41 知らない部屋での目覚め……ですね
朝です。……目を開けて、また知らない部屋だなーと、少し思った。流石に今朝は覚えていますとも。
パジャマから着替えようとして……困ってしまった。昨日着てきた服は、ここにない。借りたワンピースも脱いだら春菜さんが持っていってしまった。あるのは春菜さんが買ってきてくれた服だけ。
部屋の隅に置いておいた袋から、服を取り出してみた。出してみて驚いてしまった。……えーと、春菜さんが買ってくるのなら、もう少し値段のお高いフェミニンな服かと思ったのよ。だけど出てきたものは、着心地のよさそうなカットソーやシャツ。それとスカート。合わせてソックスやストッキングまであった。
もう一度考えたけど、その服に着換えさせてもらうことにした。それから布団を畳んで客間を出る。リビングに顔を出したら、続きのキッチンに春菜さんの姿が見えた。
「おはようございます」
「おはよう、茉莉さん。早いのね。もう少し眠っていてよかったのよ」
春菜さんは私の声に振り向いた。笑顔で言われましたよ。母も同じことをよく言っていたなと思いながら、「手伝います」と言ってみた。
「まあ、気にしないでいいのよ。でも、そうねえ、それなら手伝ってもらおうかしら」
春菜さんに手招きをされて、そばへと行った。
他愛ない話をしながら、お味噌汁を作ったり、だし巻き卵を作ったり、納豆をまぜまぜしたりと、楽しく準備をしていった。もうすぐ用意が整うというところで、室長と富永氏が顔を見せた。
「おはようございます。楽しそうですね」
と、室長も楽しそうな口調で言ってきた。このあと、4人で食卓を囲みました。
食事が終わり、食器の片付けも春菜さんと一緒にした。春菜さんは終始ご機嫌な様子だった。片付けが終ると……まずは洗面所に連れていかれました。春菜さんが使っている洗顔フォームで顔を洗い、それから春菜さんの部屋に連れていかれて、春菜さんの化粧品で肌を整えました。
「ねえ、茉莉さん。今度エステに行ってみない? 気持ちいいわよ」
「エステですか。えーと」
う~ん、これは断っていいのかな。これはレッスンではないわよね。
「綺麗になるためには、体の中の悪いものを出した方がいいのよ。ねっ。一度だけ、試してみましょうね」
春菜さんの笑顔に負けて、頷いてしまった私でした。