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83 熱を出しました……過労だったみたいです

 土曜日は、最悪な目覚めでした。隣に在った温もりが離れて行くことに気がついて目を開けたら、困ったような心配そうな目で、覗き込むようにしている富永氏が視界に入ってきました。


「おはよう。大丈夫か、茉莉」


 名前を呼ばれて、ジワリと涙がせり上がってきた。富永氏の大きな手が私の眼のふちをかすめるように触れてから、富永氏の表情が真顔に変わった。額に触れた後「茉莉、服を離してくれないか」と言われて、彼の服を握りしめていたことに気づかされた。


 動けるようになった富永氏は部屋を出て行ったと思ったら、すぐに戻ってきた。手には体温計を持っていた。私はぼんやりと、体温計はあるんだと思ったのよね。


 私が体温を測っている間に、また富永氏は部屋を出て行った。次に戻ってきたときには、お水を持ってきてくれた。このあとも富永氏は部屋を出たり入ったりした。


 体温は38度近かった。体温計を見た富永氏に着替えをされて、お医者様へと連れていかれた。どうやら、過労……らしい。


 そんなに忙しかった覚えはないけど、富永氏が言うには、『彼とのことが心の負担になっていたのが、金曜に終わらせることが出来て、緊張が一気に弛んで熱を出したのではないか』ということだった。


 お医者様も「気持ちの緩みで体調を崩すことはありますよ」と言われたので、多分、富永氏の言う通りに、仕事ではなくて彼のことが負担になっていたのだろう。……そういうことにしておこう。うん。


 えーと、それで、病人を一人にはできないと、また富永氏の部屋に戻り、安心したのか爆睡しました。夕方……というより夜に目を覚ました私は、しっかり汗をかいたので熱は下がってました。


 着替えだけでなくシャワーを浴びたいと言ったら、「駄目だ」「シャワーを浴びたい」の押し問答。「どうしても浴びたきゃ付き添う」と言われて、結局洗面所で富永氏が待機することで、納得されたのよ。……いや、これ、おかしいよね。


 でも、時間が経っても出てこなくて倒れていた、なんてことになると困ると言われました。服を脱ぐときや浴室から出る時には、洗面所から出てくれたから、裸は見られていません!


 ただ、なんで眠る時に一緒に寝ることになったんでしょうね?


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