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56 日本的朝ご飯

「お、おはようございます。昨日もご迷惑をおかけいたしました」


 私は手を止めて、深々とお辞儀をした。顔をあげると、富永氏は苦笑を浮かべていた。


「迷惑をかけたのは母たちのほうだろう。ここぞとばかりに大石のことを、連れ回したんじゃないのか」


 はい、そうです、とは言えないので、曖昧に笑っておく。代わりに「冷蔵庫の中のものを勝手に使ってしまいました」と、言った。


「ああ、構わないぞ。それよりも久しぶりに和食の朝食だな」


 ああ、パンがあったから、嫌でも洋食になっていたのかと思った。


「もうできるのか?」

「はい、ご飯が炊ければ食べられます」


 タイミングよく、ご飯が炊きあがったアラームが鳴った。フッと笑った富永氏は、食器がある場所を教えてくれてから、「顔を洗ってくる」と、洗面所へと行ったのでした。


 テーブルにご飯とお味噌汁、おかずを並べている間に、富永氏も戻ってきた。向かい合って座り、手を合わせて「いただきます」と言ってから食べ始めた。


「やはり朝食からご飯というのはいいな」

「えーと、やはり日本食が恋しくなりましたか」


 かみしめる様に言われて、考えるより先に言葉が出てきた。


「まあな。今は外国でも日本食は食べられるようになったけど、寿司や天ぷらを毎日食べたいとは思わないだろう」

「そうですねえ。豚の生姜焼きや鰤の照り焼きを食べたい日もありますものね」

「そうなんだよ。梅干しのお茶漬けでさらさらっと済ませたい時もあるわけだ。それをしたきゃ自分でやるしかないんだよ」


 ふむふむ。それなら冷蔵庫の中身も納得かな。豆腐や鮭の切り身なんかが入っていたものね。……でも、2切れ入りを買うなんて、富永氏は見栄っ張りなのかな? 独り者だと思われたくなかったのかしら。


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