ。
頑張ってほしいという気持ちは、初衣ねえに捧げるとしよう。
なぜか。
それは、生徒会には最高に不利な点が存在する。
「新樹先輩……?」
「なんですか~?」
新樹先輩に近づく。
そして、誰にも聞こえないぐらいの声量で質問をする。
「初衣……生徒会側はこれがイカサマ麻雀だってしってるんですか?」
「ん~、なんのことか分かりませんね~」
ひどい奴らだ。
この異質の麻雀バトル。
初衣ねえは、性格的に絶対に制すことができない。
本人の言う通り。
ここは小夜鳴先輩に頼るしかないのだ。
なんか色々腹黒そうだし。
小夜鳴先輩ならやってくれるはず。
【麻雀】
14枚の牌で手札を作り、役を作ってアガリを目指す。
役は多ければ多いほどいいし、点数の高い役がいい。
もちろん高い点数を取るためには、運と技術と経験が必要になってくる。
どの牌を捨てて、最速で最高の手札を作り上げるにはどうすればいいのか。
これが考えるポイントになっている。
「というのが、麻雀の大まかな流れですよ~」
「さっすが、陽乃女お姉ちゃん!」
新樹先輩による、土浦への麻雀講座だ。
普通の麻雀の説明はそうなるだろう。
だが、今回青春同好会が行うのはイカサマ麻雀。
とにかく何でもあり。
青春同好会の連携イカサマプレー。
小夜鳴先輩の頭脳を超えるかどうかが勝負の鍵。
初衣ねえ?
とりあえず頑張ってくれればそれでいい。
「じゃあ、始めるわね!」
(イカサマ)麻雀が始まった。




