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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で新入生を勧誘することを誓います!

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27.反省室で青春発生中です!

 そして、反省室。


「ねえ、御形君、知ってる? 入学式が昨日だってこと」

「ええ、まあ、知ってますよ」

「君。反省室、歴代最速記録らしいよ」

「……不名誉な称号、ですね」

「これで学園内でも人気者でしょうね」

「はあ」

「さ、悩む暇があったらテストに集中しなさい。明日からは忙しいわよ、結花里ちゃんが張り切ってたわ。絶対御形君にインタビューするんだって。楽しみね」


 そういって、小夜鳴先輩は立ち上がる。


「見飽きたから、帰るわ」

「そんな面白い光景でもないでしょ。ただテスト解いてただけなのに」

「そうでもないわ。個人的な話だから。そうそう、美琴ちゃん?」

「なによ!」

「凍里ちゃんに、よろしく伝えといてね」

「いや!」

「あら、どうして?」

「凍里、あなたのこと嫌いだもの! すぐ不機嫌になるんだから」

「それは嬉しいことね、私は凍里ちゃん好きだし」

「嬉しいことなんですか?」

「凍里ちゃんがなんで私のことが嫌いなのか、予想するのは簡単だから」


 それじゃあね、と小夜鳴先輩は反省室を後にする。

 あの先輩は何しに来たんだろうか?

 

 すると、次に小柄の女子生徒がやってくる。

 その後ろから二人、生徒がついてきていた。

 カメラとかマイクとか持っているみたいだけど。


「あ、いた、御形さん」

「え、と、確か、芽出先輩でしたっけ?」

「はい。今回は広報委員として、御形君にお会いしに来ました」


 そういえばインタビューがしたい、なんて聞いた気がするが。


 小夜鳴先輩、明日とか言ってたのに。

 すぐ来ちゃったよ。


「後ろ二人は気にしないでいただけると。インタビュー内容を残すためにいるだけなので……」

「え、ああ、はい。それはいいんですけど」

「私にインタビュー!?」

「い、いやいやいや、火之浦さんはもう十分ですので……」

「火之浦先輩、嫌われてます?」

「べ、べべべべべべべべべつに、きらってないわけではないんだとはおもうんですけどあああ」


 すげえ、キョドってる。


「……謝ったほうがいいですって」

「私は広報委員のコンテンツ好きよ!」


 そういうことを聞いたんじゃないんだけどな。

 そういえば、入学式の指揮を執っていたのは広報委員だったけ。

 メディア関係を牛耳っている。

 なんて火之浦先輩からすれば面白いことの宝庫みたいなもんだろうし。


 今まで何度も何度も悪さをしてきたんだろうな。

 可哀そうに。

 この反応も仕方ないな。


「でも、俺もインタビュー嫌ですよ」

「どうぇ!? な、なななななんでですか!?」

「そんな驚かれることなんですか……」

「い、インタビュー断る人なんてそうそういないもんですから」

「はあ、ちなみに今回のインタビューする理由って」

「入学式を邪魔した青春同好会の新鋭にして、歴代最速反省室行きを記録した人にインタビューしない人なんていないでしょう!」


 フンス、と鼻息を荒くする芽出先輩だった。


「いやですよ、そんな不名誉なインタビュー」

「え、どうしてですか?」

「だって、変に目立つじゃないですか」

「はい?」


 芽出先輩が首を傾げる。


 何を言っているんだろう、この人。

 そんな顔でこっちを向いてくるのやめてほしいんだが。


「変に目立つからって理由おかしくないですよね?」

「え、いや、その、今更じゃないですか?」


 正論パンチ。


「……く、考えないようにしてたのに!!」

「生徒会長さんからも名指しで呼ばれていたし、もうこの学園で御形君の名前を知らない人の方が少ないんじゃないですかね?」

「放送で名指しはともかく、俺が青春同好会に入ったなんて情報どこから漏れたんだ……」


 スッと、芽出先輩は火之浦先輩を指差した。


「火之浦先輩、何かしたんですか?」

「今日の朝、タブレットの掲示板に大々的に宣伝しておいたの!」

「なぜえ!?」

「誰でも歓迎って、意思表示よ!」

「今タブレット没収されてんの腹立つなあ!!」


 確認しとけばよかった!

 この先輩、いったいどんな宣伝したんだろうな! 

 めっちゃ気になる!!


「誰が見ても、青春同好会に入りたくなるような感じに仕上げたから!」

「隠れることもうできないじゃん……」

「あ、なんかインタビュー記事もあります!!」

「そんな記憶はねええ!!!」

「しかも、インタビュー動画付き!」

「撮影された記憶もないって!!」

「こういう時、萌揺が役に立つのよね!」


 あの野郎。


 いや、落ち着け。

 発案者は隣の火之浦先輩か。

 なら、関係ないな。



 いや、協力した時点で同罪だな。

 あとで、激辛ラーメンでも食わせてやるか。


「うぅ、こんなもの先出しされたら広報委員会の面目が……」

「そこまで思いつめる必要はないかと思うんですけど」

「で、出直してきますね……」

「あ、はい」

「さようなら……」


 なんなんだ、この広報委員長は。

 芽出先輩はトボトボ歩いていった。

 本当に可哀そうな人だった。


「できたわ!」

「何がです?」

「多分これで1000点突破だわ」


 と、火之浦先輩は後ろの方にテスト用紙を持って行った。


「どうでした?」

「10枚100点で1000点だったわ!」

「えぇ……なんでそんなに点数を」

「勉強も頑張らないと、青春じゃないから!」

「…………」


 俺の机を見たら、全部解いた用紙が二枚、半分ぐらい埋まっているのが一枚だった。


「伊久留は委員長達と話してたからしょうがないわ!」

「にしても早すぎですって」


 始まってから、30分も経過していないけど。


 どんだけのスピードで解き続けていたんだ?


「たまに難しい問題もあるけど、ほとんど基礎問題だったし、伊久留でも余裕だと思うわ!」

「…………」


 俺の机。

 全部解いた用紙が二枚、半分ぐらい埋まっているのが一枚。


 て、いいんだって、そういうのは!


「じゃあ、火之浦先輩は帰宅ですね、また明日……」


 俺が帰られるのは、21時ぐらい?


 はあ、仕方ないか。

 復習するつもりで頑張ろう。


「何を言っているの?」

「へ?」

「分からないところは、教えてあげるわ! どこが分からないの?」

「帰らないんですか?」

「帰るより、一緒に勉強した方が楽しいわよ!」


 ……なんだよそれ。


 ドキッとするじゃん。


「ほら、教えてあげるから、貸し一つね!」


 貸し一つ?


「火之浦先輩から聞きたくなかった言葉ですけど」

「というか、伊久留、全然できてないじゃない。萌揺レベルね!」

「それも聞きたくなかったですね!!」


 俺の机に、火之浦先輩の机を引っ付ける。

 俺の椅子の隣に、火之浦先輩の椅子が並ぶ。

 火之浦先輩の綺麗な解説が始まった。


 なんだろうな、これ。


 ちょっといいな。


 反省室じゃなければ、もっと良かったんだけど。


 それでも、火之浦先輩と並んで勉強をするこの雰囲気。

 嫌いじゃない。


 これが青春。

 

 青春って、いいなあ。

僕も女の子と、勉強を教えあってみたかった。


そんな青春を送りたい方々、あなたの願望をコメントで教えてください!

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