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50 資料作成のこと

 営業2課に移って2週目です。少しは仕事のやりようが見えてきました。


 まず朝、1時間早く出社して本部長(・・・)室へと向かいます。そこに来ていた連絡事項を確認して、本部長のスケジュールを調整します。


 先週の金曜日は歓迎会があったから、対外的な……つまり本部長としての仕事は出来ませんでした。本日は14時に会議と17時にアポイントが入っています。この時間に間に合うように、課のほうを抜けなければなりません。


 課のほうでは課長(・・)専属の事務方という触れ込みなので、先週は課長に回る書類の確認などをして過ごしました。


 まあ、この程度ならどうということはありませんけどね。


 が、午後になり課長(・・)が会議のために席を空けると、さっそく前の席の女性から仕事と称して資料作成を言い渡されました。……えーとさ、これを作るのはいいんだけど、これってあなたが担当している営業の方から頼まれた資料でしょ。私に頼んで困らないかい?


 まあ、課長が戻るまでは課長付きの仕事はないですからね。ちょっと作成してみましょうかね。


 16時10分に資料を作成し終わり、彼女のパソコンへ送っておく。


「えっ? もう、出来たの」


 おい。これって××年の○○を元に作ればいい資料でしょ。比較対象として△△年のものもつけたから、わかりやすいと思うんだけど。


 そう思ったのに、彼女は私に怒鳴ってきた。


「ちょっと、勝手なことをしないでよ。何で比較対象資料なんかを作っているのよ。こんな余計なことをしないでくれる」


 私が反論をしようとしたら、ちょうど課長が戻ってきた。


「どうした、何かあったのか」

「あっ、いいえ。その、資料作成について大石さんから質問を受けたので、答えていたんです」


 おい!


「ほう~、どれどれ」


 と、課長は彼女の席に行き、彼女の後ろからマウスを操作して資料を見だした。彼女がドギマギとしているのが、よーくわかる。


「比較対象として△△年のものも載せたのか。これなら相手に違いを説明しやすいな。おい、永井。これでどうだ」


 彼女に資料を頼んだらしい、永井君がそばに来た。パソコンの画面を覗き込むようにしてみてから、彼女のことを驚いたように見つめた。


「これいいですね。これなら押しやすいです。今まで気がつかなかったな~」


 どうやら称賛は彼女へと行ったようです。


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