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42 滝浪邸をあとにする……前に

 今日は基礎化粧品で肌を整えた後、春菜さんにご教授されながら、自分でメイクをすることになりました。えーと、明日から会社に行く時にする、ナチュラルメイクです。


 ……おかしい。私がいつもしているのと変わらないことしかしてないはずなのに、なんで顔にメリハリがついているのだろうか?


 メイクを終えるとリビングへ。室長と富永氏が仲良く……ではないですね。話はしていないですし、お互いのことを見てもいませんもの。でも部屋に入ってきた私を見て、二人して手放しで褒めてくれました。


「茉莉さん、いつもより可愛らしさが倍増していますよ」

「やはり髪をおろしていた方が可愛いな。だけど残念だな。しばらくは変化を気づかれたくないから、髪はいつものまとめ髪にしていた方がいいだろう」


 富永氏の言葉に頷く室長。……あれ。室長にまで彼の話がいっているんですか。えー、それは彼がかわいそうな気もするけど。

 まあ、でも、いいか。基本は私が振ることで同意してくれているみたいですものね。


 これで滝浪邸をあとにすることになりました。昨日のことがあるので富永氏は車を置いていかせてもらうつもりだったようです。でも、そのあれこれを知らない春菜さんが、お土産をいろいろ用意してくれました。


 ……って、パンを作るのにはまっている知り合いって、春菜さんだったのね。私用にもパンを用意してくれようとしているので、申し訳ないけど断ることにします。


「春菜さん、すみませんが、私はパンをあまり食べないようにしているんです」

「あら、どうして?」

「腹持ちの関係と、カロリーが気になるので」


 そう言ったら、春菜さんはとても残念そうな顔をした。


「じゃあ、これだけでも」


 と、食パンでしょうか、一斤くらいの大きさの包みを渡してこようとします。それを室長が止めてくれました。


「春菜、押し付けはよくないよ。克明だって食べきれないで冷凍しているんじゃないかい」


 その通りと私が頷いたら、春菜さんは目を丸くしている。


「えーと、ごめんなさい。確かに渡し過ぎたわね」


 シュンと肩を落とす春菜さんの姿が、富永氏と重なって見えたのでした。


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