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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: KOりおん
我々青春同好会は、全力で新入生を勧誘することを誓います!
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2.クラスメートと出会います!

 陽碧学園への入学が決まると、学園側から生徒専用のタブレットが配られる。

 そのタブレットには、陽碧学園で学生生活を送るために必要なもの全てが入っている。

 授業で使う教材や学内情報の全てが集まる掲示板、その他諸々必要なデータ全てだ。

 しかも、私用にはある程度使うことができる。

 もちろん違法サイトなどの接続が確認されたら即警告される。


 そのタブレットの中身を確認する。

 掲示板には教師や生徒会からのお知らせ。

 掲示板には多種多様なスレッドが並び、生徒達が各々情報交換を行っているようだ。

 授業のフォルダに移動すれば、そこには今後行う授業の動画データが入っている。

 ザッと見たところ、高校一年間分しか入っていなかった。

 学年が上がったタイミングで、データの入れ替えでもあるのだろうか。


 タブレットをいじっているのは、入学式までまだ時間が残っているからだ。

 校舎の玄関にクラス分けの張り紙が張り出されていた。

 それを確認し、自分のクラスへ移動する。

 ちなみにB組。

 陽碧学園の授業体制の性質上、そこまでクラス分けに意味があるわけではない。

 授業の時間になったら個人で学習を進め、ミニテストを受けていく。

 このクラス分けは単純に同学年同士の仲を深めるため、と初衣ねえは言っていた。

 今後同学年で何か行事を行う時などを考えると、これはこれでよいのかもしれない。


 入学式までの時間はまだあるが、教室には半分以上の新入生が集まっていた。

 地元からここに進学した人はいないため、見知った間柄の人はいない。

 それはクラスメートのほとんどが同じようだった。

 話している人達はちょっとぎこちなく、椅子に座って周りを観察しながらモジモジしている人もいる。かくいう俺もタブレットに目を通しているが、新入生が集うこの教室の独特な雰囲気に飲まれてしまっている。

 初衣ねえ曰く、友達作りは大切、らしいので、頑張りたいところではあるが。


「なあ」


 と、前の席の男子生徒が話しかけてくる。


「タブレットで、何見てんだ?」

「色んなものが見れるから、適当に見てるだけだ」

「へえ、アダルトサイトでも見てんのかと思ったぜ」

「…………」

「て、おいおい、無視すんなって! 冗談じゃん!」

「一応通報システムというのもあるぞ。風紀委員がすぐに駆けつけてくれるらしい」

「や、やめろって!」

「冗談」

「……性格悪いだろ、お前。まあ、いいや。俺の名前は『舘向(たちむかい) (ふう)』。地元の友達がいなくてよ、心配だったんだわ。よろしくな」

「こちらこそ。御形伊久留。よろしく」

「おお、なんか神々しい名前だな」

「よく言われるよ」


 御形なんて身に余る大それた苗字を初めて聞く人は、大体舘向の感想と似たようなものを抱く。日本古来の由緒正しき家系の末裔なのか、なんてキラキラした目で聞いてくる奴らがほとんど。

 実際血縁は由緒正しくもないただの一般家庭。

 一応家系図なのも探してみたが、特筆すべきところはなかった。


「なんか式神使えそうな名前だな」 

「使えるぞ。このタブレットの通報アプリを使えばな」

「だから冗談だって! ったくよ、初対面でも容赦ないな」

「そっくりそのまま、舘向に返す」

「だよなぁ、アハハ! 御形は面白いやつだな~」

「ねえねえ、私も混ぜてよ」


 お次は隣の席に座った女子生徒。


「私、『水無瀬(みなせ) 涼乜(すずめ)』。君たちは?」

「御形伊久留」

「舘向風。よろしくな、涼乜ちゃん」

「ははは。私を呼ぶ時は、み・な・せでよろしくな。舘向」

「……こっわ」


 名前の通り、涼しい風をその視線から感じ取ってしまった。

 身長は低いほうだが、なんというか活発と冷静が合わさっているというか、なんというか読めない雰囲気というか、ちょっと近寄りがたい感じがする。なぜかはよくわからないけど。


「ほらほら、可愛い子と最初に仲良くなれてよかったじゃーん」

「え、自分で言っちゃうんだな、お前」

「み・な・せ、な。聞けやオラ」

「これでも柔道やってるから、喧嘩には自信があるぜ!!」

「へえ、か弱い女の子にすーぐ手をあげちゃうタイプなんだぁ。しかも武芸を修めた人が喧嘩なんて言葉使っちゃっていいんだぁ。そんなんで柔道やってるなんて、言ってもいいのかなぁ!? 恥ずかしくないの、お前ぇ!!」

「おい、御形。こいつとは仲良くすんじゃねーぞ!」

「……二人だけで盛り上がるなよ」

「御形君は私をお姫様扱いしてね」

「だる」

「よし、通報通報」

「「 やめろよ!! 」」


 鐘撞初衣という陽碧学園の生徒会長となるほどの人間性と品行方正な生活を送る存在と今まで多く接してきたからか、目の前で暴れまわる二人組の扱いに少々戸惑ってしまった。

 舘向風と水無瀬涼乜、か。


 まあ、退屈はしなさそうで安心した。

陽碧学園のクラスは、三年間全て同じメンバーになります。

授業のほとんどはタブレットを用いた自習という形になり、クラスで行う行事も基本的にはそこまでありません。ですが、顔を合わせる機会が多いため、三年目にはクラス内の仲は大変良くなります。

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