25.結論から先に話しますが!
「今年の反省室は、『テスト1000点取るまで帰れません』だ」
風紀委員長武見先輩。
怖すぎるぐらい真面目な表情で俺達の前に立つ。
反省室は校舎の一室を使っているわけではない。
少し外れた場所にある古びた小屋で行われるようだ。
収容人数は10人ぐらい。
「あの、1000点満点のテストということですか?」
「いや、違う」
教卓に置かれていた束になったプリント。
武見先輩がその一枚を俺の机に置く。
「テストの答案自体は百点満点だ」
「ほお?」
「合計して千点を取るだけだ。最速で十回テストを受ければ終わるな」
「いやまあ単純計算そうですけど」
「じゃ、頑張れよ。解答方法はマークシートだから、終わり次第扉のとこにある機械に通せ。合計千点取れれば自動で扉が開く。じゃあな」
「え、武見先輩は?」
「風紀委員長はいろいろと忙しいんだ。トイレとか飲み物とかは、扉の赤いボタンを押せば風紀員会の誰かと繋がる。そこで頼め」
「た、武見先輩、怖いっす」
「当たり前だ。今は風紀委員長武見空だ。お前が会長と仲がいいなんて、関係ないからな」
「で、ですよね~」
「お前もだ、火之浦。そろそろお前の顔も見飽きたぞ」
「じゃあ、次はもう少し別のメイクをしてくるわ!」
「……反省室を閉めるのは21時。それまでに終わらなかったらまた明日だからな」
武見先輩は火之浦先輩を華麗にスルー。
反省室をでていった。
「ああ、本当に反省室行きとは……」
「ここも見飽きたわね!」
「それを堂々と言える、火之浦パイセンぱねえっすわ」
「さあ、さっさと終わらせるわよ!」
と、火之浦先輩は自分の問題用紙を翻す。
そして、パッパとマークシートに答えを記入していく。
俺も慌てて解答を始めた。
が、二問目で躓く。
量だけで内容は簡単なものばかりだと思っていたが。
普通に模試とかで出てくるような問題が沢山あった。
難しい。
半分も点数とれるか怪しい。
隣の火之浦先輩は、軽々と問題を解き続けているが。
「あら、シャーペン止まってるわよ?」
「……小夜鳴先輩は武見先輩と一緒に出なくていいんですか、ここから?」
俺の隣に座る小夜鳴先輩は、楽しそうであった。
「私はいいのよ。風紀委員と違って、保健委員は忙しくないの。というか、風紀委員が異常なのよ、仕事量がね。どっかの誰かさん達のせいでね」
「も、申し訳ありません……」
「できたわ!」
「流石、優秀ね」
テスト一枚目を完了したらしい火之浦先輩。
反省室の扉へ提出しに行った。
満点だった。
すげえな、おい。
「伊久留、早く帰りましょう!」
「いや、火之浦先輩、あと900点必要ですよ」
「伊久留、まだ半分も解けてないじゃない!」
「ぬ、これからですから」
「結構間違えてるわよ?」
「……質より量ですから」
解答用紙は半分程度しか埋まっていない。
結構間違えがあるみたいだし。
質より量とは言ったけれども。
このままだったら今日中に終わるかどうか。
でもあれだ。
マークシート適当に埋めていけば、どうだ?
少しずつ進めるじゃないか?
「適当にマークを埋めていったら、何回かあとにバレるから気をつけてね」
「え、えぇ……なんでそこまでガチなんですか」
「反省じゃないでしょ、本気じゃなければ」
「はあ、なんで反省室なんかに」
「できたわ!」
そもそも、なぜ俺は反省室にいるのか。
その話を、始めよう。
反省室の反省内容は、各年の生徒会が風紀委員とともに考えます。
陽碧学園史上、一番最悪とされた反省内容は、
「休日、朝から晩まで瞑想を続ける」です。
その年の反省室行きは、歴代で一番少ないです。
やってみたい方、いる?
感想、ブクマ、お待ちしております。




