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6.いざ召喚へ(…の準備)

その夜両親には『疲れたからと早めに寝るね』と言い残し就寝した──────。

……ふりをして、こっそり窓からそっと庭先に出たのである。

月明かりに照らされた裏山の入り口がぼんやり見える。どこに召喚しようかと思いを巡らせた。

ふとコンテナの大きさが気になったので歩きながら、白、黒に聞いてみた。


「ねぇ、召喚する場所はどれくらいのスペースが必要なの?」

「コンカイハ、ヒトリカラオケ、ヨウ-」

「チキュウデ、イチジョウ-」

ひとりカラオケ用で1畳の大きさか。ということは漠然とイメージしていたサイズじゃなかったんだ。コンテナって言われてたから7~8メートルくらいの長さの物を想像してて召喚場所に悩んでたんだけどなぁ。



右に左に視線を投げながら周囲の気配を窺いつつ、てくてくと山の中に入って適当な空地を探した。

木が密集して生えてない良さげなトコロで足を止める。ここに召喚してみようかな。


「召喚するにあたって、注意事項はあったかなー?」

「トコロデー、ルナー、トリセツ、ヨンダー?」

「セッカク、ツクッタ、ノニー」


しまった、読んでないわ…。カラオケできると知って浮かれてしまい、ついうっかりしてた。

ハッとして、抱えていたトリセツに目をやる。表紙には“イセカイカラオケ取扱説明書────ルナ専用────”という文字。

なぜだか分からないけどこのトリセツ、私がひらくのを今か今かと待ってるような気がした。


おもむろに開くと最初のページには表紙と同様の文字が印刷されてる。

懐かしい、久しぶりの日本語だぁ。

更にページをめくり進めると注意事項が載っていた。


え、えっと『~召喚地は、広い場所、人のいない場所が最適です。ご使用前には必ず周辺見回りをするなど、安全確認をおこなってください。樹木が密集していたりすると危険ですし、岩場や崖、谷、川の傍、斜面も召喚地には不向きです。大きな石や切り株などのある場所も同様です。不安定な場所は避けてください。

召還後、速やかに音漏れ対策をすること。騒音対策として毎回ご使用前にはコンテナに対し防音遮音の魔法を、更にコンテナを不用意に人目に晒さないために、隠蔽の魔法かけてもらいます。』か。


ただ召喚場所を選定するだけでなく、魔法を早急に教わらないとダメだよね。

認識阻害、防音遮音、隠蔽の魔法なんて知らないし。召喚か、魔法か。どちらを優先するべきかな。


「ねぇ、白、黒。認識阻害、防音遮音、隠蔽の魔法を教えてほしいんだけど、いい?」

2匹にむかって聞いてみる。


「ワカッター、マズ、デンジュ、スル-」

「デンジュ、シタアト、レンシュー、スルー」

伝授、練習…そう言って白と黒は私の両肩にそれぞれ別れて乗り、頭をそっと触れてきた。

静電気のようなビリビリした感覚が伝わってきたかと思ったら、キラキラした煌めく光のシャワーが辺り一面に降り注いだ。


「デンジュ、カンリョーネ」

「レンシュー、スルヨー」


「よし!」

頬を左右の手で軽く叩いて気合いを入れてみる。

すると、黒がタブレットPCそっくりな物を持ってきた。


「モニター、ミテ」

タブレットの画面には『試しに近くにいる鳴いてる虫へ防音遮音の魔法をかけてみましょう。まずは防音遮音と言葉にして、音を遮断するようなイメージを思い浮かべる。そして虫に向かって手のひらをかざすだけでオッケーです。それを何度も繰り返し…反復練習することにより、練度が上がって魔法が完成します。』という文字が表示されてた。難しい言葉を羅列する呪文はないみたいでホッとする。

タブレットを確認しながら同様の動作をしてみると、僅かだが虫の音が聞こえなくなった。

「モット、スルノ」

「ナンドモ、スルノ」

1回しただけで満足していちゃダメだね。もう一度、防音遮音っと。


何度も繰り返ししていたら何となくできたという予感めいた感覚がわいた。

耳を澄ましてみる。うん、虫の音は聞こえない気がする。白と黒の方に視線を向けると頷いてるのが見えた。

取りあえず、1つ目の魔法を覚えられたみたい。まだあと2つの魔法を覚えなきゃいけないんだ。

焦りは禁物。だけど思った以上に次の魔法はイメージし辛くて難しそう。


それからしばらくの間、魔法の練習に時間を費やした。

時の経つのも忘れて魔法を習得しようと夢中になってたようで、気付くとかなりの時間が過ぎていた。

我に返ると自分の名を呼ぶ声が聞こえてアワアワしてしまう。

どうしよう、寝たふりして外出したのがバレてしまった。

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