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65 守ってやるだなんて、軽々しく言わないでください

 間近で見つめられて言わされましたよ。だってね、仕方がないじゃない。殺気を放つような鋭い眼光で見られて、言わないという選択肢はないですよね。乗り換える気だなんだのやり取りを話したら、富永氏は少し考えこんだ。


「相手にされない……か。それなら、俺と付き合うか?」


 私は言われた言葉に目と口を大きく開けた。


「何を言っているんですか。彼を見返すためだけに付き合うだなんて、それはないですよ」

「そうか、ないのか」


 私の言葉に若干気落ちしたような感じで富永氏は言った。富永氏は私のことをかってくれていて、馬鹿にされたのが許せないからこう言ってくれたのよね。……うん、そうよ。


「えーと、とにかく、彼とは顔を合わさないように、気をつけます」


 決意を込めてそう言ったら、富永氏はまた少し考えこんだ。


「いや、それじゃ駄目だな」

「はっ?」


 何がと聞く前に富永氏の言葉が続いた。


「大石は俺のそばにいろ」

「はい?」


 あまりの台詞に心臓がドキンと鳴った。


「俺付きなんだから、一緒に行動していた方がいいだろう」

「ええっと、はい」


 あー、あれですね。彼に言った手前、一緒に行動を……ではないじゃない。富永氏と行動するのは、秘書として当たり前のことでしたね。それなのに――。


「お前のことは守ってやるからな」


 なんて、言わないでくださいよ。変な期待をしちゃうじゃないですか!


 この後、富永氏に車で送ってもらいました。アパートに帰る前に、一緒にランチをしましたけどね。


 意外にもチェーン店のとんかつ屋さんでしたけどね。うん。


 ええっと~、やっぱり奢りなんですね。デートじゃないのに。男の矜持だとか言われたら、反論できないじゃないですか。


 いいや。富永氏のほうがきっとお給料は一杯貰っているのよ。少しは社会に貢献するお手伝いだと思うことにしましょう。


 でなきゃ、やってらんないわ。くそ~、お坊ちゃまめ~!


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