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79 上の思惑と推理ショー?

「だけど、やっぱり俺と大石をくっつけようとしている節は、いろいろあったんだよ」

「どこがですか」


 そんなことがあったかしらと、思い返してみるけど、思い当たるものはない。


「大石は歓迎会の日のことをどう思った」

「どうって、特には何も」


 そう答えたら富永氏は苦笑をまた浮かべた。


「あのな、歓迎会の時に大石が飲まされたものって、かなり濃い目にカクテルが作られていただろう。普通はあそこまで濃くは作らないんだ。後であの店に行ったら、あのカクテル作りをしていた奴は臨時のバイトだったと分かったんだ。それに課の女性たちが頼み込んだ奴と、あの人物は別人だったようだ。あとそれから濃くするために使ったウオッカは、元々あの店にあったものではなくて、持ち込まれたものだったというのも判った」

「えっ? 本当ですか」

「ああ。それに彼は絶妙に濃さを調節していたようで、お前を彼女たちが囲んでから、どれを誰が飲んでもいいように、最初から同じように作っていた節があったようだ。そうでなければ、1次会であんなに女性たちが潰れることはなかっただろう」


 えーと、それじゃあ、私が脅さなくても彼は最初からやっていたと?


「2次会もそうだけど、あの店は岸本が案内してくれたんだ。実は岸本が誰かの指示であそこに連れていき、尾石(おぜき)達も、同じようにあの店に来るように仕向けられていたとしたらどう思う」

「えっと、どうって……」


 そんなことが本当にあるのかしら。そう思ったのに、冨塚氏は確信を持っているみたいだ。


「岸本ならそれくらいやるだろうな。知っているか? 岸本は入社試験の面接で『富永克明氏をぎゃふんと言わせたいので入社させてください』と、言ったんだぞ」

「えっ、えっ? 富永氏は岸本君と知り合いだったんですか?」

「ああ。俺が海外に赴任した時に会っている。会ったのは7年前で、最初の赴任地で、留学中のあいつと知り合った。それを面接で言って、伝え聞いた社長が面白がって採用したんだ」


 えーと、そうなると……何がしたいの? これは社長による富永氏への試練……とか?


「推測だが、あの話を聞いた俺の反応が見たかったんだと思う。俺が憤って動けばよし、動かない場合は、上で対処したんだろう」


 えっ? 一社員のことに上層部が動くんですか?


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