53 エステ体験?
「おはようございます」
「おはよう、茉莉さん。よく眠れたかしら」
「えーと、まあ」
はははっ。土曜日の朝でございます。この会話でお分かりのように、何故か、滝浪邸に昨夜もお泊りしましたよ。
うん、これはあれだね。今日のエステに行くのに。
「自宅はどこなの? 向陽町? ちょっと、遠いじゃない」
「それなら、また家に泊まってね」
「あら、もう春菜さんのところに泊まったの。それなら一回も二回も同じよね」
と、凛香さんと春菜さんの間で話がついてしまい、強制連行されましたとさ。先週買ってもらったパジャマが、役立ちますなー。下着なんて何枚買ってあるんですか?
えーえー、やけくそ気味ですわよ。なんか文句ある?
リビングに姿を見せた富永氏のことを睨んじゃいましたよ。富永氏はビクッとしましたけどね。そんなに凶悪な目つきだったのでしょうか?
さっさと朝食を済ませると、春菜さんにメイクの講義を受けながら、今日はお出かけ用の華やかなメイクを自分でやってみました。
…あれ? エステにフルメイクで行くの?
ドナドナよろしく、春菜さんと共に待ち合わせのエステサロンに来ました。
……皆様、当たり前のようにフルメイクですなー。
エステは……精も魂も尽きた気分です。気持ちはいいんだけど、いいんだけどね。何かが一緒に削ぎ落ちた気がするんだよー。
しっかりフルメイクをやり直されて、この後はご婦人方のお買い物に付き合うことになりました。
くっそー。これなら先週の富永氏とホームセンターに行ったことのほうが、よっぽどマシじゃないかー。高級店なんて、肩がこる以外のなにものでもないんだよー。
その服を私にあてるな、勧めるなー!
こんな高級服なんか、買えるわけはないじゃないですかー!!