44 自動車学校に勤める友人
「あとですね、終業時間後では無理な理由なのですが、仕事が何時に終わるのかわからないので、予約ができないと思います。本部長として急に会合も入ってきますから」
私が補足的に言ったら、今度は室長もしっかり頷いてくれた。
「そこのフォローまですまんな。だけど、こんな理由で自動車学校に通うのはいいのだろうか」
別のことを気にしだした室長に私は笑顔を見せた。
「ペーパードライバー用に講座を開いているところもあると聞いているので、それと似たようなことになるのではないでしょうか。気になるようでしたら、確認してみますけど」
私がそう言ったら、富永氏だけでなく室長と春菜さんに驚いた顔をされてしまった。私は了解をとると、自動車学校に勤めている友人に電話を掛けた。スピーカーにしろというので、そのようにする
『はい』
「おひさ~、くにっち。今いい?」
『大石か。珍しいな、俺のほうにかけてくるなんて』
「ちょっと聞きたいことがあってね。ねえ、自動車学校って、免許の取得だけでなくて、ペーパードライバー向けの講座をやっていなかったかしら」
『やっているけど……お前は必要ないよな』
「私じゃないわよ。知り合いに外国の生活が長かった人がいて、運転に少し不安があってさ」
『あー、それなー』
くにっちこと、国松君は納得したように嘆息していた。
『それならブラッシュアップ講座というのがあるから、それに申し込むといいぞ』
「ブラッシュアップ講座って何?」
『まあ、簡単に言うと運転のチェックをするための講座だな。従業員の事故が気になる会社とかもこれに申し込むことがあるんだぞ』
「そうなのね。回数はどれくらい?」
『それは来てもらわないとわからないな。問題がなければ2時間で終わるし、追加講習をした方がよければ、増えるだろうし』
「そうなんだ。いろいろ教えてくれてありがとう」