とある吟遊詩人の手記:悪魔と魔法
悪魔と契約を交わし供物を捧げ続けることで、人知を超えた悪魔の力、その一端を借りることができる。それが"魔法"と呼ばれ、契約者達は"魔法使い"や"魔女"と呼ばれてきた。
魔法使いになる理由は様々だが、盗賊や魔物などの差し迫った危機に対して抵抗手段を求めた話や、孤児や盲者など働く術を持たないが故に力を求めた話を聞くことができる。
悪魔と契約するのは容易いが、契約を解消する方法は無いと言われている。そのため、魔法使いの道を選んだ者は生涯にわたって安くはない代償を捧げ続けることになる。人生を悪魔へ捧げていると言えるだろう。
生半可な覚悟では魔法使いとして長く生きることは叶わないのだ。
また、魔法使いは供物として自らの命を悪魔へと捧げることで、より強大な"大魔法"を行使できる。これらは様々な文献に記録が残っているが、いずれも甚大な被害をもたらしており、碌なものではない。
そんな彼らに対する世間の目は冷酷で、特に教会勢力は魔法使いを敵視し、度々迫害をしてきた歴史が残っている。
わざわざ主の敵である悪魔と契約し、超常の力を振るう魔法使いたちは常に厭われてきた。しかし、時代が移り変わり、また、場所が変わっても、悪魔と契約を交わす者が絶えることはなかった。
〇鉄柵
ハルファス、マルファスと契約し、任意の壁か地面に金属製の柵を召喚する。供物は月に1度、小麦を1袋。鉄柵の魔法使いは最も人数が多いと言われている。
〇魅惑
グレモリーと契約し、対象とした生物から好意を得る。大魔法は"トールレディ"の召喚。巨大な幽霊の女が対象を216日間追跡し、殺害する。
〇狼狂
オリアスと契約し、狼、熊、獅子などの巨大で強靭な動物に変身する。
〇調和
オロバスと契約し、過去、現在、未来を見通し、対象の人物の考えを読む。供物は年に数頭の馬を産ませる。数が多いほど大きな権能を得る。
〇戦士
ザエボスと契約し、身体能力を強化する。大魔法は"大鰐"の召喚。"大鰐"は生物を捕食するほど強力になり、無軌道に暴れまわる。
〇火炎
マルコキアスと契約し、火を生み出し、操り、熱に影響されない身体を得る。供物は月に1回、生肉を捧げる。
〇蛇竜
アスタロトと契約し、"毒蛇"の使い魔を召喚する。"毒蛇"に噛まれた生物は瞬く間に腐敗し、死亡する。供物は生涯に渡り腐敗臭に悩まされる。大魔法は"毒竜"の召喚。巨大な獣に似た竜が毒をまき散らす。
〇稲妻
フュル・フュールと契約し、雷撃を発生させ、操り、電気に影響されない身体を得る。供物として"夜宴"の主催者となることで、箒を用いた飛行を始め、通常の契約者とは一線を画す強力な権能を得る。
〇契約
悪魔との契約を交わす際、ルシフージュ・ロフォカルと接触し、希望の魔法を使えるよう他の悪魔との窓口になってもらう必要がある。"契約の魔法使い"については、存在しているようだが、詳細が記載された文献は見つけられなかった。
〇霊祓
ガミジンと契約し、対象者の秘跡、魔法の影響を一時的に無力化する。
〇秘密
グシオンと契約し、対象者に催眠をかけ質問に対し正直に答えさせる。
〇鎧袖
サブナクと契約し、"呪いの鎧"を召喚する。