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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で新入生を勧誘することを誓います!
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11.青春同好会 VS 生徒会一行 ①

 鐘撞初衣は生徒会長。

 学園全体を支配できる立場にある。


 しかし、鐘撞初衣でも解決できない問題がある。

 そんな途方もない問題に、鐘撞初衣率いる生徒会は手を焼いていた。


 青春同好会。

 会議で必ず言葉が挙がるほどの問題児集団だ。


「コーヒーをお持ちしました」


 ファミレスの店員が、どこか怯えているようだった。

 

 それも仕方がない。

 だって、この卓の雰囲気が、とてもピリピリしているからだ。

 その原因は、主に初衣ねえ。

 目の前の大問題児達を睨みつけている。


 その大問題児達のリーダー、火之浦美琴。

 特に気にせず、ジュースを飲んでいた。


「また会いましたね、青春同好会の皆さん。今日は生徒会室を真っ白にしていただきありがとうございます」


 すんごい丁寧な口調なの、本当に怖いって!


「お礼なんて結構よ!」

「リーダー、皮肉言われてんの気づいてる?」

「……? どういうこと?」

「いや、気にしないで」


 それに対して青春同好会リーダー火之浦先輩。

 素直に言葉通りに受け取ったみたいだった。


 屈託のない火之浦先輩の笑顔。

 ピキッと一瞬顔を歪ませる初衣ねえ。

 もう一瞬即発だ。


「で、どうしていっくんはそっち側にいるのかな?」

「……なんででしょう」


 生徒会一同がファミレスに来たのは、まったくの偶然であるらしい。


 生徒会室を真っ白にされた挙句、待たせていた自分の幼馴染を連れ去られた初衣ねえが生徒会室で喚き散らし、他のメンバーをドン引きさせた模様。


 その後なんとか宥めて、青春同好会への対処を考える一環でこのファミレスにやってきた。

 そこで俺達と鉢合わせ、という状況。


「本当にあなた達は……」

「どうしてそこまで困った顔をしているのかしら?」

「ねえ、この子、アホ?」

「純粋ってだけ」


「御形君はすでに青春同好会に入会し、悪の一端を背負っているという認識でよろしいでしょうか?」


 初衣ねえの隣。

 大導寺先輩が俺を睨みながら、怖いことを告げる。


「大導寺先輩、事実無根です」

「青春同好会の席に、しかもリーダーのお方と座っているのがその証拠では?」

「いえ、心はここにあらず、みたいな?」


 とりあえず、乾いた笑いで誤魔化そう。


「ほら、萌揺。あたいの近くに来なって」

「お、お姉ちゃんやめて話してお願い!」

「うらうら~、あんな奴らに毒されちゃあかんでしょうよー」

「……カエリタイ」

「可愛い妹め~、このこの~」

「いや~~~~」


 俺が詰められている一方、土浦姉妹は仲良さそうにしている。


 岡本先輩はスマホを弄りながら、とても帰りたそうにしていた。

 ちょっと可哀そう。


「ほら、いっくんはこっち!!!」


 だが、一番に可哀そうなのは俺なのだ。


 火之浦先輩と水無瀬先輩、初衣ねえと大導寺先輩。

 二対二の口論が繰り広げられている。


 議題は「御形伊久留は青春同好会のメンバーか否か」だ。

 意味わからん議題。


 とりあえず議題の中心ではあるけれども。

 口論の中心ではないので俺は別の気になるところへ目を向けた。


「新樹先輩?」

「ん、なんですか~?」


 隣で優雅に紅茶を飲んでいた新樹先輩に質問する。


「隣の席の三人は、いったい誰ですか? 生徒会と関係が?」

「ああ、入学式で説明なかったですもんね」


 誰かさんたちのせいでな。


「学園生活を送るうえでの障害、三人組をご紹介しましょう~」


 ビクッと、名前を知らない三人が反応する。


「おい、新樹。その紹介のままやるつもりか?」


 三人の中で、唯一の男子生徒が声をあげる。


「彼は、武見空(たけみそら)。天下の風紀委員を束ねる風紀委員長で~す。武道に長けているので、大抵の人は彼に負けてしまいます」

「ふん。嫌味な自己紹介、どうもありがとう」

「ち・な・み・に、私には敵いませ~ん!!」


 非常扉を蹴り飛ばす人には誰も勝てないです。


「そして、彼女は陽碧学園のメディア統括、広報委員長の芽出結花里(めでゆかり)。悪さしたら、彼女が根も葉もないとんでもない噂を流すので要注意ですね~」

「そ、そそ、そそそんなことしません!!!」


 水無瀬先輩よりも小柄な芽出先輩は慌てて新樹先輩の言葉を否定する。

 凄い弱気そうな人だった。

 必死に自分の声をあげて新樹先輩に応戦していたけど。

 声がそこまで大きくないので反抗すらできていなかった。


「結花里。落ち着きなさい。新樹さんに、そこまで脅威はないから。ああいってはいますが、自分から動くことはそこまでありません。気にせず、落ち着いて」


 と、もう一人の長身の女子生徒。

 彼女も優雅にコーヒーを啜りながら、芽出先輩に話しかけていた。


「なんか、すごい落ち着いている人が……」

「ん~、私はあの人苦手なのでパスしま~す」

「あの人は、小夜鳴(さよなき)るる」


 と、急に水無瀬先輩が会話に割り込んでくる。


「保健委員長。めんどくさい先輩」

「あら、凍里さん? いらっしゃったのね」

「最初からいる」

「背が低くて、ね。存在感もなかったし」

「……言うね」

「別に喧嘩をしに来たわけじゃないんだから、そんな鼻息を荒げないで? せっかくの可愛い顔が台無しよ?」


 背筋が凍った。

 というか、この二人を取り巻く雰囲気が凍った。


 こちらもまた、一瞬即発の雰囲気で。

 躊躇いもなく、二人の口論が始まった。

生徒会と委員会は同じ組織というわけではありません。

あくまで生徒会>委員会。

委員会についての決議は最終的に生徒会へと回ってきます。


三人の委員長、誰がお好きでしょうか?

感想などで教えていただけると嬉しいです!

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