表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で雨にも風にも負けないことを誓います!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/105

100.七夕祭りに向けて! ①

 七夕祭り。


 陽碧学園を中心として開かれる祭り。


 メインステージでの催し。

 数多くの屋台。

 花火や盆踊り。

 

 誰もが思い描く夏祭りを、陽碧学園主導で開催する。


「概要はこんな感じだけど」

「ありがとう、初衣ねえ」


 生徒会室。

 六時過ぎで、校舎内に人はほとんどいない。

 普段は許可を得ないと校舎にいてはいけない時間。

 

「急に電話が来て、七夕祭りについて詳しく聞きたいって……。久しぶりにいっ君から電話が来たと思って、ワクワクしたのに……」

「え、と。それは、なんだろう。ごめん」

「まあ、いっ君の声を電話越しに聞けたのは僥倖だったし、そこはいいんだ」


 初衣ねえの呆れ顔。

 視線は俺ではなく、その隣。


「じゃあ、私達は何を手伝えばいいの!」

「なんで火之浦美琴がいんのよ!!」


 ごもっともなツッコミ。

 

 俺が初衣ねえを手伝うことが決まったことを伝えた結果。

 火之浦先輩が俺の手を取って、生徒会室へ突撃しに行った。

 傘を持っていることを無視して。

 おかげでびしょ濡れだった。


「なんで! 火之浦美琴が!」

「ああ、わかったわかったから」

「七夕祭り、面白そうね! どんなイベントがあるの!」

「もう! 勝手に進めないで!」


 ビシビシ、初衣ねえがテーブルを叩く。

 隣の大導寺先輩は特に気にする様子もない。

 優雅にコーヒーを飲んでいる。


「岡本君、資料を渡してあげなさい」

「……いいんですか?」

「話をするぐらいは問題ないでしょう」

「なら」


 スッと岡本先輩が資料を渡してくる。

 タブレットではなく、紙の資料。

 七夕祭りの情報が載っている。


「わ、渡しちゃだ……」

「ちゃんと資料を渡されたのは初めてね!」


 そういえば、盗もうとしたりしたとか言ってたな。


「…………」


 数秒後、火之浦先輩は真剣に資料を見始めた。

 俺は特に七夕祭に興味があるわけではない。

 初衣ねえから手伝ってほしいと頼まれただけ。


 だが、火之浦先輩は純粋に七夕祭を楽しみにしている。

 表情を見れば一目瞭然。

 まるで誕生日プレゼントを貰った子供みたいだ。

 

「すっごいいいわね!!」


 数分経って、資料を読み終わった火之浦先輩が大絶賛だった。


「ふ~ん」


 その反応に、初衣ねえは適当に相槌を打つ。

 視線は外して、そっぽを向いている。


 火之浦先輩は資料に夢中で気付いていないみたいだけど。

 初衣ねえの顔が、ちょっと赤い。

 多分、照れてる。


「陽碧市も巻き込んでの祭りを主催するだなんて凄いわ!」

「確かに。規模が凄いな……」


 体育祭の規模もなかなかだったけど。

 七夕祭りの規模はそれ以上に感じる。


「これ、体育祭終了後にやる規模じゃなくない?」

「それは間違いないです」


 俺の疑問に大導寺先輩が答える。

 

「当日は陽碧市のお店などに出店をお願いしています。陽碧学園のイベントですが、陽碧市全体が協力していただけます。体育祭では出店をお願いされる立場ですが、七夕祭りではこちらがお願いをする立場に変わっているのです。その分、責任は体育祭よりも強く重いものですね」

「体育祭が終わってから二ヶ月も経たないうちにこれですか……」


 五月終わりの体育祭。

 七月終わりの七夕祭り。

 

「だから、人員が欲しいんです。七夕祭りは恒例行事ではなく、マニュアルというものも存在しません。もちろん計画はしっかり練りますが」

「正直、青春同好会でも、手伝ってくれるなら、ありがたい」


 と、大導寺先輩と岡本先輩は火之浦先輩の参加に乗り気だ。


「私は反対!」


 案の定だが、初衣ねえは反対だ。


「会長、今は猫の手も借りたい状況ですよ?」

「それは分かってるけど! 火之浦美琴はダメ!!」


 頑として譲らない。


「会長、七夕祭は本来生徒が楽しめるためのイベントですから、運営に携わりたいと考える生徒は稀なんです、貴重なんです」

「それに、火之浦の行動を抑制できれば、青春同好会も抑制される」

「岡本君の言う通りです」

「ふ、二人本気すぎない?」


 二人の押しに、初衣ねえが少したじろいだ。

 それだけ、七夕祭りの準備は大変だということ。


「言っておきますが、感情論で動いているのは会長だけですよ?」

「頼むから、今回は理論的に考えよう」

「い、今までにない圧が……」


 いつもは振り回される二人だが。

 その二人に押されてタジタジの初衣ねえは新鮮だ。


 いや、大導寺先輩に仕事に連れ戻されたときの初衣ねえも同じか。


「初衣ねえ。俺からも頼むよ」

「ほら、伊久留もそう言ってるわ!」

「あ、あんたは黙ってて!」


 睨みつける初衣ねえ。

 それに対して、火之浦先輩は勝ち誇ったかのように笑みを浮かべる。


「……なによ」

「別に何でもないわ!」

「なんか、嫌」


 初衣ねえは大きく深呼吸をする。


「いっ君がお願いしたんだから、火之浦美琴も一緒にね」

「やったわ、伊久留!」

「私の前で引っ付こうとしないでって!!」

「今後もよろしくお願いしますね、御形君」

「今後も初衣ねえが譲らない時に、お願いをしろと?」


 火之浦先輩が七夕祭りの運営に参加する条件。

 活動するときは、必ず俺と初衣ねえ、火之浦先輩の三人でやる。


 体育祭の時にした約束。

 あの時の同じような状況に、またなってしまった。


「それじゃあ、伊久留! 行くわよ!」


 まあ、いつものことだから、こんな状況にも慣れた。


 と思っていた自分はまだまだ青春同好会の新人だった。

 火之浦先輩の七夕祭り、運営への参加。


 それとは別に、青春同好会も七夕祭りに向けて動き出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ