5 歓迎会が開かれる……らしい
3カ月しかいないのに、どうなの? と思うのだけど、私達の歓迎会が開かれることになった。……らしい。
というのも、3カ月しかいないということと、私が専任でつくということを正しく理解した女性たちが、どうにか富永氏と知己になりたいらしくて、金曜の今日、開かれる。……らしい。
らしいというのは、私にはまったくお呼びがかからないからだ。まあ、別に出たいわけではないからいいんだけどね。
なので、終業時間になり、挨拶をしてそそくさと帰ろうとしたのに、当の富永氏につかまってしまった。
「俺達の歓迎会をしてくれるそうだぞ。なのに出席しないとは、どういうことか?」
いや、私、誘われてませんから。
素で答えてやろうとしたら、慌てた様に女性たちが寄ってきて、わざとらしく私の腕に腕を絡めてきた。
「大石さん、ごめんなさ~い。都合が悪い日を選んでしまって~」
あざとくも、私の都合が悪かったことにしたいらしい。謝っている態を装っているけど、ぜんぜん謝ってないし、来てほしくないのは見え見えよね。なのに、富永氏には私と仲良しアピールがしたいらしい。
「別に、どうぞ皆さんで楽しんできてね」
腕を引き抜いてそういい、背中を向けた。そうしたら。
「大石の都合が悪いのなら、今日は辞めだ。悪いが俺も帰らせてもらう」
富永氏がそう言って私の後に続こうとした。
「ま、待って~。大石さん、少しでいいから~、出れないかしら?」
また女性たちに腕をつかまれた。富永氏のことを見たら、無表情だけど、瞳は面白がっているのが見て取れた。その目に、貸し一つと、私は見返したのでした。