14.一方その頃、初衣ねえは?
伊久留と火之浦が寮を出て行った後のお話。
「ねえ! 大変なの!」
マーズのとある一室、その前で泣き叫ぶ女子生徒が一人。
女子生徒は通話をしながら、部屋の中を睨みつけていた。
『どうされましたか、会長?』
生徒会長、鐘撞初衣。
陽碧学園の中で最も有名で最も優秀で最も敬愛される生徒。
だが、憤怒の表情を浮かべている。
様子を見に来た学生達も、怯えてササっと部屋に戻っていく。
「いっ君がいないの!」
『……会長、あの後御形君の部屋に向かったのですか?』
「どうしよう! 誰かに拉致されたのかも!」
『……御形君の置かれている状況を考えれば、犯人の目星は尽きますが。外に何か買い出しにいったとかではないのでしょうか?』
「スンスン、いやこれは他の女の匂いだ!!」
『会長……』
電話相手の大導寺掩。
泣きわめく会長の言葉に少しだけ引いてしまっていた。
『しかし、時間も時間ですので、風紀委員や生徒会などはもう出せませんよ?』
「なんでなのよ!」
『一応学校のため、ですから。私利私欲に使うのはあまり……』
「……もう嫌い!」
勢いのまま、通話を終わらせてしまった。
頭を抱えて、部屋の前を一回二回、気が済むまで回りながら考えを巡らせる。
「んんんんんん!!!!! もう、今日は絶対一緒にデートしようって思っていたのにぃぃぃいいいいい!!!!!」
陽碧学園生徒会長の声が、学生寮『マーズ』に響き渡る。
後日、生徒会の掲示板で鐘撞初衣が寮の廊下で泣き崩れる動画が拡散されたのは、また別の話。
初衣ねえ可愛いと思った方!
はーーーい!!!
感想などで、こんな小話欲しいみたいなのあれば教えてください!